もっと話していたい人

 近ごろ久しぶりに会った人は、再会の最初から最後まで感じが良かった。忙しさと重圧でビリビリしている人たちとしばらく接していたから、その差に拍子抜けしたようにホッとした。
 余裕がなくて神経を張り詰めて忙しない人たちに気を遣って、こちらまでつられてハキハキ喋っていたみたい。
 電話がかかってきた最初の一声から、流れる空気が違う。会った瞬間の表情や隣に立つときの安堵感。
 私は人の表情や声や、無言のときの空気感が居心地の良い人が好きだ。そういう人とはずっと話していたいし、もっと一緒にいたいと思う。
 私は数人に対してだけでも、そういう人になれているのかな。あの余裕のない人たちにもう少し優しくなれたはずなのに。いつか「あなたは鏡みたいな人ね」と上司に言われた。上司がぶっきらぼうだったり、余裕がないと私も同じような表情や雰囲気をまとうらしい。逆に、にこにこしていると、私までにこにこと柔らかくなるらしい。
 それなら私は私が私を好きになれる人たちの側にいて、のんびり肩の力を抜いて笑っていたいな。

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