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    短い物語です。

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2 アオハルを駆け抜けろ

ある日の昼休み。 チャイムが鳴ってクラスメイト達がようやく訪れた休息の時間にテンションが上がり始めるのを横目に、僕は小さく机に突っ伏すように腕を伸ばした。 美月「やーっとお昼休みだね~!」 前の席の美月が僕の頭をつんつんとつつきながらいっている。 そんななかで美波の声も聞こえてきた。 美波「おーい、なに伸びてんの? 邪魔なんだけど」 自慢の弁当が入ったポーチを手にした美波が近寄ってきて、いつも通り近くの開いている椅子を拝借して僕の机のもとに腰を下ろす。 僕はおとな

    • 1 アオハルを駆け抜けろ

      僕は喜多川〇〇。 都内の私立高校に通っている高校2年生。 自分でいうのもなんだけど、僕はいわゆる脇役タイプで決して物語の主人公になるようなイケメンでもなければ、頭脳明晰でもないし、運動神経が抜群にいいわけでもない。 どこにでもいる、ありふれた男子高校生。 それが僕のプロフィール。 美月「ちょっと、〇〇。なにボーっとしてるの?」 気がつくと目の前の席の山下美月のかわいい顔がすぐ目の前にあって思わず変な声で驚いた。 ○○「うおわっ!?」 美月「ちょっ! いきなり変な声出

      • 3 坂道のマネージャーは人気者

        ある日、収録スタジオの廊下を〇〇が一人で歩いていると、ふと声をかけられる。 スタッフ「〇〇さん、乃木坂メンバーについてお聞きしたいことがあるんですけど、少しお話聞かせてもらってもよろしいですか?」 そこにいたのは普段お世話になっている乃木坂工事中のスタッフだった。 とはいえ、収録で顔を見知った程度で特別仲いいというわけでもない。 そんなスタッフから声をかけられるなんて、珍しいななんて思いながら返事を返す。 〇〇「えぇ、俺が答えられることでしたら」 真剣な話なのだろう

        • XXXな日常のプロローグ

          ※本作は坂道以外の芸能人の方も登場します。 〇〇「お疲れ様でしたー!」 収録が終わり、今をときめく人気俳優の喜多川〇〇はスタッフさんや共演者に感謝を伝えつつ頭を下げていた。 ひと通り挨拶とそのついでの雑談を終えて、〇〇は楽屋へと戻っていく。 スタッフA「ほんとに若いのにしっかりしてるよな。まだ22歳だもんな。大学生だろ? 俺たちスタッフにも気軽に話しかけてくれるし、いいとこしかないよな」 スタッフB「なー。しかも、演技も上手いし、アイドル出身だから歌とかもチョーうま

        2 アオハルを駆け抜けろ

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        • 坂道のマネージャーは人気者
          4本
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        • 短編集
          8本
        • きっかけは突然に
          4本

        記事

          同級生はアイドル

          私立蹊葉大学。 名門私立大学の一角として数えられる大学のキャンパスに〇〇の姿があった。 まだ朝早いせいか学生の姿はあまり多くはない。時刻は朝9時前。いわゆる1限の時間帯。 1年生の〇〇は必修単位を履修するために、眠い身体を必死に起こして講義が行われる教室へと向かっていた。 教室に向かう途中、不意に背後から勢いよく肩をたたかれる。 ??「おはよう、〇〇くん!」 走りながらだったのだろうか、勢いに負けて思わずつんのめりそうになる身体を必死に我慢しながら、目の前で満面の笑み

          同級生はアイドル

          幼馴染みはアイドル

          僕には幼馴染みがいる。 そりゃ、幼馴染みくらいいるだろうと思うだろうけど、僕の幼馴染みは普通と違う。そう言い切れる自信がある。 遙香「〇〇~、はやくゲームしようよ~」 一人暮らしの僕のベッドにもたれかかりながらゲームのコントローラーを二つてにしながらこちらに向かって笑顔で呼ぶ幼馴染みの一人、賀喜遙香。 なにを隠そう、人気アイドルグループ乃木坂46のセンターも務めるエースの一人。 現役アイドルが幼馴染み。これだけでも相当だが、まだまだ続きがある。 菜緒「瑛、この漫画の

          幼馴染みはアイドル

          初恋は実らない

          結婚することになってん。 久しぶりにLINEにきた幼馴染からのメッセージは、〇〇の血流を早くさせた。 履歴を見ると、前に連絡したのは1年以上前だった。 スマホの液晶に彼女の名前が表示されて、少しだけ心が躍ったが、メッセージを見て変な鼓動に変わった。 〇〇「〈おめでとう、七瀬〉」 なんとかメッセージを打ち込む。 たったそれだけの文章なのに、何十分もかかってしまった。 七瀬「〈ありがとう。なぁ、次いつこっち帰ってくるん?〉」 すぐにきた返事。 その中身の問いかけに、

          初恋は実らない

          素直に

          素直にあなたに逢いたいと言えたら どれだけ楽なんだろう 素直にあなたの声が聞きたいと言えたら どれだけ楽なんだろう 素直にあなたにかまって欲しいって言えたら どれだけ楽なんだろう 素直にあなたに好きって言えたら どれだけ楽なんだろう 素直に自分の思っている気持ちを言えたら どれだけ楽なんだろう いつからあなたの笑顔は私には向かなくなってしまったんだろう。 好きなときに好きな人に会えるのが当たり前だと思ってた。 だって、生まれたときからずっと一緒だったから。 隣

          素直に

          黒猫ハルカ

          いつもと同じくらいの時間。 残業した帰り道にスーパーに寄る。 すっかり淋しくなった棚から適当に食材を取ってかごに入れる。 30歳も間近に迫った独身彼女なし独り暮らし。 せめてもと思い、自炊だけは欠かさないようにしていた。 健康のため 節約のため あとは少しでもモテるため 会社や友人たちには適当にそんな理由をつけて自炊をしている理由を返していた。 しかし、本当は別の理由があった。 アパートに帰り明かりをつけると同時に黒い塊が勢いよく飛びかかってきた。 黒猫「ニャー

          黒猫ハルカ

          3 きっかけは突然に

          まさかの秋元康と今野義雄に演奏を聴いてもらえるというスペイベをなんとかやりきった〇〇は、再び平穏な日々を過ごしていた。 その日は唯一とっていた大学の授業が休講になり、おまけにバイトも入れていなかったから朝から悠々自適にのんびりできると思い家でゴロゴロしていたのだが、そんな平穏な1日をぶち壊す一件の電話が鳴った。 スマホの液晶にうつる名前を見て、〇〇は深々とため息をついた。 そこには実の姉の名前。 こんな事言うのもなんだが、姉から連絡が来る時はたいてい良いことではない。それ

          3 きっかけは突然に

          隣は推しメン 中編

          フランクフルトに降り立った〇〇は海外でより一層の緊張感のある入国審査をパスして、なんとか無事に入国を果たした。 空港からホテルのある駅までは電車で向かう。 Uberとかのほうがラクだという人もいるかもしれないが、異国の地で公共交通に乗るとなんとなくその国や地域の文化に触れられる気がして好きだった。 空港直結の地下鉄駅で切符を買う。 改札のない駅を進み、ホームへと向かう。 スーツケースをガラガラと鳴らしながら進む。 まわりは異国の人ばかり。 日本人の姿はない。 海外に

          隣は推しメン 中編

          2 坂道のマネージャーは人気者

          七瀬「〇〇、疲れた~」 収録終わり。 楽屋に戻ってきた西野七瀬はキョロキョロとあたりを見回すと、ちょうど楽屋のソファーの前でしゃがみこんで何やら作業をしていた〇〇の姿を見つけると衣装のままテクテク近寄っていった。 そして、躊躇なんて微塵もない感じで体重を預けるように〇〇の背中に落ちるように抱きつく。 「うおっ…ぐぅっ…こ、こらっ…しゃがんでる人間に全力でのしかかったら危ないって何度言えば…」 七瀬は全身の力を抜いて〇〇の首に背後から両手を回して抱きつくと、目を閉じてゆ

          2 坂道のマネージャーは人気者

          4 アイドルアソート

          時刻は夜の7時になろうとしていた。 日も沈み、あたりには街路灯の明かりやお店や家々の照明が漏れて照らされている。 〇〇は一人目的地へと急ぐ。 お酒好きにとっては魅惑的な三軒茶屋の三角地帯。 リーズナブルなお店からディープな雰囲気のお店まで幅広いお店が軒を連ねる。 平日ど真ん中だからか、思っていたより人は少ない。それでも、酒好きの人々がすでにそこらかしこで盛り上がりを見せていた。 そんな三角地帯の一角にある一軒の焼酎居酒屋の前で〇〇は立ち止まった。 赤提灯には堂々と「

          4 アイドルアソート

          隣は推しメン 前編

          東京、羽田空港第2ターミナル。 コロナが開けて国際線ターミナルとしての役割を開始した真新しい施設を喜多川〇〇は一人で大きなキャリーケースを引きながら歩みを進める。 航空保安検査は何回やっても慣れない。 悪いことはしていないのに、緊張感に苛まれる空気は心臓の鼓動を早める。 とはいえ、引っかかったことなんてないのだけど。 心配性なうえに自身がない性格に自分でも辟易とする。 コロナ明けの久しぶりの海外出張。 目的地はドイツのフランクフルト。 フライト時間約14時間の長旅である

          隣は推しメン 前編

          3 幼馴染の和さんは寂しがり

          和「ごちそうさま…」 夕ご飯を半分以上残した和はあからさまに元気がない声色で、食事の終わりを告げるとトボトボとリビングをあとにして自室へと戻っていく。 和父「…和はどうしたんだ?」 娘の元気のない姿に心配になりながら、隣りに座ってご飯を食べている和の母親にに向かって父親が尋ねた。 和母「〇〇くんが大学のゼミの合宿でいないのよ」 和の母がそう答えると、和の父は合点がいったように若干呆れつつも安心したように椅子の背もたれに体を預けた。 和父「あぁ、なるほどね」 ゆっ

          3 幼馴染の和さんは寂しがり

          1 坂道のマネージャーは人気者

          美月「暇だなぁ~」 ある日の楽屋。 出番までまだ時間がある。 すでに準備を終えた山下美月が大きな独り言を発したことからはじまる。 美波「ブログでも書いたら?」 楽屋で隣に座った美月が椅子をグラグラとゆらしながら呟くのを、梅澤美波はスマホでブログを書いている途中だったのでてきとうに自分と同じ作業を提案してみる。 美月「あー、暇だなぁ~」 美波「えっ? 無視? 聞いてた??」 先ほどの提案は受け付けませんといった様子の美月はデジャヴのように同じトーンで話し始める。 ま

          1 坂道のマネージャーは人気者