AXIRA
短い物語です。
↓ その他の短編のお話はこちらから キーンコーンカーンコーン 学校特有のチャイムの音が鳴りひびく。 ようやく午後の授業も終わり、これからは部活の時間。 職員会議もない日は決まって〇〇は、普段滅多に使うことのない校舎の外階段の踊り場に向かう。 あまりに使われなさすぎて錆びつきかかっている外に通じるドアノブをガチャッと開けると、秋口の香りがふわっと鼻腔をくすぐった。 あ、金木犀の香りもする そんなことを思いながら、外階段の一番上の階の一つ手前の踊り場までやってくると
↓ 前回のお話 ↓ シリーズのこれまでのお話 咲月「で、で、で? 〇〇さんとはその後どうなの?」 お昼休み 和の一番の親友である菅原咲月が、満面の笑みというか、ニヤニヤ顔で教室の中だと言うのにお弁当片手に和の机までやってきた。 和「ちょっと、咲月、うるさい」 咲月「ふにゅ」 大声で近寄ってくる親友の口を片手で塞ぐ。 和「ここ教室。変なこと大声で言わないで」 咲月「す、すみましぇんでひゅ」 反省の色が見えたので手を離す。 そのままお弁当をカバンから出して机
↓ 前回のお話 ↓ シリーズの過去のお話はこちらから 七瀬「なぁ〜、行こうや〜」 〇〇「俺にも仕事があるんですー」 麻衣「私たちの撮影の付き添いも仕事でしょ!」 〇〇「そっちは別のスタッフがちゃんとついてくでしょーが」 事務所の長机で仕事をしている〇〇を、両脇から体を揺すり訴えかける乃木坂のダブルエース。 そして、それを慣れた様子でいなしながら、パソコンをカタカタとタイピングして作業をこなす〇〇。 いったいどうやってあの状況下で仕事できんだという視線と、大変だ
↓ 他の短編はこちらから 僕の名前は喜多川〇〇。 どこにでもいる普通の大学4年生。 特筆した特技とかはないし、容姿も頭脳も平々凡々な僕だけど、唯一趣味だけはあった。 それがアイドルの推し活である。 僕が推してるのは乃木坂46の4期生、筒井あやめちゃん。 ずっと加入当初から推してて、お小遣いやバイト代はすべて推し活に捧げているほど、僕はあやめちゃんが大好きだった。 でも、僕も大学4年生。 いわゆる就活戦線に飛び込まなければいけない時期だった。 これからもあやめちゃ
美玖「やばーい! 遅刻だー!!!」 朝も早くから妹の大声で目が覚める。 ドタバタガタガタと音が聞こえる。 うるさくて寝てられねー 美玖「ヤバいヤバいよ…」 顔を洗おうと洗面所に向かうと鏡の前で必死に最低限の身だしなみを整えている美玖の姿があった。 美玖「あっ、お兄ちゃんおはよう!」 〇〇が返事を返すまもなく、ピューっという音が聞こえてきそうなくらい素早い動きで美玖は洗面所を後にした。 今日はどうやら近頃稀に見る大遅刻らしい。 お恥ずかしながら美玖は遅刻魔であ
↓ 前のお話 今日は水曜日 世間一般では平日ど真ん中。 1週間の折り返しで世のサラリーマンなどは気分が落ち込む日。 しかし、大学生の〇〇にとっては1週間で唯一なにもない、いわば”休日” 大学の講義もアルバイトもこの日は入れないと決めていた。 そんな日はいつもお昼過ぎまで眠るのがルーティン 目覚ましもかけずに目覚めたいときに目を覚ます。 これすなわち至高 究極の贅沢 のはずなのだが、〇〇は不意に寝苦しさで目が覚める。 まだ眠い眼で壁掛け時計をぼやける視線で眺
↓ 前回のお話 ある日の夜。 〇〇は東京都の品川駅の高輪口を出る。 再開発がすすむ駅前。 あと少ししたらリニアができて、これまで以上に高層ビルが立ち並ぶ。 100年続く未来への街。 オフィス街にもかかわらず、土曜日だというのに多くの人々が行き交っている。 自分の持っている一番高いスーツに身を包んだ〇〇は、甲州街道に面した横断歩道で信号が変わるのを待ちながら、夜の美しい街の灯りを見上げていた。 目の前には今日の目的地である品川プリンスホテルのタワーが見える。 ジャ
社会人にとって夏休みというのは非常に貴重なものである。 学生の時には1か月、大学生にもなれば2か月近くも休みがあったのに、社会人になったら1週間でも休めれば大ラッキー。 〇〇も社会人になって夏休みというのをほとんどとったことがない。 たいてい仕事が忙しく、それを理由に有休を余らせていた。 しかし、今年は初めて会社に夏休みの申請を出した。 土日をつなげて9日間の休み。 それだけあれば海外旅行だって行ける。 にもかかわらず、〇〇の姿は困惑の表情を浮かべながら、日本の
↓前回のお話 それは、突然のLINEからはじまった。 未央奈「〈〇〇さん、もんじゃ好きですか?〉」 もんじゃって、あのもんじゃだよな。 あまりに唐突な問いと、その問いをしていた相手が相手なだけに変な勘ぐりをしてしまった。 〇〇「〈うん、すきだよー〉」 未央奈「〈やった、じゃあ食べに行きませんか! これから!〉」 また急なお誘いだな、と心のなかで思いながらも、未央奈だから仕方ないかと言い聞かせて返事を返す。 〇〇「〈OK、仕事終わったら連絡するー〉」 未央奈「
↓前回のお話 〇〇「…七瀬」 七瀬「久しぶりやね、〇〇」 大阪出身の彼女の柔らかい関西弁。 耳馴染みのいいその声が、いまでも耳にしっくりくる感じがした。 七瀬「あ」 信号が変わるメロディーがスクランブル交差点に流れると、七瀬がおもむろに〇〇の手を引いて横断歩道の端に引き寄せた。 自然と七瀬と手をつなぐような形になる。 付き合っていたころには何度もつないだのに、久しぶりの感覚。 小走りで横断歩道を駆け抜ける最中、七瀬の香りが鼻孔をくすぐる。 付き合っていたこ
↓はじめに すっかり夜の帳がおり、高層ビル群の瞬く灯りも疎らになったころ。 喜多川〇〇は、会社の通用口からひとり仕事で疲れた身体を引きずるかのような遅い足取りででてきた。 まだ肌寒さの残る4月の夜。 腕時計をみると時刻はすでに深夜0時を回っていた。 〇〇「あー、またテッペン越えちゃったな…」 誰にともなく独り言を宙に吐き捨ててからスマホを取り出してゆっくりと駅へと向かう。 もう何回歩いたかわからない会社から駅への道。 スマホを見ながらでもするすると歩いていける
狂おしいほどに愛したくなる 気がつけば止められないほどに そんな恋の物語 はじめに ※この物語はフィクションです。 ※本作で出てくる画像は全てAIで作成した架空の人物です。 ※画像の無断転載、2次利用等は固くお断り申し上げます。 ※実在する人物などとは一切関係ございません。 ■登場人物 喜多川〇〇 都内の会社に勤めるサラリーマン。 ワーカーホリック気味に働いていたせいで現在は彼女なし。 それまで恋愛ということに意識していなかったが、元カノや女友達との再会などをきっか
↓前回のお話 朝から降り続く雨がしだいに強くなってきていた。 時刻は午後8時をまわったころ。 自室で雨音が強くなる気配を感じながらも、我感せずとばかりに漫画という読書に興じる〇〇。 両親は帰りが遅くなるらしく家には一人。 とはいえ、大学生なのだから寂しいとかそういう感情は皆無。 しかし、やることもなく、暇だなーと思っていたその瞬間だった。 ゴロゴロゴロ 遠くのほうで雷の音が鳴り始めた。 その音はしだいに大きくなっていく。 そして ゴロゴロゴロ ドカーン!
↓前回のお話 いつからか、菜緒や遙香、それに美玖に刺激されて、僕は音楽に対する興味が強くなっていった。 とはいってもあくまで趣味の域は出ない。 それでもたまに高校時代の友達と集まって楽器を弾き鳴らす時間が増えていった。 高校の時にバイトして買ったアコースティックギターを引っ張り出して、忘れかけていた感覚を少しずつ蘇らせる。 それまでは適当な安いスタジオを借りて思い思いの曲をカバーして弾いて楽しんでいたが、バンド仲間の一人が言い出した言葉で変わっていった。 「なぁ、
↓前回のお話 櫂「よう人気者w」 慶太「今日は変装しなくていいのか~?w」 大学の学食でいつものように櫂と慶太と昼ご飯を食べにやってきた〇〇。 先に来て席を確保してくれていた二人は、〇〇の姿を見るなり、ニヤニヤしながらからかうように弄ってきた。 CanCamの発売後、一躍時の人になった〇〇は大学や街中でも話しかけられることが多くなった。 それに若干嫌がっていた〇〇を見かねた櫂と慶太が帽子やら伊達メガネなどでの変装をおススメしてくれたのは良かったのだが、面白がった二
美玖「みなさん美玖を〜推すしかない!」 テレビの中でアイドルらしいキラキラした笑顔でキャッチフレーズを放つ美少女。 整った顔立ちに惹きつけられる明るい性格。 センターも務め、天性のアイドルと言うに相応しい、名実ともに日向坂46のエースである金村美玖の姿をテレビ越しに眺めながら、〇〇はリビングのソファに身体を預けながら漫然とくつろいでいた。 ??「ただいま〜」 玄関の方から帰宅を告げる声がする。 〇〇「おかえりー」 テレビを見ながらだったから空返事気味に返すと、スタ