5 幼馴染の和さんの恋愛相談?
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咲月「で、で、で? 〇〇さんとはその後どうなの?」
お昼休み
和の一番の親友である菅原咲月が、満面の笑みというか、ニヤニヤ顔で教室の中だと言うのにお弁当片手に和の机までやってきた。
和「ちょっと、咲月、うるさい」
咲月「ふにゅ」
大声で近寄ってくる親友の口を片手で塞ぐ。
和「ここ教室。変なこと大声で言わないで」
咲月「す、すみましぇんでひゅ」
反省の色が見えたので手を離す。
そのままお弁当をカバンから出して机に広げる。
咲月「それでそれで? 〇〇さんとはどーなったの?」
声が小さくなっただけで、話題を変えるつもりはないらしい咲月は、お弁当箱を持ちながら和に向かい合って座ると、興味津々といった感じで聞いてくる。
和「別に何もないってば。〇〇とはただの幼馴染」
咲月「いやいや、ただの幼馴染が学校までお弁当届けに来てくれたり、帰り際にその人を追いかけていったりしないって!」
和「あれはたまたまお母さんに頼まれたから届けただけだし、追いかけたのも〇〇が迷わないように送っていってあげただけだし」
咲月「ふーん、そうですか~。卒業生の〇〇さんが迷うわけないと思うけどな〜」
和の話を聞きながら、咲月もお弁当を机の上に広げて、パクっと卵焼きを食べながら鋭いツッコミを和に入れる。
和「(チッ さっちゃんめ、普段はおバカなくせに変なとこだけ鋭いんだから)」
和はブロッコリーを食べながらそんなことを思っていた。
咲月「でもさでもさ、いいよね〜幼馴染って!」
和「そう?」
咲月「そうだよ! しかもあんなイケメンで優しい人なんて!」
和「イケメンで優しいねー…」
和は咲月の言葉に普段の〇〇を思い出す。
〇〇「おい和! 俺の冷蔵庫のアイス食っただろ!」
和「はぁ!? へんな言いがかりつけんな! どこにそんな証拠がある!?」
〇〇「その手に持ってる木の棒はなんだ! そしてお前の唇についたアイスのチョコレートが動かぬ証拠だ!」
和「へーんだ、なんのことですかねー? 私が食べてるのは自分の家から持ってきたアイスですー。〇〇の家にあったパルムじゃありませーん」
〇〇「異議あり! 俺は一言もパルムとは言っていない! お前が食べたと自白したも同然だ!」
和「うるさい! ニセ成歩堂! アイスも可愛い和さんに食べたれたほうが嬉しいに決まってる!」
〇〇「んなことするか! 大学から暑い中帰ってきてやっとの思いで食べれると思ったアイスがなかった時の絶望感をどうしてくれる!」
和「それこそ知らん! アイスくらい買ってきたらいいでしょ! 家出ですぐそこにコンビニあるんだから!」
〇〇「なんで俺が行くんだよ! そこはお詫びの印にとかで和が行くものだろ!」
和「そんな法律はない! この暑い中一人で行くなんてヤダ!」
〇〇「あー、もう! わかったよ! じゃあ俺も行くから和も来い! それで許してやる!」
和「ちぇっ、仕方ないなー、そのかわりアイス奢りだからね」
〇〇「まだ食うのかよ!」
こんなエピソードがいくつもいくつも浮かんでくる。
和「いや、優しくはないよ?」
まぁイケメンは否定しないでもないけど。
咲月「和の話を聞く限りじゃすごく優しいと思うけどなー。フリーなら私も立候補しちゃおうかな、〇〇さんの彼女に」
和「それはダメ!!」
教室中に響き渡るような大声で、身体を乗り出しながら叫ぶ和。
とっさに周りの視線で我に返ると恥ずかしそうに体勢を元に戻した。
咲月「ふふ、冗談だよ和。でもそれが答えなんじゃないの〜?」
和「ん~~///」
先ほど和が咲月にしたように、今度は咲月が和の頬を手でニギニギしながら和に問いかける。
咲月「ほんと、和は素直じゃないよね〜」
和「…だって、〇〇とはずっと幼馴染だったし///」
咲月「でも、好きなんでしょ?」
和「す、好きとか、そういうのは……まだ…よくわからないというか……///」
次第に和の口調がモゴモゴと不明瞭になっていく。
咲月「じゃあ他の人が〇〇さんの彼女になっちゃってもいいの?」
和「それはヤダ! 〇〇には、ずっと私の隣にいてほしい… 私も〇〇の隣にいたい…」
咲月「じゃあ答え出てるじゃん。」
和「こ、答え?」
咲月「そう、告白!」
和「こ、告白!? む、むりムリ無理!」
咲月「もう! そんなんじゃ〇〇さんに和の想いいつまでたっても伝わらないよ!?」
和「そんな顔しないでよ… ちゃんと伝えるから。でも。もう少し待って… 心の準備が」
咲月「ハァ、和がここまで乙女だったとは」
和「もう! それどういう意味!?」
咲月「そのまんまの意味だよ〜 恋する和さんは可愛いな〜」
和「もう! さっちゃん!!」
咲月「アハハハ!」
和が〇〇に想いを伝えられるのはもう少し先のお話。
一方、そのころ大学にいた〇〇はというと。
〇〇「ハックション!!」
美波「〇〇、風邪?」
美月「さっきからくしゃみばっかしてるじゃん」
〇〇「いや、風邪じゃないと思うけど。誰かが噂してんのかな?」
美月「あ! もしかして噂の和ちゃんじゃない?」
美波「あー、噂の幼馴染ちゃん!」
〇〇「はぁ? なんで和なんだよw」
美月「ちょうど学校のお昼休みの時間だし、恋バナでもしてるとか!」
〇〇「んなわけw」
美月「えー、絶対そうだと思うんだけどな〜」
美波「で、その和ちゃんとはどうなの?」
〇〇「どうもこうも幼馴染だって言ってんでしょ」
美波「ん〜、どうも信じられん」
〇〇「なんでやねんw」
美月「そうだ! 今度、和ちゃんに会わせてよ!」
美波「それいい! よろしくね〇〇!」
〇〇「はい!?」
こちらはこちらで物語が動いていたのだった。
つづく
※この物語はフィクションです。
※実在する人物などとは一切関係ございません。