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神山まるごと高専(仮称)とセプテーニグループに共通するアントレプレナーシップの正体を探る<後編>

こんにちは。セプテーニグループnote編集部です。今回は、今期からグループの理念浸透プロジェクトの責任者をつとめる、セプテーニ・ホールディングス コーポレートデザイン室の加来さんからの寄稿記事の後編をご紹介します。どうぞご覧ください!

▼前編はこちら

コンフォートゾーンから飛び出す

加来)
大変長らくお待たせしてしまいました。齊藤さんはどのような思いで神山町に来られたのかお伺いできればと思います。

齊藤さん)
私は大阪生まれで、幼稚園から高校〜大学〜社会人になるにつれて、行動範囲が大きくなる一方で、生活の質について考えるようになりました。テクノロジーが進化しているにも関わらず、生活の質が必ずしも上がっているわけではないということに疑問を持ち始め、今の社会のあり方が産業革命の後の古いものを引き摺っているのではないかということで、違うライフスタイルを始めてみたいと思った矢先に神山町に出会いました。

神山にちょこちょこ遊びにいくなかで、神山の人たちは「ごきげんさん」だなと思って。肩肘はらずに、他人の評価を気にせず、リラックスして自然体であるということに気がつきました。私も生活の質を高めたい、深みのある人生を過ごしたいと感じ、神山への移住を決心しました。私は人が集うところをつくりたいのでカフェをつくろうと思い、認定特定非営利活動法人グリーンバレー*に企画書を書いて提出しました。

*認定特定非営利活動法人グリーンバレーは2004年に設立され、「日本の田舎をステキに変える!」をミッションに掲げ、神山アーティスト・イン・レジデンス(KAIR)、サテライトオフィス支援などの事業を運営しています。そのなかのひとつとして神山町移住支援センター受託管理事業を運営し、移住希望者の窓口となっています。

移住を決めるにあたって、自分の人生を振り返ってみました。私は鶏を飼っているのですが、自分自身に長いブロイラー時代というものがありました(笑)。用意された安全な環境でぬくぬくと育ってきたということが分かって怖いなと思いました。会社員生活を通じて「よくこなす」ことが得意だということに気がついて。でも自分との対話を通じて自分で「つくる」ということをしたいということがわかりました。

神山ではいわゆる「地鶏」として太陽が燦々と降り注ぐ環境で育ってきましたが、それにも疑問が起こるようになりました。だんだん、野生の鶏を目指すようになりました。神山町には面白い人がいて、その人達と話すと野生というよりも渡り鳥で、世界各地を飛び回り、「ごきげんさん」状態の人がいるんだなということに気が付きました。渡り鳥に会うと、自分たちの存在が分かってくる。まだ野鳥とも言えないなと。

神山の人とは違い、都会で枠のなかで生きてきたものですから、仕事をして消費して仕事をするという繰り返しのなか、使ったら減る資産のもとで生活をしているということに気が付きました。つまり、全く豊かにはならない。そこで私は神山の人たちを見て、増える資産に移行しようと決意しました。神山の人たちは、里山で生きる知恵や技術、体力、そして人とのつながりという、使えば使うほど増える資産を持っています。

私はいま、神山の人のように、ごきげんさん状態で毎日学びながら作り出すという刺激的な日々を送っています。ただ、そういう日々を送るためにもいちばんの障壁となるのは、「コンフォートゾーン」を作り出す自分ということがわかりました。絶えず変化をしていくために年間160日オニヴァを営業して、残りの205日は学びの時間に充てることにしました。神山でオニヴァを営業することを通じて、面白い人とつながることでどんどんアイディアが広がっていきました。

齊藤さんが経営されているオニヴァ
齊藤さんが手作りされた森のサウナ
齊藤さんが手作りされた森のサウナ

神山に住むと自分の可能性にも気づくし、「増える資産」のもとに生きることが可能だということもわかるし、リスクのある事業に失敗しても、町の人の愛情や山河が包み込んでくれるので、不安を感じずにまたチャレンジができます。アントレプレナーにとってもチャレンジできる環境だと思います。方角を示すことができれば、みんな迷わずついてこれる。花道を行くのではなく、道をつくって花を植えようという気持ちになります。

加来)
僕の周りでは、時間やお金を消費しながら楽しくチャレンジしているはずなのにすり減らしているという言葉が聞こえてくることも少なくないので、増える資産というのは自分にとっても真新しい価値観だと思いました。

野武士型パイオニア

加来)
今回よく出てきている「枠」というキーワードについて、枠があるということに気付かない人、枠の外の世界に気付いたとしても目を向けること自体が怖い人がいると思いますが、枠を認識して、枠から目を逸らさないコツみたいなものはありますか?

齊藤さん)
自分から逃げずに闘うことだと思います。壁なんてものは本当はないので、自分がやると決めたら、1cm、1mmでも前に進むということが大切です。そのためにも自分の取扱説明書みたいなのは作る必要があるかもしれません。おなかが空くと機能が落ちやすいよね、みたいなメタ認知をしつつ、限界超えしなければ成長はないと思いながら毎日を過ごすことが大切なのかもしれません。神山では失敗しても、山もあり川もあり、そして何よりも温かい人たちがいるので、そういった意味で神山に移住するということは恐れをなくすことにつながるかもしれません。

加来)
セプテーニグループ内では「アントレプレナーシップ」の解釈として、「コントロール可能な資源を超越して、機会を追求すること」というハーバード・ビジネススクールにおける定義がよく使われています。枠というのはもしかしたら「コントロール可能な資源」なのかもなと思いました。枠をつくるのも枠を超えるのも自分次第。神山の歩みから、枠を超えてきたことの証左を感じられるし、ここに実際に訪れることでより強く実感できると思いました。セプテーニグループの皆さんにもぜひ来てほしいですね。

大南さん)
裏を返すと、コントロール可能なものをコントロールするべきやな。つまり、自分の心と人の心、どちらがコントロールしやすいかといえば前者。自分の心をコントロールすることで、結果的に周りの人たちを変えることができるという気付きもあった。それは水が流れ落ちるのと一緒で自然の摂理。それを相手を変えてやろうと思ったところで変えるのは無理なんやな。

神山まるごと高専の構想の初期段階で、「どのような人間を育てたいのか」ということを議論したときに、ここにいる齊藤郁子さんをつくろうという話になったんよね。

齊藤さん)
めっちゃ恥ずかしいです(笑)

大南さん)
ほんで、齊藤さんを言葉で表現したらどのようになるのかって考えてみたら、「野武士型パイオニア」という定義に行きついた。例えばの話、仮に僕が齊藤さんの上司で「神山は居心地がええかもしれんけど明日からサハラ砂漠に行って」という赴任命令を出したとしよう。翌月サハラ砂漠に査察に行ったら、齊藤さんは砂で新しいものをつくっていると思うんよ。

つまり、既にそこに存在するものを組み合わせて新しいモノをつくりだせる人が「野武士型パイオニア」。普通の人は、砂だけだと何もつくれないからお水が欲しいとかいうんだけど、野武士型パイオニアは世界のどこに行っても活躍できる。それが神山まるごと高専の卒業生のイメージ。

データ産業の一流会社の社長に会ったときに、この人は物事に対する向き合い方がいいから、飲食産業でもうまくいくだろうという人がいたんだけど。物事に対する正しい向き合い方をインストールできる学校をつくることで、条件的には恵まれていない場所であっても、発酵が起こり、いろんな面白いことが引き出される。

自分の直感を信じて進む

齊藤さん)
条件が満たされていないところにこそチャンスが眠っていると思います。いろんなものが枯渇しているときこそ、自分の伸びしろもあるでしょう。データをもとに判断することは大切ですが、自分の直観に従って進むことも大事だと思います。

大南さん)
一般的に、成功と失敗をきっちりと分けすぎると思う。今までどんな失敗をしてきましたか?という質問をされたら、「僕は失敗したことないんだよね、うまいこといかなかったことはあるけれど。」と答える。僕自身はうまいこといかなかったプロジェクトを頭の中の未来フォルダにいれて、あるとき、問題解決できそうな人に出会ったら、そのプロジェクトにアサインする。物事がうまくいかないときって、考え方が進みすぎていたり、キーとなる人物がいなかったりすることが多い。今まで上手くいかなかったことを捨てずに、一時的に預けるということが重要やと思う。

加来)
本日お聞きした考え方や姿勢から、神山まるごと高専でアントレプレナーが育つイメージを掴むことができました。アントレプレナーとして生きる上ですごく優しい愛をもらえるから、自分を奮い立たせて自分で決めて進めばいいということが分かりました。

僕自身の話にはなりますが、とある飲み屋で信じられないほど若々しい71歳くらいの男性とたまたま居合わせたことがあります。若さの秘訣を聞くと、「俺は常に安易な方しか選んでこなかった」と仰っていて、非常にはっとさせられました。おそらく今日お話しされたことにも通じるかなと思っていて、素直に自分の気持ちがいい・ワクワクする方向に進むことで、いい意味で若々しく生きていけるのかなと思いました。その点なんかは、きっと我々も神山のみなさんにも共通していることかなと。

セプテーニグループと神山まるごと高専の重なりは、もっと時間をかけてたくさん見つけながら徐々に関わりも深めていけたらと思いますが、その片鱗をたくさん感じることができるとても幸せな時間でした。これからも仲良くしていただけたら嬉しく思います。

本日は本当にありがとうございました!

#セプテーニグループ #神山まるごと高専 #アントレプレナーシップ #寄稿