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モチベーション:Topic2 内容理論

モチベーションの授業の2回目。今回はメジャーどころの内容理論。

<授業での学び>

・人々が何を求めるか、ニーズに着目したのが内容理論。

【Maslowのニーズの階層構造】
・人々のニーズは階層構造になっており、下から生理的欲求、安全欲求、社会的(所属的)欲求、承認欲求、自己実現欲求がある。
・上の階層のニーズが満たされる前に、下の階層のニーズが満たされる必要がある。
・マズローはこの理論が仕事のモチベーションに用いられることには懐疑的であった。(所感:知らなかった。わかりやすいので他の人々が勝手に応用しようとしていたのか。)
・マズローの理論に対する批判としては、以下がある。
 ー各ニーズの定義が曖昧
 ー証明するエビデンスが少ない
 ー証明するためのリサーチデザインが倫理的に難しい

【AlderferのERG理論】
・ニーズには、存在欲求(Existence)、関係性欲求(Relatedeness)、成長欲求(Growth)があるとした。
 ー成長欲求は万人には当てはまらない。
・この理論は階層的ではあるが、複数の欲求が同時に起こりうるとした。

【Herzbergの二要因理論】
・動機づけ要因と衛生要因があると主張した。
・動機づけ要因はモチベーションに繋がるが、デモチには繋がらない。
・衛生要因はデモチには繋がるが、モチベーションにはならない。
・二要因理論に対する批判は以下。
 ー衛生要員のうち、満足にも不満足にもなりうるものがある
 ーHerzbergと違う方法で検証すると、この理論をサポートしない結果が得られる

【その他の近代的理論】
・価値理論(Values theories)
 ー価値観によって人は振る舞う
 ーニーズとの価値観の区別は難しい
 ー職業選択や働き方に現れる
・個性理論(Personality theories)
 ー生まれながら、あるいは幼少期に形成され得る
 ー個性がゴールに影響し、ゴールがモチベーションに影響する、というのが一般的な結論

【自己決定理論 Self-determination theory (SDT)】
・近代的理論のうちメジャーな1つ
・人々は下記の基本的な心理的ニーズを持つとする。
 ー自律性(autonomy)
 ー有能感(competence)
 ー関係性(relatedness)
・これら3つが満たされると、内発的動機が最大化される。
・外発的モチベーションの内部化には次の3つがあり、下に行くほど内部化と自己決定の度合いが高くなる。
 ー取り入れ的調整(Introjected regulation):パフォーマンスによって自尊心が生まれているような状態
 ー同一化的調整(Identified regulation):目標や価値観、規則が重要であると認めているような状態
 ー統合的調整(Integrated regulation):目標や価値観、規則が自分の考え方と一致しているような状態
※自己決定理論を日本語で解説したサイトを検索すると、ほとんどregulationを「調整」、と訳しているが、「ルール」「規則」とした方がニュアンスが近い気がする。
・自己決定理論は、成人学習やスポーツに適用されている。
(所感)基本的な心理的ニーズのうち自律性しか自己決定と関係ないように見えるが、他の2つの要素は自己決定とどう関係するのか?

【社会的交換理論 Social Exchange Theory (SET)】
・近代的理論のうちメジャーな1つ
・長期間に渡りリソース(感情、感謝、フィードバック)を交換すると、強くポジティブな関係を築く傾向がある。
・従業員が、自分が組織に対して投資した分の見返りが組織からないと感じた場合、退職することが多い。

(所感)それぞれの理論はある局面では正しいと思われるので、そろそろ統一場理論的に統合する時期に来ているのではないか。

<課題論文1>自己決定理論とワークモチベーション

自己決定理論の提唱者の1人、Deciによる論文。内容は以下。
・自己決定理論
・自己決定理論による個人の違い
・他の理論との関係
 ーゴール設定理論
 ーAction regulation theory ※良い訳が思いつかない
 ーKanferの特定タスクモチベーション
 ージョブ特性理論
 ーニーズと動機:Maslow, Herzberg, and Alderfer
 ーKelmanの内部化理論と同一化コンセプト
 ー組織コミットメント
・組織におけるSDT研究
・SDTモデルのための研究アジェンダ
・他の組織行動のリサーチクエスチョンとの関係
 ー組織市民行動
 ー満足とパフォーマンスの関係
 ー報酬の影響
・自発的外発的モチベーション
長いので読めていないが、特に他の理論との関係などは理解を深めるためにちゃんと読みたい。

Gagné, M., & Deci, E. L. (2005). Self‐determination theory and work motivation. Journal of Organizational behavior, 26(4), 331-362Gagné, M., & Deci, E. L. (2005). Self‐determination theory and work motivation. Journal of Organizational behavior, 26(4), 331-362

<課題論文2>未来のワークモチベーション理論

モチベーションに関する研究を、その歴史を振り返り、未来の方向性についてまとめた論文。ためにはなりそうだが面白くなさそうなので読んでいない。

Steers, R.M., Mowday, R.T. and Shapiro, D.L. (2004). Introduction to Special Topic Forum: The Future of Work Motivation. The Academy of Management Review, 29, 3, 379-387.

<課題論文3>ニーズ満足と仕事における従業員の回復状態

自己決定理論をベースに、仕事に関連するニーズが満たされることと、業務終了時の回復状況を調べた論文。ニーズが満たされていない場合、プレッシャーが高まると業務終了時の疲労が高まるが、ニーズが満たされているとプレッシャーが高まっても業務終了時の疲労が高まらない。また、ニーズが満たされていない場合、プレッシャーが高まると業務終了時に活力が下がるが、ニーズが満たされているとプレッシャーが高まっても業務終了時の活力が下がらない。納得感のある論文だった。

van Hooff, M.L.M. and Geurts, S.A.E. (2015). Need satisfaction and employees’ recovery state at work: A daily diary study. Journal of Occupational Health Psychology, 20, 3, 377-387.

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