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自信を持つのは良いことなのか?

カラーを塗り終えてお客様がふと手の甲をさすった。
シャンプーを終えてクロスをつけてからもう一度手の甲をさすった。

それを見た瞬間僕は少々お待ちください、と言ってバックルームに置いてるハンドクリームを差し出した。

「そうそうこれこれ」「わざわざカバンを取ってもらうほどでもないし」「でもちょっと乾燥するの気になるなぁ」
というお客様の心の声が聞こえた気がした。

そしてこの「そうそうこれこれ」を提供できた時の喜びが何とも言えない。


人対人ビジネスでこの心の声に敏感であることは本当に必須だと思ってる。

何年も夜遅くまでサロンに残ってひたすら練習して技術を習得したのに結局こういう部分でお客様がなかなかつかない、となると本当にもったいないと思うから僕は心の声を傾聴するように意識してる。
髪を切る練習はできるけど人を喜ばせる練習をもっとしないと。

僕はこの手のコミュニケーションには自信を持ってる。
きっと間違えてる時もあると思うけどそんなひどい道の外し方はしないしおおよそどんな人とでも会話のキャッチボールができる。
美容師に向いていると思う。
技術もお客様にきっちり説明して施術するしA型ならではで丁寧に意識するし骨格や髪質もしっかり見て施術する。
定期的にSNSや雑誌などをチェックしてトレンドの分析もする。

。。。

そう思って自信満々で仕事をしてるとなんかいつものようにうまくいかない時がある。

前担当させてもらったお客様が僕の指名ではなく誰でも良いという「フリー」の予約で入る。
自信をもつというのは大切だと思ってる。
でもその自信が「慢心」に変わった時点で自然と成長がストップしてるんだと思う。
自信が慢心に変わるのは至極簡単。
自分のことを「上手い」と思ったらそこで終わり。

でも自信が常に無い状態、「僕にはできない」「僕は下手くそ」と常に思いながらお客様に接するのも失礼だし、そんな美容師お客様から願い下げ。
なので僕は自分はできる、自分にはもっと極められる可能性がある、という自信をもちながらお客様に接している。

「今」の自分の施術、接客でOKと思って接するとそれは慢心からなる仕事になってしまう。
じゃなくて常に自分のなりたい理想を秘めながら、そのなりたい理想が正しいということに自信を持って、その理想に向かってお客様と接することこそが1番成長できるしお客様にも伝わるんじゃないかと思う。

そうするとお客様の心の声が聞こえる。
それは良いものもあれば悪いものもある。
ここで大事なのは「聞こえる」こと。
その自分の正しいと思ってる理想像は常にブラッシュアップされてないといけない。

お客様と話す中で材料を拾って拾って拾いまくる。

話を戻すとそのハンドクリームのお客様は看護師さんで恐らくこのご時世消毒を頻繁にしている。
お子さんもいるから家事で水仕事もあるかもしれない。
そんなにめちゃくちゃ話すタイプではなく、どちらかというと美容院には白髪が生えてきたから行かないとという使命感とルーティンから来店してくれていてサロン滞在中はリラックスした自分の時間を望んでいると僕は感じている。
1回目手の甲をさすったタイミングでハンドクリームも渡しても良いかもしれないけど僕の感覚ではそれはちょっとまだ早い、外す可能性もあると感じた。

そういったお客様のバックボーンから想像を広げて実際少し話してみて反応をよく見てお客様一人一人にオーダーメイドの接し方をする。
すると心の声が聞こえた時にはもう足は動いて行動に移り他の美容師との差別化が図れる。
それでもまだお客様の心を掴めない時もある。

自信と慢心の狭間で戦って常に理想像はブラッシュアップ。

その先に成功が待ってると信じて僕は毎日働きます。

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