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不健全さを解消してなお、それでも成果を出したい

先日、人と話していて
「瀬尾さんってクライアントの成果が出ないとき『ごめん』で済ませないよね」
と言われた。

確かに。
「ごめんで済ませたらお金もらえなくない?」
と思っている。
成果が出ないなら、成果が出るまでPDCAを回し続けるしかない。

一方でというか、だからこそというか、そのせいで逆に売れない自覚もある。
成果が出せないなら仕事は受けるべきではない的な、自縄自縛に陥りがちだった。

フリーランスのマーケターとして、自分はスキルがありますよとアピールしなければならない時だってある。
しかし、100%これなら成果が出せるという確信がないと、うまく話せない。

頭ではわかっている。
100%なんて存在しないということも、確信がなくてもできると風呂敷を広げておいた方がチャンスは巡ってくるということも。

そのわかっている頭の中に、無限に自分で責任を負おうとする妖怪を飼っている。
妖怪は「全部お前の責任だ」という無限に自責させてくる。

瀬尾ちゃんって武士感あるよね

これは、以前友人に言われた言葉だ。
言われた瞬間は「ぶ、武士?」と思ったが、よく考えれば武士とは言い得て妙だと思った。

たしかに自分に対して

「やるのか、やらないのか」
「やると決めたなら成果を出せ」
「成果が出せないなら切腹しろ!」

的なノリではある。
まあつまり、責任感があるとかストイックだとか言えるんだと思う。

前述の無限に自責させてくる妖怪が、私をストイックにさせる。

「クライアントの成果が出るのも出ないのも全部私の責任」
「私の努力が足りないからだ、もっと頑張らねば」
という感じで走り続ける。

それはそれで成果を出す上では大事なことだと思うのだが、自責を超えて自滅をしているのでまあ不健全ではあるよねと。

そんな不健全さを感じ、数年前から月1~2回くらいの頻度でコーチングを受けている。

まだまだ足りない、もっともっと

コーチングを受けて、私がストイックになった要因も最近わかってきた。
「自分はまだまだだから、もっと頑張らなければならない」
という、けっこう強い思い込みがあったように思う。

それは母の影響が強そうで、母は足りないところを指摘することが得意な人だった。
99点を取ったら褒めるより先に「あと1点は何で落としたの?」と聞くタイプ。

印象的だったのは、学生時代にテストの結果が学年総合3位だったとき。
これまでにない成績だったので自分ではかなり満足だったのだが
「1位までもう少しだったのにね」
と言われたこと。

私はトップとを取ることにさほど興味がないタイプなので、まだ足りないのかとびっくりした。
多分、そういう母のおかげで、努力や改善に余念がなくなったと思う。

一方で成果を上げても
「まだこのクライアントに喜んでもらっただけだから努力が足りない」
「まだこのスキルしかないから努力が足りない」
「まだ誇れるほどの売上がないから努力が足りない」
みたいに、まだ足りないもっと努力せよマインドも強化されたように思う。

(これは言い換えれば、母からの褒められを無限に欲しがるマザコンの爆誕でもある。)

よくある例え話で言えば、コップに半分水が入っていても「半分しかない」と感じるような、もっと水を満たさなければという意識が強かったように思う。

得たもの失ったもの

こういった、もっと努力して成果出さねばというヒリヒリ感や成果への異常なこだわり感は、結果として私に色々なものをもたらしてくれたと思う。

ワンオペ育児でもなんとかなる時間の融通とか、シングルでもなんとかなるお金とか、任せておけば大丈夫というクライアントからの信頼感とか実績とか。
それらが今の私を支えている。

一方で、「成果を出すのが当然で、自分にはまだ努力が足りない」と思っているために、失ってきたものも多分たくさんある。
たぶん、主にチャンスとか、自分の心の健康さとか。

クライアントが満足していても、私が納得いく結果ではなかったことによって実績を誇れなかったり。
いつまでも初心者ぶって保険をかけたり(よく考えたらもう9年もマーケターをやってるのに!)するのも、そういうマインドのせいだろうなと今は思う。

それでも、やっぱり成果はほしい

長々書いたけど、要するに自縄自縛というか、こういう自分の不健全さをここ数年で自覚して、数年かけて俯瞰してみれるようになった。

つい昨日、
「つまり瀬尾さんがやってることって、与えられたKPIを追うだけではなくKGIも一緒に追うってことですよね」
と言われた。

私の中で当たり前のことすぎて特に言語化はしてこなかったけど、そう言われて、確かに世の中にはKIPだけ追って満足するマーケターもいるなと思った。

私の場合、KIPだけ追うことを求められるとき、大体クライアントとのミスマッチが起きている。

私がなんのための仕事をしているのかというと、もちろん報酬のためなんだが、その報酬には金銭的な報酬と、精神的な報酬の2つがあると思っている。

金銭的な報酬はそりゃまああればあるだけいいが、最低限、私と子どもが楽しく暮らせればいい。

問題は精神的な報酬だ。
私にとって「瀬尾さんのおかげです」というクライアントからの言葉が、最も大きな精神的報酬だと感じている。

逆に、KPIだけ追ってくれれば良いです的な扱いをされると、
「じゃあ私以外の人の方が良くない?」
という気分になることが多い。

精神的な報酬を得るためにはやっぱり努力して成果(KGI)を上げなければならないし、せっかく報酬を得るなら私はどちらも欲しい。
お金だけもらっても、それはやりがいにはつながらないので。

ということで、自分を追い込んでまで仕事をするのはやめるけど、クライアントへの成果は相変わらず追っていきたいなという振り返りノートでした。