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『 響け!ユーフォニアム 』の撮影についての考察記事執筆用のメモ

データの整理をしていたら2015年(!)に発行されたアニメスタイル007の『響け!ユーフォニアム』の特集記事の中で本作の撮影処理について解説した記事を執筆した時に作成したメモが出てきて、久しぶりに読んだら結構面白かったので公開してみようと思います。
実際の記事が掲載されているのはこちらになります。

そもそも最初は取材協力という感じで打ち合わせに参加したところ途中から記事そのものを書くことになったという経緯で、ライティング自体全く未経験のまま突然商業誌の記事を書くことになり、えらく慎重に書いていたのを覚えています。あからさまに断定口調を避けた書き方をしていたりしたのですがそのあたりは容赦なく赤が入れられたりと、公に出すものとしてはある程度自信をもって主張できないとだめだなと思い直したりもしました。それでもかなり自由に書かせていただけたので甘めに見ていただいていたのかなとも思います。

時が経ってこうして昔書いたものを冷静に眺めると、当時の自分の思考を改めて見るっていうのも時には必要だと感じますね。今ならこうは考えないという部分があったり結構バイアスがかった見方もしていたりしますし。
たった8年前ですが、当時は今ほどアニメ撮影にスポットが当たっていなかったので専門にやってる人以外はそこまで興味をもって語られる分野ではなく、全体に何を選んで記事化するかポイントを探っている感じですね。本編を3~4回周回しながら興味を引きそうな表現や個人的に気になる表現、また実写と比較して考えられそうな部分などをピックアップしています。
実際の記事では紙面の関係や使用できる場面写の都合などもあるのでこのメモをベースに取捨選択しながら書いていったと記憶しています。
以下メモになります。


フレーム周辺画像処理
まるで性能の悪いレンズで撮影したような効果
ビネット、周辺解像度低下、色収差など
定番の効果テンプレートとして用意しているのか?効果の名前は?
性能の悪いレンズっぽいのはなぜ?
情感を高めるため?単なる趣味?
アナモルフィックレンズの感じを出してるのか?
なんでアップで多様する?
中望遠域ぐらい?
主観視点にも入る事が多い

最終回アバン後タイトルまでの全カット
控え室での音出しシーン
着席から演奏シーン
最終回の演奏シーンは最もレンズ撮影的効果が多用されて今までにない物も付加されている
レンズダストやオーブの表現も
(撮影的超細かいツッコミ……リアルに考えると演奏シーンは一発撮りで複数カメラを使うはずなので全カットで同じレンズダストが入ってるのが惜しい…)

たまこまーけっと 1話冒頭 ほぼユーフォと同様のレンズ効果で遠くからの客観的な視点
エンディングの処理も全編に同様の効果 メガネで歪んだ視界かと思ってたが… 
演出は山田さん
本編でも同様の処理はあるがあれほど極端ではない
京アニ作としては氷菓の1話冒頭も同様の効果あり。
山田監督の視点?
アニメに対する関わり方がジェンダー的
日常を描く 日常の中のみずみずしさを切り取る

要所要所で入るフォーカスを使ったカメラ上の演出
ピント送りの効果
視線誘導 同一カット内で切り返しの代わりになる
1カットで2カット的に感じる効果
複数キャラクターを同一画面内に置きながらもピントをずらすことで各々の関係と心情をよりドラマチックに見せる
2話c234多数決のシーン ハルカとアスカ
11話c93再オーディションについて話すアスカとカオリ
2話c205-206滝先生登場シーンの2カットはカット全体に対してのピントのゆらぎ
ピントの揺らぎは心の揺らぎ

見る側へカメラを意識させているのか?
キャラの意識をより明確にするためのもの?
被写界深度の浅さも同様
目線の高さで多くの人物が並ぶ吹奏楽のシーンでは有効だから?
浅い被写界深度は柔らかい雰囲気の繊細なみずみずしい画面になる
・青春のシズル!

ボケのサイズ変化が入るなどリアルにしてるのはなぜ?
5話サンフェス会場で檄を飛ばすカット、滝先生の話すカット背景はリアルブラー
使い分けはあるのか全部リアルブラーか?ちょっと確認しづらいのもあるので不明

暗い室内で明るいレンズで撮ってるというような実写的意識はあったか?
その他のシーンではカメラの焦点距離や絞り、被写界深度に対するこだわりはあったか
あったとするとそれはどのような効果を狙ったか
リアルに映画的な効果を狙ったのか
あくまでアニメとしてよりドラマチックにするためなのか?

11話Aパート クミコが校舎の裏で個人練習している一連のカット
むせるような真夏の暑さや湿度を光の演出で見せるシリーズ中でも特に印象的な場面ながらフットライトが不穏な空気も感じさせる
日陰の中、キャラ影色、フットライト、地面の反射光、背景のまぶしい輝き(リアルレンズブラー)等光の演出設計
光の設計はどのように行った?

12話c279「上手くなりたい!」と叫びながら橋に向かって走りだすクミコのカット
初めて爆発するクミコの感情が手持ちカメラ風の3次元の動きもあいまって臨場感に溢れ効果的表現されている
川の流れも現実ではありえない輝きを放ち、やはりフットライトとなってクミコの不安も表現
CGカットの作成手順は? 

「たまこラブストーリー」山田尚子監督インタビュー
第18回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞受賞

もともと実写的なアプローチが好きなんです。レンズを意識したり、望遠気味に撮ったり。それは「映画」への憧れが影響しているのかもしれません。もともとテレビっ子で小さいころから深夜に放送されている映画をよく観ていて、そのたびに夜寝られないような興奮を味わっていたんです。今度は自分が撮る側になって、自分の作品でそうした興奮を視聴者に味わってほしい。だから、演出するうえでも「カメラで被写体に迫る」という感覚が強くて。
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https://animeanime.jp/article/2015/01/29/21773_2.html

実写カメラ的表現は
京アニ人気を支えるキャラ萌えを壊さずに客観的視点を入れ、表現する為の手法か?
監督が自覚していないかもしれないが結果としてそういう効果になっている
ファンとしても容認できないという意見もあったがアニメ好きからすると妥当かも

カメラブレも臨場感高めるというよりも
カメラ、つまり他者の視線を意識させる為のものでは?

どういう基準で手ぶれ入れているのか?
ジャンプカットやタイムストレッチも臨場感を削ぐ
その分時間の密度が上がる 
ジャンプ>時間を省略
本来同一カットのはずが瞬時に一部の画が切り替わる事で時間が飛んだ印象を作れる
同ポジでカットがつながっていながら時間経過があるように見える
間を切ることで同ポジカットで時間経過を表す 独特の間を感じさせるなど
ストレッチ>時間を圧縮
インタビューによると映画の影響 監督の作風らしい
今作はジャンプカットほとんど無い
2話c6クミコとレイナの妄想和解シーン 3話チューバにオイルさすシーン 11話c40アスカがクミコの顔を潰してるカット
ストレッチは全くなし…と思う…

男性監督は臨場感の付加やカッコイイ画面作りの為に効果を使う傾向が強い
ゴットイーターはアメリカのテレビ番組やMVぽい効果になってる。
タイムストレッチ(スローモーションの挿入)フラッシュ等

CG
使用比率は?
楽器で使ってるのはどの程度?作画のあたりは?
7話c193 クミコが注意されるシーンの低音パートの面々はキャラごとCGっぽい はるか復帰の挨拶も
絵コンテでCGと確認できました!
10話滝先生が再オーディションの告知するシーン夏服バージョンもCGっぽい
12話c12の練習シーンなども。教室前からのカットでは結構使っている?
キャラの重なり具合等レイアウトが絵にしては不自然に見える 楽器細かい キャラの描き込みも細かく見える
教室フルショット用のCGが有るのでは?OPで使ってるショットの流用?
他にも使用カットがあるか?
5話行進シーンは?
9話ラストシーンはCG作画併用手前のキャラは作画TU<コンテで確認!

8話レイナがクミコの顔を指でなでたあとの2人の顔のアップ
目のハイライトの差し色が無いのが気になる…

エフェクト
京都アニメーションデジタル映像開発室
どういった仕事内容?


以上
『ユーフォ』は今年の夏に新作映画も公開されるのですが現在の表現の変化にも注目しつつ見てみたいと思います。


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