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炎症性腸疾患(IBD)の一覧〜症状や治療法など

クローン病(CD: Crohn's Disease)

■ 概要
 指定難病96。大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患で、潰瘍性大腸炎と共に炎症性腸疾患(IBD: Inflammatory Bowel Disease)と呼ばれる。
 潰瘍性大腸炎との主な違いは、口内から肛門までの消化管全域に、粘膜表層だけでなく深い筋層まで炎症が及ぶ(全層性の炎症)ことである。
■ 患者数
 4万人程度
■ 症状
 主に腹痛と下痢で、下血を伴う場合もある。痔ろう(膿が出る穴を伴う痔)を合併するケースも多い。
 良くなったり(寛解期)悪くなったり(活動期)を繰り返す。
■ 治療
 炎症を抑える薬剤を使用する。重症例ではステロイドや免疫調節薬を用いる。炎症を悪化させないような食事も重要で、特に脂肪のとりすぎや食物繊維の多い食品は避ける。栄養障害を起こすため栄養療法も必要になる。
 腸管が狭窄(狭くなる)や穿孔(穴が開く)したり、膿瘍の合併症が起きた場合には外科治療を選択する。
■ 予後
 診断後10年で70%程度が外科的手術が必要になり、さらに再手術率も5年で30%程度であるため、再燃予防が重要である。ただし、診断後10年の累積生存率は97%と生命予後は良好である。

潰瘍性大腸炎(UC: Ulcerative Colitis)

■ 概要
 指定難病97。大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患で、クローン病と共に炎症性腸疾患(IBD: Inflammatory Bowel Disease)と呼ばれる。疾患名の通り、主に大腸で炎症が起きる。
 若年層に患者が多い。

潰瘍性大腸炎の発症年齢(難病情報センターより引用)

■ 患者数
 16万人程度。
■ 症状
 主に腹痛と下痢で、症状が重くなると粘血便。
 良くなったり(寛解期)悪くなったり(活動期)を繰り返す。
■ 治療
 炎症を抑える薬剤を使用する(5-ASA製薬)。5-ASA製剤が無効の場合や重症例ではステロイドを用いる。ステロイドは寛解維持の効果はなく副作用も強いため、寛解導入を目的として短期的に使用される。ステロイド離脱が困難な例やステロイド無効例では、免疫調節薬や抗TNF-α抗体製剤を用いる。顆粒球除去療法(GCAP: GranuloCytAPheresis)という炎症の原因である顆粒球(白血球の一種)を除去する治療法もある。
 炎症を悪化させないような食事も重要で、特に脂肪のとりすぎや食物繊維の多い食品は避ける。
 腸管が狭窄(狭くなる)や穿孔(穴が開く)したり、膿瘍の合併症が起きた場合には外科治療を選択する。
■ 予後
 クローン病と同様に生命予後は良好であるが、長期間病気と付き合っていく必要がある。

参考サイト

難病情報センター

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