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マツダ3を再評価する

千弥です。

私が最初にマツダ3を見かけたのは近所の印刷屋の駐車場でした。
姿自体はウェブサイトでも確認していましたし、デザインの評判は前から知っていました。しかし、実物で見たそのプロポーションの流麗さに、私は思わず目を奪われてしまいました。

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特徴的なスタイルゆえユーティリティに難があることは否めませんが、この美しさと、コンセプトカーをそのまま市販化した勇気には誰もが賞賛を贈るだろうと確信していました。

実際は、ネット上に批判と疑問の言葉ばかりが散りばめられていました。
コンセプトに対する評価もろくにされず、挙句の果てには「所詮はマツダ」などというレッテルによる侮辱まで受ける始末です。

本当にマツダ3は非難されるべき車なのでしょうか?

外車のパクリなどではない

MAZDA3に限らず多くのマツダ車が”外車のパクリ”と言われていますが、比較してみましょう。

ネットではよく”長いボンネットがBMWのパクリ”と言われていますが、この”ロングノーズ”は車を美しく見せるためのよく知られた手段です。
FFであってもボルボやアウディは前輪ードア間の距離(プレミアムレングス)を設けてボンネット長を長く設定しています。マツダに限ったものではありません。

ボルボ(上)アウディ(中)マツダ3(下)

また、フロントフェイスがジャガー、マセラティのパクリだという声が意外と多いので比較してみましょう。

比較
マセラティ(左上)ジャガー(右上)マツダ3(下)

並べてみると、共通点が殆ど無いですね。
マツダ3が丸形デイライトであるのに対し、マセラティとジャガーはライン状です。サイドのベンチレーションもマツダ3にはありません。
つり目状のヘッドライトと大きく開かれたグリルなどはどの車にも採用されているデザインです。

流麗なボディは先進性の証

マツダ3のリアは独特な形状をしています。
ボディ側面から滑らかに繋がるデザインが気持ち悪いという声がありますが、そんなことありません。

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確かにCピラーは太く、キャラクターラインは排除され一見奇妙にも見えます。しかし、欧州ハッチバックの殆どはリアエンドは丸みを持ったワンモーションフォルムです。

典型的な欧州メーカーのハッチバック

”塊感”が生まれ、より躍動感が演出されます。曲面は鉄板のプレス技術、工程に依存するため高い技術が要求されます。

つまり、丸いボディは先進性の証です。

セダンも美しい

セダンが時代遅れと評されているようですが、マツダ3はセダンもしっかりモダンで美しいです。
FFでありながら伸びやかなサイドからトランクまでのプロポーションは高級車と見紛うほどに完成度が高いです。

今や高齢者と車オタクしか支持していないセダンのラインナップに、マツダがきちんと貢献しているのです。

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い?

マツダ3に対する中傷の中には、カタログスペックに対するものも含まれます。
実際、エンジンの非力さとトーションビームの採用には一定の批判が集まることは理解できます(副社長の”プジョーにのってみろよと”発言はあまりに軽率でしたね)。

しかし、これはマツダ3の総合的な評価を大きく貶めるものではありません。カタログスペックがアベレージより低い(実際には値段なり)というだけで、内外装に力を入れた車をハリボテと揶揄するのは見当違いです。

日本国外の反応は普通に良い

マツダ3の発表時、日本国内でのバッシングの多さに疑問を持った私は、国外のレビューサイト、ブログ等を漁っていました。結果、細かい粗については指摘されているものの、マツダ3のデザインに”醜い”という評価を下している人間はほぼ皆無でした。
むしろ、日本のサイトでは非常に少なかった多くの賞賛のコメントに溢れていました。

いや、侮辱する人はいました。YOUTUBEのマツダ3レビュー動画のコメント欄にて、”マツダはドイツ車のパクリだ!!”と豪語する日本人が。

私はそれまで日本人のレビューばかり見ていたので、「ああ、このコメントにも多くの人間が賛同のコメントを残すのだろうな。」と考えていました。
しかし、このコメントに集まったのは数々の反論でした。
「全くBMWにもAUDIにも似ていない。」「マツダの方がより美しい。」「お前の認知に問題があるだけだ。」など、このコメントに対する賛同が全くないという状況を見て、私は病的なマツダ3批判は日本でしか起きていないムーブメントだと確信しました。

日本はマツダの挑戦を否定してはならない

マツダ3は結果的に好調なセールスとは言えませんが、”美しい車を作る”という試みをこれで諦めないでほしいです。
マツダ3が売れない原因としては、視認性の悪さやカタログスペックというより、世界的にSUVが人気であるということが大きな要因になっていると考えられます。実際、国際的にCX-5やCX-30は売れていますし、CX-3はモデル末期でありながらも未だ一定の需要が存在します。

マツダのSUV

チーフデザイナー前田育夫氏の異動、デザインの詰めの甘いCX-60の販売など、マツダは日本における”売れ筋デザイン”にシフトしようとしているのではないかという疑念がぬぐえません。

他の記事でも繰り返し主張していることですが、日本人のデザインセンスは新興国レベルです(いや、それ以下かも…)。
歪んだプレスラインとグリルデザイン、エアロとメッキの加飾で溢れた車種が高いセールスを記録する流れはここ数年で更に加速していると感じます。

マツダは欧州のセンスと日本の伝統芸術の”和洋折衷”をデザインの理想としているからこそ、美しい車が作れるのです。
マツダが日本人的嗜好にすり寄れば、販売規模の小さいマツダはますます世界的評価を下げてしまうでしょう。

日本車全般に言えることですが、派手で醜い車では今のセールスを守ることが出来ても、将来的な消費者である若者が憧れてくれるとはとても思えません。

例え買わずとも、マツダ3という”芸術作品”を売り出したという企業努力を日本人は否定してはならないと、私は一貫して主張し続けます。

とはいえ…

マツダにこれほどアンチが多いのは、マツダオタクが他メーカーを露骨に罵ったりしてきた背景もあったり、全体的に車のリセールバリューが低かったり、マツダがそもそも経営が下手だったり、社員の発言が余計だったりすることが原因です。そこらへんは改善すべきと切実に思います。

結び

マツダ3はやはり美しい車です。
オタクの論評に惑わされず、魂動デザインにプライドを持った車づくりを続けてほしいです。

それでは。

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