見出し画像

海を見た日

途方もない憂鬱を投げ出したくて
家を出てタクシーに飛び乗った

行き先は決まってなかった
とにかく毎日から逃げたかった
みんなから隠れたかった

運転手には何も言わなくても発進した

どこに行くにも自由だ
窓にもたれながらそう思った


メーターが2000円になった頃
喫茶店200m先、という看板が見えたので
運転手に、

「あの喫茶店に行きたい」と伝えた


タクシーはずっと進んだ
200m以上走ってる気がしたけど、行かなかった仕事も、親も友達も、音楽さえも、もうどうでもよかった。

ふと窓の外をみると、
海がきらきらと踊っていた

ほんのちょびっと隠してた不安が完全になくなった

あー、衝動的に飛び出してよかった。
こんなに綺麗なものが み r 


んんん…
うるさい目覚ましの音、くたくたになった布団

あ…朝だ…
夢だったんだ…

こうしてまた途方もない憂鬱と向き合う

わたしにはまだ、この現実から逃げ出す勇気がないから。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?