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「好き」なことは仕事にすると「嫌い」になるのか?

学生の頃、料理の上手な友人がいました。

私の下宿は彼の近所のだったので、しょっちゅう遊びに行ってました。

「こんなに料理がうまいなら、料理人になれば?」

ある日、彼の作った絶品ビーフシチューを食べながら私が何気なく尋ねると、

「えー!やだよー!だって好きなことって仕事にしちゃうと嫌いになるじゃん」と彼は答えました。

私はこの時「なるほど、そういうものかー」と妙に納得したのを覚えています。

「好き」なことを仕事にしてみた

2年ほど前、私は自分の趣味であるランニングやハイキングを「仕事」にしてみました。

イベントを開催したり、Kindleで書籍を販売してみたり、アフィリエイトサイトを作ったり、グッズ販売してみたりと色々ためしています。

当初は集客に苦労しましたが、現在はどうにかアルバイト並みの収入を得ることが出来るまでになりました。

「好き」が「嫌い」になったのか?

それでは「好き」を仕事にしてみた結果、私は自分の趣味が「嫌い」になったのでしょうか?

結論から言うと「嫌い」にはなりませんでした。

それどころか、もっと「好き」になっています。

私は相変わらず走ることが好きですし、一人で山に行くことも大好きです。

自分の「好き」なことで誰かが喜んでくれて、感謝の言葉まで頂けるので、以前より「好き」になっているというのが現状です。

「好き」なことでイベントを開催した日の帰り道、私は多幸感でホクホクしていることが多いです。

「また楽しんでもらえるイベントをやるぞ!」

そんな未来への期待と、参加してくれた方々への感謝の気持ちでいっぱいです。

我ながら幸せなヤツだと思います。

「好き」が「嫌い」になるのは何故か

しかし「好きなことを仕事にすると嫌いになる」というのは一般論としてよく聞く話です。

なぜでしょうか?

ここからは私なりの考察です。

「好き」なことが「嫌い」になる現象の多くはビジネスモデルを「作る側」か「回す側」かのポジショニングの問題ではないでしょうか?

ビジネスモデルとは、

1. 商品をつくる

2. お客様を集客

3. お金を回収し次の商品をつくる

といったビジネスにおける一連のサイクルを指します。

これらを「自分で作る場合」と「他の人が作ったものを運用する場合」との間で齟齬がある時、「好き」なものが「嫌い」になってしまうという悲しい現象が起こるのではないでしょうか。

ビジネスはアートのようなもの

私はビジネスはアート作品のようなものだと思います。

どんな小さな仕事であれ、その人の人柄や人生観が投影されていて、価値観や世界観が表現されているものです。

例えば同じ「小売業」でも、時流を追う「転売ヤー」になるような人もいれば、センスの良い「セレクトショップ」を運営するような人もいます。

その意味で「自分のビジネスモデル」を生み出すことは、作品全体を統合する「プロデューサー気質な人」に向いている仕事だと思います。

一方で既存のビジネスモデルの一部を担当することは「職人気質な人」に向いている仕事だと思います。

「好き」なことが「嫌い」になってしまうような場合は、この「プロデューサー気質な人」が「職人気質な仕事」を担当してしまっているケースに多く見受けられます。

例えば、料理が好きでレストラン経営がしたい人が、毎日ひたすら料理の下処理を担当するような場合です。

たとえ夢だった飲食業に就職ができても、独立し自分の店をもたない限り、それはその人のやりたいことではありません。

長い下積み時代に、いつしか料理そのものが嫌いになってしまうことも可能性として大いにあり得ます。

「好き」を「嫌い」にしないために

前述の料理好きな友人は、その後Webディレクターとして活躍しています。

今でも料理は好きで、ホームパーティなどを開催すると必ず何か美味しい一品を持ってきてくれます。

彼のように「好き」なことはあくまで「趣味」と割り切る生き方も素敵だと思います。

一方で「好き」なことを仕事にする場合は、自分がビジネスモデルを「作る側」なのか「運用する側」かのポジショニングを意識することが大事かと思います。

その際、
もしあなたが「プロデューサー気質」でビジネスモデルを「作る側」である場合は、どんなに小さくてもよいのでご自身のスモールビジネスを今すぐ始めてしまうのも、一つの手かもしれません。

料理が好きな人が調理師免許を取得し、自分のレストランをオープンするまでに途方もない時間がかかります。

しかし、週末にキッチン付きのレンタルスペースを借りて料理教室を開催することなら、きっとすぐにでも出来るはずです。

集客は「Peatix」や「Meetup」といったイベントアプリを利用すれば可能です。

誰かのリアクションが得られれば、きっと大きな目標へのモチベーション維持に繋がるはずです。

何よりも、そうすることでせっかくの「好き」なことが「嫌い」になってしまうような、悲しいケースはだいぶ減らせるのではないでしょうか?

以上、
ご自身の「好き」なことを「仕事」にしたいと考えている方に、何かのヒントになれれば嬉しいです。


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