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「好きを仕事にする」なら「誰かの困ってること」から探そう!

20代の頃、私は仲間達とバンドをやっていました。

アルバイト代をつぎ込んで自主制作CDを作ったり、下北や高円寺のライブハウスでパーティーを企画したりetc...

もちろん「好き」なことに情熱を注ぎ込んだ青春時代に後悔はしていません。

ただ私には「好き」な音楽で生活することは難しかったというのが現実でした。

バイトする → 稼いだお金で音楽をつくる → 売れない → またバイトする

これが当時の「悪循環なビジネスモデル」です。

多くの時間をアルバイトに費やす一方で、必死で稼いだなけなしのアルバイト代は、スタジオ代やライブハウス、そして居酒屋での打ち上げに消えていきます。

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この経験で私は「継続可能なビジネスモデル」が生み出せないかぎり、「文化としての成熟」もまた見込めないのだと思い知らされました。

この記事では「好きを仕事にする」ことは可能かについて、私の経験を交えて書いてみたいと思います。

ほんとに「好き」は仕事に出来るのか?

最近よく「好きを仕事にしよう!」といった趣旨の文書を見かけます。

スマートフォンやSNSの充実により、個人が情報発信できる機会が増えたことが原因と言われています。

私の場合は青春時代の挫折から「好き」を直接仕事にする事は避けています。

なぜなら、私の「好き」な音楽は、他の多くの人も「好き」なので「競合過多」な状態だからです。

今も昔も、多くの若者がミュージシャンや役者(最近ならYouTuberや芸人)といったエンターテインメント業に従事することを夢みます。

多くの人が同じモノを追求している状況では、そこに「苛烈な競争」が発生して、一部のエリートしか勝ち残ることは出来ません。

私のような凡庸な人間は、そのような競争は避けなければいけなかったのです。

それはきっと、私の青春時代もスマホやSNSが発達した現代も変わらない「厳しい現実」かと思われます。

それでは「好き」は仕事に出来ないのか?

それでは、特別な才能を持った一部のエリートにしか「好き」を仕事にはできないのでしょうか?

私は決してそんなことはないと思います。

というのも実は現在の私自身が「好き」を仕事にしているからです。

まだまだ、ほんのスモールビジネスですが「好き」なことを発信したり、Kindle本にしたり、イベント開催やグッズ販売などを通してお金を稼げるようになりました。

いずれも「過去の私」に出来なかったことです。

昔は「好き」を追求すればするほど、逆にお金がかかってしまっていました。

それではなぜ「過去の私」に出来なかったことが「今の私」に出来るようになったのでしょうか?

あらためて考えてみると「過去」と「今」との間には、ひとつの決定的な違いがあったのです。

それは、今の私は「好き」をそのまま「仕事=商品」にはしていないという点です。

つまり「音楽」が好きだからといって「音楽」を売らないという事です。

英語へのコンプレックスがきっかけ

私はかつて、大学で英米文学を専攻していました。

ところが恥ずかしながら、卒業しても英語が喋れないでいました。

2年前にサラリーマンを辞め自由な時間ができたので、長年抱えてきたこの「英語コンプレックス」を克服しようと決心したのです。

はじめは有料のオンライン英会話レッスンを利用していたのですが、これは結構お金がかかります。

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そこで、節約も兼ねて国際交流を目的としたハイキングのグループを自分で作ってみたのです。

外国人を対象としたイベントを企画して、自分がその主催者になれば、自然と英語が身につくだろうと考えたのです。

当初は勉強目的だったので「ハイキングが好きな外国人の知り合いが、何人か出来ればいいなー。」程度に考えていました。

ところが意外なことに、このハイキンググループが非常に人気が出てしまったのです。

今ではイベントをアップすれば1時間以内にチケットは売り切れ、だいたい30〜40人くらいの方々がキャンセルを待って頂けるような盛況ぶりとなりました。

外国人のハイカーさん達が困っていたこと

人気の原因は決して私の実力などではなく、外国語対応したハイキングのインフラが圧倒的に不足していたためです。

ハイキングの必需品である「5万分の1の地図」は英語対応したものが売られていませんし、GPSアプリも英語のHow toページがないような状態です。

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富士山や高尾山などメジャーな山を除いて、英語表記の看板は少ないし、北アルプスなどを除いて山岳ガイドもいません。

つまり日本に住む外国人が山に行くことは、非常に危険な状況だと言わざるを得ません。

そのため、私の主催するような「グループ・ハイク」に参加する必要があるのです。

誰かが「困ってること」の中にヒントがある

仕事は基本的に「人が困っていることを代行」するからお金が頂けるのだと思います。

かといって、自分が苦手な事を無理して続けると体にも心にも負担がかかってしまいます。

私もかつては苦手な仕事を続け、うつ病になってしまったつらい経験があります。

しかし、「好き」なものをそのまま「仕事=商品」にしても、バンド時代の私のように中々うまくいかないのもまた現実です。

そこで大事なのは、自分が「好き」なジャンルの中で「誰かが困ってる」ことを探すことかと思います。

その意味で前述の「国際交流ハイキング」は、私にとって貴重な偶然の「気づき」となりました。

私はここに「好き」を仕事にする大事なヒントがあるように思えたのです。

この「気づき」をもとに、私はその後も自分の「好き」な趣味の中から、「誰か困ってることはないかなー?」と考える癖がつきました。

「好き」なことで初めて稼いだ日

ハイキングのイベントを開催して、初めてお金を稼いだ日のことは今も忘れません。

利益なんてほんの数千円でしたが、20代のバンド時代から数えると多くの時間と労力を費やして、ようやく自分の「好き」で手に入れたお金です。

思えばずいぶん遠回りしてしまいました...。

しかし、嫌な上司に愛想笑いをするでもなく、職場の同調圧力に耐えるでもなく、自分と共通する趣味の人々に向け、自分の「好き」でお金を稼いだ経験は、とてもすがすがしい瞬間でした。

この私のささやかな経験が、今現在ご自分の「好き」を追求している方々がご自身の「ビジネスモデル」を作る上で、何らかのヒントになれば幸いです。

以上、
ここまでお読みいただきありがとうございました。

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