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過酷な旅 ペナン島

旅でいちばん大事にしているもの
それは「余白」です。

若くないなあとか、優雅やなあとか、よくいろいろ言われますが、10代のときから無茶はしないタイプです。予定を詰め込む人とは仲良くなれる気がしません。一度の滞在ですべてを見ること、知ること、食べることは不可能だと割り切り、ホテルの近場をうろちょろするだけでも満足してしまう人間です。

そんな私ですが、仕事の都合で時々過酷な旅を強いられます(そして帰国後もれなく体調を崩す)。今日はその一つ、2泊4日の弾丸ペナン島について書きます。


昼頃に日本を出発。
クアラルンプールで乗り継ぎ。

クアラルンプールはクアラ・ルンプール

ペナンに着いたのは、夜でした。近くのナイトマーケットで食べた焼きナスがこの旅でいちばん美味しいものになろうとは。

まごうことなきただの焼きナスよ


私に課せられたミッションは「陸のスポットをつぶす」こと。同行者が高速船で往復4時間余のダイビングスポットまで行き、ダイビングする間に、私はペナン島の陸の観光スポットをすべて回るのです。どちらもなかなか過酷だ。


①マラッカ海峡で魚釣り
小さい船で沖に出て、そこで船を止めて、釣りをする。ゲロゲロに船酔いする。太陽が降り注ぐ真昼間のマラッカ海峡で旅行社のおじさんと2人で釣りをするのは、なんだか背徳の気分だった。陸に上がって、釣った魚を焼いて食べたが、気持ち悪くて味は覚えていない。確認した男子トイレが板だけだったことが鮮明に思い出される。

猛烈に揺れる

②高級ホテルのマリンスポーツ体験会場
恐ろしきことに①から船移動だった。陸に上がってから、おじさんがしばらく一人にしてくれた(私の顔面が蒼白だったため)ので、幾分持ち直していたが、それでもきつい。目的地周辺に到着したが、浅瀬のため着岸できず、膝ぐらいの水面に直で降りることになって、また足元がグラグラした。高級ホテルのプールの洗い場で砂まみれの足を洗い、サッパリする飲み物を飲んで生き返った。

ありがとう、ライムとミント。世話になりました。

③フルーツパーク
ここからは山道を車移動だ。船酔いからの車酔い。ハードだ。シナモンの木があった。削ればシナモンの香りがする。

もちろん削ったよ

あとミラクルフルーツが落ちていて、おじさんが拾って食べさせてくれた(本当は勝手に食べてはいけないらしい)。どんなに酸っぱいものも、これを食べたあとは甘く感じる不思議なフルーツだ。そのあと何らかの南国フルーツのフレッシュジュースを飲んだ。おじさんは「酸っぱい!」私は「甘い!」と口々にし、ミラクルフルーツの効果を実感した。

生のナツメと何かのジュース

④学校訪問
乗せられるがままに民族衣装を着た。ディワーリー(ヒンドゥー教のお祝い)期間のため、生徒は登校しておらず、いささか寂しかった。

ディワーリーの飾り付け。街の至る所で見られた。

⑤多種多様な寺院見学
世界で4番目に大きいらしい涅槃仏を見た。世界で4番目に対する正しい反応は未だにわからない。別の寺院で鯉の餌やりをした。

ポップな4番目

⑥ジョージタウン観光
疲れていて感動がなかった。人物込みで写して楽しいタイプのフォトスポットを人物なしで撮影するほどのくたびれ具合だった。

本来は自転車に乗って撮影するらしい

⑦オランウータンの保護施設見学
翌日、保護島までまた船に乗った。おやつをもらうために芸をしていて、少々悲しかった。オランウータンに罪はない。

子ランウータンは芸などせず自由

食事が一番の楽しみと言っても過言ではないけど、これは食事の記憶がほとんどない旅でした。ペナンは美味しいものが多いと聞いていただけに無念ですが、一度こういう旅行をしてしまうと、その場所に対して「もう十分」という気持ちが私はわいてしまいます。もう一回行きたいとか、そういう気持ちがわかない。なんか、もったいない。


「ああ全然回れなかった!」くらいのほうが良い。再訪の楽しみのための余白をとっておきたいものです。

全部知ろうとしない

人に対しても、物に対しても、場所に対しても、そういう心構えでいたいなと思います。

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