昨今の野球に関する諸問題に対する私見

人生35年、野球未経験者です。

プロ野球のホームラン数激減と低反発球疑惑

 NPBでは、2011年から公式戦で使用するボールを全てを一社のメーカーに任せるいわゆる統一球を導入しました。

 統一球の誕生自体は、それまでは使用するボールを主催側の球団が選択する事が出来、極端な話でいえば「飛ぶボール」「飛ばないボール」を決められました。

 チームカラーに合わせて、打ち勝つチームは飛ぶボールを、守り勝つチームは飛ばないボールを選択する事が出来たのです。

 そうした選手の本来の実力とはかけ離れた部分で差を生み出してしまう点や、国際大会への対応をひとつの大義とし、統一球が導入されたのです。

 良く下記のような等式で勘違いされていらっしゃる方が多いのですが、

統一球=悪

 正しくは

統一球の反発係数を公表しないNPBとメーカーが悪

というべきです。

 これで悪影響を及ぼしたといわれるシーズンが、導入をスタートした2011年と、翌年12年シーズンです。ホームラン数が激減し、投手の防御率は軒並み良化しました。
 
 13年シーズンからボールが急に飛ぶようになり、反発係数が飛ぶ方向に変更がなされており、それをNPBと、当時のメーカーミズノ社が互いに隠蔽。
 
 更に12年シーズンまで使用されていた公式球が、基準とされる反発係数を下回っていた事も発覚し、それもNPBは承知の上で使用を続けていたという、いわゆる統一球問題として大きく取り沙汰されました。

 この2シーズンの過渡期にいた選手たちは、選手人生を大きく左右された人たちが多くいます。
 1番の被害者は、当然ながらそのシーズンに戦力外通告を言い渡された選手たちです。

 2番手には、飛ばないボールに順応する事が出来なかった有名選手。巨人時代の小笠原や、楽天の鉄平選手などが有名です。

 そして2024年シーズン、いやもっといえば23シーズンから、ホームラン数がまた激減しているのです。

 現役選手からは「飛ばない」という意見がNPBに対し提出されており、プロ野球OB達からも様々な声が聞こえてきています。
 一説には投手のレベルアップに打者が追いついていないとも言われていますが、果たして・・・。

 この問題で私が強く言いたいのは、ホームラン減らすとか馬鹿の極みじゃねえの?って点です。
 シーズンの2/3を消化したにも関わらず、防御率0点台の投手がいたり1点台が当たり前のようにいる中で、両リーグ最多ホームラン数はSBの山川による27本が最多です。(8/17現在)
 ホームラン王を争う打者は40本塁打前後、30本塁打を越える選手が両リーグで5名ほど、20本塁打が10~12名ほどいるのが、一番観ていて楽しいと思うんですよね。
 MLBを観ていると本当にそう思います。やっぱり野球の真髄はホームランですよ。
 大谷翔平が何故2刀流シーズンでもない今季も以前にも増して人気があるのか?考えれば分かる事です。

高校野球の低反発バットの導入

 2024年3月の春の選抜高校野球大会より、従来の金属バットよりも飛ばない低反発バットの導入が為されました。

 昨今の筋力トレーニングの浸透により、高校球児たちのパワーは非常に高くなりました。
 そして数年前、センバツでとある投手が、投ライナーの打球にあたり、顔面を骨折するという痛ましいプレーが起こりました。
 この件を発端とし、低反発バットが導入されたという経緯です。

 しかし、当の顔面骨折をした選手自身も、そうしたバットを導入する契機になってしまったと悔やんでいます。

 ホームラン数の激減は、見ている第三者となる我々の楽しみを奪う行為という側面もありますが、最も大きいのは「野球が楽しい」と思えない方向へ方向へと、大人たちが誘導している事にあると思います。

 無論安全の面は様々な議論が為されていくべきことです。他方で、全員が全員プロ野球選手への道へ進むわけではないのです。
 プロ野球ファンから「金属打ち」と揶揄される高校球児が、過去には数多くいました。

 しかし高校で辞める子が大半です。大学まで進んでやる子の方がよほど少ない。プロ野球に至っては、本当に一握りです。
 そうしたトップ選手に基準を合わせていっては、長い目で見ていった時、競技性に変化が起こり、極論今まで培ってきた野球の醍醐味というものは、失われるでしょう。

 因みに私見を書いておきますと、当事者となった元選手自身には、当然罪はないです。決めたのは高野連や有識者たち、大人たちですから。

それを受けて・・・酷暑甲子園でのプレーの是非

 毎年この時期になるとこの議論がなされますよね。

 まず大前提として、「なんで高校球児ばかりが心配されているの?」笑と思います。
 単純に「高校野球」というジャンルがアマチュアスポーツの中でも箱根駅伝に並んでトップクラスの注目度の高さ故でしょうが、30度越えたらどの競技も外でやっちゃいけないんですよ(笑)

 その上で、甲子園での開催に否定的な意見の方や開催時期をズラすなど改革案を提起している方の意見案とし多く見かけるのは

「死人が出てからでは遅い」
「ドーム球場での開催を(ベスト8から甲子園でのプレーをという意見も」
「朝・晩の2部制」
「開催時期をもっと早める(或いは遅くする)」

 などがあります。毎日35度を越える酷暑が続く中で、こうした提言が出る事自体は悪い事ではありません。

 しかし阪神甲子園球場は、高校球児たちの聖地であると同時に、プロ野球団阪神タイガースの本拠地という側面も持っています。

 阪神タイガースは、この夏休みの書き入れ時に『死のロード』と呼ばれるビジターでの連戦や、京セラドームでの開催を余儀なくされています。

 ホーム開催がドーム球場で行えることなどからも、いうほど死のロードじゃないじゃないかという話も出ていますが、日本一の地域密着球団です。

 甲子園球場と京セラドームとでは収容人数に大きな差があります。また各種イベントを打ち出しやすい夏休みという時期に、本拠地で試合が開催できないというのは、球団運営としては辛いところだと思います。

 阪神球団はこうした部分に全て目を瞑り、甲子園球場は高野連に無償で球場を貸し出しています。
 阪神球団と甲子園球場のこのアマチュアスポーツに対する配慮に、私はもっと敬意を評されて然るべきだと思っています。

 一方で、高野連は入場収入で大きく潤っています。否定的な意見を出す以前に、そうしたお金をもっと球児たちや甲子園球場に還元すべきだと私は思います。
 或いはアマチュア審判の育成や、審判を勤めた手当をもっと増やすなどしていかないと厳しい。誤審もVARを導入するだけで、全然変わってきますよ。
 VARは誤審した人を攻める為の技術じゃないですから。結果が変わって試合内容が大きく左右される事を避ける為のものです。プレイヤーたちの為のものなんです。

 そのプレイヤーファーストの観点からみていくと、今年の選手宣誓は見事なものでしたね。

 もうこの選手宣誓が全てなんですよ。プレイヤーたちが望む限りは、甲子園球場でのプレーを続ける。

 開催時期に関しては考慮できる面もあるかもしれませんが、多くのインターハイスポーツが、夏休み前・中に終わるのは、プレーする人間の多くが大学受験などの新たな進路を控えているからです。

 もっと前倒しにといっても、そうしたら春大会を潰さねばなりません。潰さずにやるなら、春と夏の大会期間が更に狭まることとなり、故障リスクが高まります。

 様々なものを語ってきました。議論はされて然るべきですが、NPBや高野連・有識者が騒ぐのではなく、何よりもまずプレイヤーファーストを心がけてほしいと一ファンとしては願うばかりです。

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