その文章に書き手の“意図”はあるか?「リアルタイム赤入れ会」開催レポート(有料動画つき)——sentence LIVE #1
こんにちは!ライティングコミュニティsentence運営の中川です。新年が明け、早くも2ヶ月が経ちました。sentenceでは、年明けから“今年初”のイベントをいくつか開催。2月4日には、YouTube配信イベント『sentence LIVE』の第1弾として、「プロ編集者によるリアルタイム赤入れ会」を実施しました。
当日は、sentenceメンバー、一般参加者を含め、リアルタイムで約40人が視聴。配信終了後には、YouTubeのコメント欄やSNSで「シリーズ化を希望します!」といった声が相次いだ同イベントの内容の一部をご紹介します。
※記事の後半では、イベントのアーカイブ動画を有料で公開しています。本レポートで紹介した「赤入れポイント」の詳細を知りたい方は、ぜひそちらをチェックしてください。第2弾のイベント情報もお見逃しなく!
プロ編集者の赤をなぞり、思考プロセスから編集視点を学ぶ
ライター最大の成長機会は、編集者が原稿に赤を入れたとき。その赤をなぞり、再考し、より良い文章を追求する——このプロセスからは、書き手にとって多くの学びが得られます。
しかし、すべての書き手が、原稿にしっかり赤を入れてもらえるわけではありません。独学でライティングを学んできた人や、場合によっては、フリーライターですら“具体的な説明がない赤”をもらうことも……。
そんな書き手と共に、プロの編集者による赤入れをリアルタイムで観察し、その思考プロセスから「編集視点」を養おうと企画したのが「リアルタイム赤入れ会」です。
イベントには、「北欧、暮らしの道具店」など複数のメディアで執筆・編集経験を持ち、今年で編集者歴9年目を迎える長谷川賢人さんが出演。モデレーターは、編集デザインファームのinquireで編集者を務め、長谷川さんとも仕事を共にするイノウマサヒロさんが担当しました。
題材は、sentenceメンバーであり、個人ではフリーの編集者として活躍する佐々木将史さんのインタビュー記事。
当日、どのような赤入れポイントが指摘されたのでしょうか?
目的にそぐわない“無意味”を見逃さない
当日の様子。原稿の編集画面を視聴者に共有しながら、リアルタイムで赤が入ります
イベントの冒頭、長谷川さんの口から語られたのは、編集者が記事をチェックする上で事前に把握しておきたいポイントでした。
長谷川さん「この原稿に赤を入れる前、ライターさんに『この記事の目的は何ですか?』と確認しました。記事の目的、その目的から考えて誰に何を読ませたいのか、記事上で目的は達成されているか……。これらを明確にするようにしています」
原稿の冒頭に、記事の目的を記入
今回の題材となったインタビュー記事の目的は、sentenceへの入会促進。ライティングを学びたい意欲のある想定読者に、sentence会員の仕事のスタンスや、sentenceの活用方法を知ってもらい、コミュニティへの興味関心を高めてもらうことが一番の狙いでした。
しかし、赤入れ前の記事は、構成や入れ込む情報の取捨選択といった点で、目的にそぐわない箇所が散見……!
「このタイトルは“当たり前ポエム”になっていないか」「この写真は目的に寄与するイメージになりうるか」「このテキストは目的に対して浮いていないか」と考え、目的にそぐわない“無意味”は極力削ぎ落としていくべきだと、長谷川さんは指摘しました。
Web記事の作り方は、「テレビ」に似ている
イベント中、視聴者の注目を集めたのは、長谷川さんが放った「Webの記事は、テレビに似ている」の一言。テレビ番組の構成から、Webの記事を作るにあたって重要なポイントが見えてくると言います。
長谷川さん「Webの記事の大半は、最初に振りがあって、メインコンテンツ、演者のコメントなどが続き、最後は締めがあって終わる……みたいな流れですよね。雑誌みたいに最後から、あるいは途中から読むことはまずない。なので、Webの記事は頭からの流れや、全体構成が大切なんです。最後まで読み進めてもらうために、一行でも飽きさせたくない」
テレビ番組も、収録した映像をカットしたり、順番を入れ替えたり、テロップなどで情報を補足して“編集”することがあります。これは、視聴者に最後まで見てもらえるよう、一秒でも飽きさせないために行うこと。
Webの記事も同じです。
長谷川さん「取材で聞いた話の順番通りに書けばいいわけではありません。そのまま書くと、記事の頭が冗長になってしまうこともある。読者は何が気になるのか。その興味関心を“メディア側の目的”に向かって引っ張れるよう、柔軟に構成を組み替える必要があります」
その文章に書き手の“意図”はありますか?
最も話が盛り上がったのは、「記事中のすべての要素に、書き手がどれだけ意図を与えられるか」といったトピック。単語一つにしろ、写真一枚にしろ、なぜこれを選んだのか、この場所に配置したのかなど、書き手が明確な意図を持つべきだと、長谷川さんは指摘します。
長谷川さん「編集者から『これ、どういう意図ですか?』と聞かれて答えられない部分があったら、書き手は大いに反省すべきです。自分の書いた文章に対しては、どこに何を突っ込まれても『これはこんな意図があるから、この言葉、こういう流れにしています』と答えられる必要があります」
記事中の写真に対して、“意図”が聞かれました
意図のない箇所があるのなら、そこに意図を与える。もしくは、意図があるものに変える。原稿に必要なのは書き手の“感覚”ではなく、“論理的思考”なのでしょう。
このほかにも、長谷川さんが普段の編集で意識していることや、ライター初心者がやりがちなミス、リードにおける工夫など、さまざまなポイントが語られました。
アーカイブ動画の視聴について
本記事で紹介した赤入れポイントや、紹介していない項目の詳細が知りたい方は、有料部分に記載されているURLから当日のアーカイブ動画を視聴していただけます。また、動画視聴後にアンケートに回答していただくと、実際に赤入れされた原稿がゲットできます!
※sentence会員のかたはslackから無料で動画を視聴できます。また、すでにチケットを購入された方へ、こちらは当日のアーカイブ動画と同じ内容になります。
sentence LIVE #2 開催決定!
「リアルタイム赤入れ会」の反響を受け、sentence LIVE 第2弾の開催が決定しました。3/18(水)19:30〜21:00に、『編集者・ライター・カメラマンによる「赤入れナイト」〜ライターの腕が光るイベレポの作り方〜』を開催します。
先に大事なことをお伝えすると、今回の「赤入れナイト」は「原稿に赤を入れる」会ではありません。編集者からほとんど赤の入らなかった“完成度の高い原稿”を振り返り、質のいい原稿を生み出すために、作り手は何を意識すべきかを深堀りするイベントです!
今回の題材は「イベントレポート」。素材(取材内容)をコントロールできない分、執筆のハードルが高いイベレポは、“ライターの腕が最も試される原稿”といっても過言ではないはず。
取れ高が予測できないイベントの内容を、分かりやすく、面白くまとめるにはどんな工夫が必要なのか。
事前準備で必要なこと、当日の立ち振る舞い、執筆時の注意点などについて、題材原稿の編集者、ライター、カメラマンがそれぞれの視点から議論を深めていきます。
イベント参加のお申し込みは、こちらから^^
sentenceでは、今後も「リアルタイム赤入れ会」のようなYouTube配信イベントを企画していく予定です。会員の方は無料で動画を視聴できますので、興味のある方は下記のオフィシャルHPからお申し込みください。
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*sentence オフィシャルHP:https://sentence.inquire.jp/sentence
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