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読み手を惹きつける文章は、ミクロな”編集”で編み出す。「書き起こしナイト」開催レポート(有料動画つき)

こんにちは!sentenceのコミュニティマネージャー、中川です。

4月24日、sentence LIVEの第3弾として「話し言葉の『書き起こし』から、読み手を惹きつける文章を生み出すには?」を開催しました。

当日は、sentenceメンバー、一般参加者を含め、40人以上がリアルタイムで視聴!Zoomのチャット欄を始め、コミュニティチャットのSlack、SNSには多くの感想と意見が寄せられました。


ライターや編集者にとっては身近でありながら、これまで同業者と深く議論する機会がなかったであろう「書き起こし」というテーマ。それゆえに、積もる話もあったのでしょう。

参加者のみなさんの感想は、下記からご覧いただけます。

イベントではどんなことが話され、どんな意見が集まったのか? 本記事では当日の一部始終と、参加者の方が執筆してくださったレポートをご紹介します!

みんなどうやってる?書き起こし〜執筆のノウハウと心構え

今回のイベントのテーマは、「取材音源の書き起こし〜執筆におけるノウハウと心構え」

取材や執筆に関するTipsはいろいろな場面で見聞きしますが、音源の書き起こし〜執筆のフローにまつわるテクニックや意識が語られる機会は、そう多くないと思います。

しかし、読み手を惹きつける取材記事を生み出すには、この辺りの意識やテクニックを避けて通ることはできないはず。そこで、本イベントでは、下記のような内容にフォーカス!

・音源を書き起こす段階で何を気をつければいいのか?
・書き起こしをそのまま引用して記事化しないほうがいい理由は?
・書き起こし〜執筆のフローはどのように進めるべき?
・執筆する際の具体的なTipsや心構えは?

登壇してくださったのは、マンガサービス「アル」の編集者である岡島たくみさん。モデレーターは、編集デザインファームinquireの編集者である小山和之さんが務めました。

岡島たくみさん

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アル株式会社 編集者
1995年生まれ。神戸大学経済学部卒業。2018年よりモメンタム・ホースに参画し、複数のWebメディア運営や書籍制作に従事。2020年にアルへ入社。

小山和之さん

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株式会社インクワイア編集者/株式会社weaving代表取締役
1989年生まれ。Apple Retail、建築の意匠設計、デザイン会社でPjM/編集者を経て、2016年よりインクワイアに参画。2018年にデザイン領域に特化した編集ファームweaving創業。取材執筆、編集、メディア運営、発信支援に従事。デザインビジネスマガジン“designing”編集長。

これまでに幾度と取材〜執筆の経験を積まれてきた岡島さんに、自身が実践する具体的な手法や心がけを掘り下げていただきました!

なお、「書き起こし〜執筆」に関してライターが心がけるポイントを、岡島さん自身がまとめたnoteもあります。

当日の学びポイントをおさらい

この日のために、岡島さんが気合を入れて用意してくださったスライド資料が画面が映され、ほど良い緊張感に包まれながら、イベントは幕を開けました。

Web媒体の「執筆」は、ミクロな「編集」である

冒頭に話されたのは、岡島さんが考える「Web媒体の『執筆』」の定義について。これまでの自身の経験を振り返り、「そもそも、『執筆』という表現に違和感がある」と言います。

岡島さん「『執筆』というより、ミクロな『編集』だと考えています。私が今まで携わってきたWebライターの仕事の多くは、『あるテーマについて有意義な意見を持つと予測される人の主張を聞き出し、その情報を音源からテキストへ、話し言葉から書き言葉へと変換し、情報の抽象度や順番を整えて、受け手に伝わりやすい形にすること』でした。自分の主張や、話し手の発言をそのまま“書く”というより、話し手の主張を分かりやすく“編集”して届ける感覚ですね」

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この考え方には、「そんな見方もできるのか」と言わんばかりに頷く参加者の姿も。自分たちが行っていることを、ミクロな「編集」と捉え直すだけで、取材から執筆までの一連の流れの解像度がグッと上がる心地がします。

書き起こし〜執筆のやり方に、明確な「正解」は存在しない

Web媒体の「執筆」を定義づけたのち、岡島さんは自身が実践する「書き起こし〜執筆のフロー」を紹介してくれました。

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この一連の流れは、岡島さんが大学卒業後より参画したモメンタム・ホースで習得したやり方なんだとか。文字起こし〜執筆のフローは、ライターや編集者によって実にさまざまです。

Zoomのチャット欄でも「情報を削ることはせず、原稿に使う情報をマーキングし、抜き出しています」「書き起こしたものを印刷して、キーワードにマーカーを引きながら、情報の整理を行います」など、独自の手法をシェアするコメントが寄せられました。

おそらく、そこに明確な「正解」はないのでしょう。書き手それぞれの経験と学びから、自分がやりやすい方法を見つける重要性を、チャットのやり取りを見ながら感じました。

「話し言葉」は、基本的に意味の精度が低いと理解する

岡島さんの執筆フローが明かされたところで、主題は「④一つひとつの言葉の精度を高める」へと移ります。この段階で、「話し言葉」を「書き言葉」に変換するわけですが、そもそも、なぜそのような作業が必要になってくるのでしょうか?

岡島さんはその理由を「『話し言葉』は、基本的に意味の精度が低いから」と説明します。

岡島さん「人の会話では、ある程度のスピード感が求められるので、話し手は『ぴったりな言葉』ではなく『すぐに思い浮かぶ表現』を使うことが多いはずです。一方で、記事には情報の正確性や読みやすさが重要なので、『ぴったりな表現』を追求する必要がある。ときにはインタビュイーの話を鵜呑みにせず、『この単語で合っているのか?』『これって、簡単に言い換えるとこうだよね』と考えを巡らすことが大切です」

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人と対面で会話をするとき、そこには言葉以外の情報がたくさん存在します。インタビュイーの表情や、身振り手振り、発言と発言の間、現場の空気感……。ライターや編集者は、取材の現場に居合わせることが多いため、それらの多種多様な情報をかけ合わせ、インタビュイーの話をところどころ脳内で補完しながら、理解することができます。

しかし、取材現場を知らない読み手が記事から受け取れるのは、言葉と写真だけ。限られた情報手段から、インタビュイーの思いを限りなく正しく届けるためにも、これ以上ない「ぴったりな表現」を追求する意識が必要なのかもしれません。

言葉の精度を高める「汲み取り」と「言い換え」

では、話し言葉の精度を高めるために、具体的にはどうすればいいのでしょう? 岡島さんは、自身が過去に書いたnoteを参照しながら、「汲み取り」と「言い換え」の重要性を指摘します。

「汲み取り」とは、インタビュイーが口語では省略したであろう意味を書き足すこと。「言い換え」は、より正しく、伝わりやすい言葉に置き換えることです。

イベントでは、以前、岡島さんが「アル」で本田圭佑さんにお気に入りのマンガを取材した際の原稿を参考に、「汲み取り」と「言い換え」の具体例が紹介されました。

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(岡島さんのnoteでも同じ取材原稿を参考に、「汲み取り」と「言い換え」の説明をされていますが、この日のために、未公開のパートを用意してくださいました……!!!)

岡島さん「汲み取りの例をあげると、文字起こしの『ただ生死に関わっている〜生きるってところでいうと』までの内容を整理して、本田さんはそう発言していないけれど、『「生きる」という人間の本質が描かれている作品に圧倒的な面白さを感じる」と書いています。『マジで殺される殺すっていうの』を『真剣勝負』に変えているのは、言い換えの例です。口語だと前者でも違和感なく意図は伝わりますが、文字にするとどうしてもやぼったい。もう少し端的に表現ができないかな、と考えたときに、よく見聞きする『真剣勝負』というワードを思いつきました」

「汲み取り」と「言い換え」を行うことで、文字起こしの内容が、一気にスリムになり、読みやすくなった印象を受けます。参加者のなかには、チャット欄で「ここを『真剣勝負』に置き換える思考の柔軟さがすごい」とコメントする人も。

先に挙げたもの以外にも「汲み取り」と「言い換え」の例がいくつか紹介されました。岡島さんは、どのような考えを巡らせてこれらの作業を行っているのか? また、「汲み取り」と「言い換え」を行うのに必要はスキルは何なのか?

気になる方は、本レポートの最後に貼付している動画をチェックしてみてください!

また、当日参加いただいた、もでこさん、薫風さんもイベントレポートを公開してくださっていますので、こちらも合わせてご覧ください^^

もでこさん、薫風さん、すてきなレポートをありがとうございました!!

アーカイブ動画の視聴について

本記事で紹介した赤入れポイントや、紹介していない項目の詳細が知りたい方は、記事末尾のURLから当日のアーカイブ動画を視聴していただけます。

また、動画を視聴された方は、アンケートでぜひご意見をお聞かせください。(アンケートのURLも記事末尾に記載)

※sentence会員のかたはslackから無料で動画を視聴できます。また、すでにチケットを購入された方へ、こちらは当日のアーカイブ動画と同じ内容になります。

sentenceでは、今後もライブ配信イベントを企画していく予定です。6月3日(水)19:30〜は、『SEOの本質から、読み手にコンテンツを届けるための「工夫」を考える』を開催します!

会員の方は無料で動画を視聴できますので、興味のある方は下記のオフィシャルHPからお申し込みください。

それでは、次回のsentence LIVEをお楽しみに〜!

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