見出し画像

脅威の逆転劇:ローソンが角田を逆転した理由

アメリカGPでのレーシングブルズの戦略とレース展開は、多くのファンにとって興味深いものでした。特に注目すべきは、最後尾のグリッドからスタートしたリアム・ローソンが、チームメイトの角田裕毅を上回り、最終的にポイントを獲得したことです。なぜこのような結果になったのでしょうか?この記事では、その理由を探ります。

明暗を分けたスタートタイヤの違い

まず、レースのスタートタイヤ戦略が二人の運命を大きく分けました。ローソンはパワーユニット(PU)交換によるペナルティで後方スタートを余儀なくされましたが、その状況を逆手に取り、ハードタイヤを選択してロングスティントを狙う戦略を採りました。一方、角田は10番手からのスタートということで、周囲のライバルと同じくミディアムタイヤでレースを開始します。この選択により、角田は競合マシンとの競争と乱気流によりタイヤを傷めて、早めにピットに入らざるを得なくなり、タイヤ戦略の柔軟性を失ってしまったのです。

早めのピットインとローソンの追い上げ

角田が18周目にピットインし、ミディアムタイヤからハードタイヤに交換した際、ローソンは依然としてトラック上で走行を続けていました。この段階で、ローソンは既に角田に対して6秒差まで接近しており、彼の戦略的アプローチが効果を発揮していたことが明らかでした。さらに、ローソンは序盤のオープニングラップで5台をオーバーテイクし、その後もフェルナンド・アロンソのアストンマーティンを大胆に抜くなど、印象的な走りを見せていました。

ローソンの古いタイヤでの速さ

その後、角田がピットストップを行い、トラックに復帰した時点で、ローソンとの差は約19秒ありました。しかし、この後の展開がローソンの優位を決定的にしました。ローソンは角田のピットインからさらに18周を走行し続け、その間、非常に古いハードタイヤでありながら一貫して速いラップタイムを刻んでいました。ラップタイムのデータを見ても、ローソンは新しいタイヤを履いた角田よりも安定して速く、そのペースが最終的な結果に大きく寄与したことがわかります。

ラップタイム比較:ローソン vs 角田

具体的には、角田が新しいハードタイヤで走行していたにもかかわらず、ローソンは20周目から27周目の間で、ほとんどの周回で角田より速いタイムを記録しました。例えば、20周目ではローソンが1分40.988秒に対し、角田は1分41.198秒。さらに、23周目ではローソンが1分40.853秒をマークし、角田は1分41.635秒と1秒近く遅れていました。これは使用しているタイヤの周回数の違いを考えると驚異的なタイムでした。

ピットイン後の展開と最終結果

そして、ローソンが最初で最後のピットインを行った際、彼は角田より前でトラックに戻ることに成功しました。これは、18周の間にローソンが角田との差を21秒まで広げたことによるもので、非常に古いタイヤで走行し続けたにもかかわらず、彼のラップペースが如何に優れていたかを証明しています。その後、ローソンは新しいミディアムタイヤを装着し、さらに差を広げていきました。

一方の角田は、ターン1でのスピンと5秒のタイムペナルティにより、最終的にローソンとの差は5つのポジション、20秒以上にも広がりました。このように、ローソンの成功は単に彼のドライビングスキルだけでなく、戦略的な要素やタイヤマネジメントの優位性が大きく関係していたと言えるでしょう。

ローソンの攻撃的な走りとオーバーテイク

ラップタイムを見る限り、ハードタイヤはこの日のベストレースタイヤだったことは間違いありません。実際、下位からハードを履いてスタートした他のドライバーも上位に進出しています。例えばラッセル(彼はピットレーンスタートでグリッドからスタートしていない)は6位入賞を果たしています。

ただし、タイヤ選択だけがローソンが大逆転して、入賞した理由ではありません。彼のレース中のオーバーテイクの能力も見逃せません。彼はレース序盤から積極的にポジションを上げていき、特にフェルナンド・アロンソをパスした場面は印象的でした。これにより、彼は中盤以降も良い位置でレースを進めることができ、最終的には9位でフィニッシュすることができました。

角田の問いへの答え

角田の「どうしてこんなことが起きたのか?」という問いに対する答えは明確です。それは、タイヤ戦略の違い、ローソンの卓越したタイヤマネジメント、そして彼の攻撃的な走りがすべて組み合わさった結果です。特に、ローソンが非常に古いタイヤであってもペースを落とさず、むしろ新しいタイヤを装着した角田よりも速かったという事実は、彼のポテンシャルの高さを示しています。

レーシングブルズが学ぶべき教訓

レーシングブルズとしては、この結果から学ぶべき教訓がいくつかあります。特に、戦略の柔軟性を持つことが重要であり、レース中の状況に応じた最適な判断が求められます。ローソンのようにリスクを取って成功することもあれば、角田のように堅実な選択が裏目に出ることもあるのがF1の世界です。


今回のアメリカGPは、ローソンがいかに早くチームに順応し、自らの能力を最大限に発揮できるドライバーであるかを示すものでした。彼の活躍は今後のレースでも注目されることでしょう。そして、角田にとっても今回の結果は悔しいものでしたが、これを糧にさらなる成長が期待されます。次のレースでは、より強いパフォーマンスを見せてくれることをファンは願っています。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?