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【30分で書いてみた】文学の方のセリーヌとかいう「鑑賞に値する便所の落書き」とフランスの芸術観・文学観

フランス文学界の黒い巨星セリーヌ

お久しぶりです。ポケモンSVやらプライベートやら仕事やらポケモンLet's Goピカブイやらで何も書けてませんでした。
最近、フランス文学の方のセリーヌを読んでその作家性とクオリティに興奮したので思わず筆を取りました。
セリーヌとは20世紀初頭のフランスの作家で、20世紀フランス文学界ではプルーストと並ぶツートップとされたり、「セリーヌがわからないとフランス文学はわからない」とまで言われる作家です。
実は実家にもセリーヌはあったのですが、子供の時に読もうとして叱られて以来、読む気になれませんでした。ばばあになってようやく『死体派』を読むことになりました。

ひとことでいうと「鑑賞に値する便所の落書き」

それもそのはず、セリーヌの作品は『なしくずしの死』『死体派』などの顰蹙を買うこと必須のタイトルが目立ち、エログロ下ネタ差別発言のオンパレードです。特に右翼的で反ユダヤ的な表現も多いため、現代ではとても名のある出版社からは出版できなさそうです。
しかし、テンポがよくて言葉ひとつひとつがパワーワードという、サクサク面白く読める要素はきっちり満たしています。そして同じエログロ下ネタ差別発言でも、どこか詩的で芸術的。雰囲気でいうと、クオリティが高くてどこか文学的な18禁SS、2ちゃんねらーの読みごたえのある独白です。
ひとことでいうと「鑑賞に値する便所の落書き」です。

レストランのメニューや便所の落書きですら芸術そして文学に昇華させることがイケてる国、フランス

さてここでフランスの芸術観・文学観について、浅学ながら私なりの推測をします。
ご年配の日本人にフランス人シャンソン歌手の名前を挙げさせると、高確率でエディット・ピアフを挙げるのですが(ソースは周り)、フランス本国では「ピアフならレストランのメニューでも感動的に歌いあげられる」といった内容でピアフは賛美されます。
一方で、偉大なる便所の落書きはフランス文学のひとつの頂点でもあります。

レストランのメニューや便所の落書きといった、芸術や文学とは程遠い目的で作られてそうなものを芸術や文学に昇華させることがイケてる。それがフランスの芸術観・文学観なのかもしれません。現代芸術家のデュシャンが小便器を『泉』と題して発表したことに通じるものがあると思います。
(965文字/30分)


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