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新新・SenriとRyokoのおしゃべり泥棒 2

リズムの日は9曲録音する。アルバムの曲数が9曲、厳密にいうと8曲+ボーナス曲が1曲、合わせて9曲。

いい塩梅でリラックスムードの本番前のスタジオコンソール

録音中何が起こるかはわからない。なので油断や楽観は禁物だ。10時間で一応スタジオをLock outという形で押さえてあるが、11時にはカウントオフして1曲目の演奏を開始する。僕がproduceするプロジェクトは11時と言ったら集合11時ではなくて本番の録音スタート11時だとみんな認識しているので、それぞれがその瞬間に向かって仕上げてくる。

ブースでの準備の一コマ

映像チームのSamとStephanはちょっぴり早い。9時前からスタジオに機材を持ち込み、照明のinstallなどに余念がない。エンジニアのAaronやNorlanもそれに合わせてスタジオで待機する。僕はAaronからの直前Reminderでロスのドラムsettingに合わせて、10時15分に現地入りした。

若手映像チーム

既にスタンウエイには数本のマイクが設定されて、ドラムのセットアップやベースブースのパテーションなど粗方準備は終わっていた。湯気のたったコーヒーのマグカップを持ち何気にスタジオの隅々をツアーして、今日お世話になる人たちに一人一人声をかける。たまたまスタジオ前で会ったJunkoさんと2人で最終打ち合わせもする。

映像用の照明の大きさにみんな驚いてる
Aaron「ベースの音を少しまとめたよ」Matt「いいかも」

まずNorlanにPNDのハードドライブを渡す。『Class of '88』が入ったやつだ。NorlanがAaronのPCにそれを繋ぎ、9曲のトラックを作り始める。Junko さんとAaronが各曲のBPMを決めるべくデモテープを聴き始める。クリックをピアノの前の僕のヘッドフォンに返す。僕はそれを聴きながら1曲ずつ遅めたり早めたりしながらピアノを弾いて、最終的テンポを決定する。これはあくまでTBA(暫定)だけども。First impression(最初の勘)は大事だ。

そうこうしていると10時半頃、ロスがやってきてAaronのset upしたドラムに持参のシンバルを追加し始める。stillカメラのトレーシーもバックパック姿でやってきた。Ryoko に親愛を示すためにと素敵なガラスのアクセサリーBOXをメトロポリタン美術館でわざわざ買ってきてくれた。なんて美しい。

Norlanがマイクの位置を決める
Tracy

11時直前、Ryokoさんとミゲルさん、パンチョさんがスタジオ入りした。トレーシーのギフトに頬を紅潮させて嬉しそうに抱き合うRyoko & Tracy。紅茶を淹れる人、コーヒーを淹れる人、それぞれテンションを上げる前のわずかなひとときを自分流にアレンジする。

さあ、いよいよだな
さあ、こっちもいよいよだ

廊下や談話室やスタジオやコンソールで自然と輪ができて話に花が咲く。そんな和やかないい感じをそのままkeepしつつ、僕は静かにピアノの前に座った。それを見てみんなが無言でそれぞれの楽器の前やコンソールの前に陣取り「I am Ready」と僕を見つめる。

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