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Senri Garden ブルックリンでジャズを耕す

グラスワイン1杯分のお楽しみをジャズと共にブルックリンからデリバリー。エッセイ「ブルックリン物語」、ラジオ「Sen Corouge」、日常を写真と文で綴った「Days」、レシピ「…
大江千里の未発表のエッセイ、動画、詩、サウンドを発表していく実験ラボであり、みなさんと作り上げてい…
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記事一覧

プチDAYS 「BIG SOLOを考える」

BIG SOLOが終わって一夜明けると手首も指も肘も肩も意外や意外、全然大丈夫なのに驚いた。囁くような音から爆音に近い音まで弾いていたにも関わらず、実はそんなに力を使わずにまるで「風船を膨らます」ようにピアノに向かって、客席の熱気を吹き込んでいたのだ。 胃腸炎で倒れた後の2公演はピアノに慎重に触れるところからの再スタートだった。BLUE LIVE 広島のKAWAIのフルコンは、触れると前に触れた時の記憶を即座に蘇えらせてくれた。鍵盤の隙間に、目に見えない薄い膜を張り巡らした

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特別寄稿 「青春63切符は知ってますか?」

ツアーがあっという間に後半戦に差し掛かった。 思えばブルックリンでの荷造りの日々。出来てたことと出来なかったことを抱えつつ朝ラガーディアへ向かったあの朝、まさかこの心に光が差してくる瞬間が訪れることを知る由もなかった。 ぴの逝去による悲しみで目の下が膨らみ、「歩き過ぎ、練習し過ぎ」で腰、背中、膝、手首、首、指が変調をきたし、幾つもの仕事の質も量もそれぞれが重く濃く、一旦一個に集中すると遅々として進まない全体像への不安と恐れ、茫然とする気持ち、それが霧のように目の前に立ちは

プチDAYS 「今週のサニサイを京都で録音してからサンダーバードで金沢へ!」

ここのところ流石にハードなスケジュールが続いている。 RYOKOさんのレコーディングをPVやTeaserでおさえるのでその監督Samとzoom meetingしなければいけないのだが、日本とニューヨークで互いの空いてるスケジュールがなかなか合わない。加えて僕の頭の中が「基本はET(東海岸時間)なのに今は日本にいて身体はJapan Time(日本時間)、でいながら伝える時それをもう一回ETに戻してSamに言わなきゃいけない」のがなかなか難しい。 譜面や音源等の資料を関係者で

特別寄稿「マンリー一家がやってきた!」

マンリー一家が箕面にやってきた。 「2時に開演やろ? 1時に安井さんにチケット37枚支払って交換することになってんねんけど、その前後でにいちゃん会えるかな? 楽屋で?」 手元の携帯のラインが鳴った。 その頃、センリーはKGグリークラブの女子たちとのリハ、もうお馴染みになった宝塚少年少女合唱団のみんなとのリハを終えて、楽屋でひとり忙しく本番準備をしていたのだ。そこへこのメールなので、慌ててマンリー家族がすぐに座れるようソファいっぱいに散らかした自分の荷物を片付け始めた。

プチDAYS 「深刻な熱気にあてられて」

外へ出ると暑いのと「もっ」とするのとがある。「ムッ」ではなく「もっ」とするのだ。 「もっ」には圧がありそれはまるで四角い熱のコテで体と心をぎゅうと押さえ込まれる感じだ。ぴが悪くなった時「どうか助けてください」とお願いしたプチ神社に「そういえば、神様にご報告をしなければ」といそいそ立ち寄ると、祠自体に鍵がかかっていた。神も仏もいるのかさえもわからない。 神様も暑いのだ。暑くて「もっ」とする空気を遮り、ひんやりした祠の中に閉じこもりたいのだ。それももっともな話なので責める気に

特別寄稿 「京都から大阪まで」

そんな歌があった。あれは「京都から博多まであなたをさがして」だったかな。今回は博多はないのが寂しいが、次回はきっと。 いつも毎回そんな思いを抱え場所から場所へ移動する。トリオのドラマーRossの言葉じゃないけれど「ショーは始まったらwork outと同じで時間がくれば終わるのさ」だ。やっつけ仕事という意味じゃなくて「それくらいクールで」いないと感情に流されてしまうということだ。 80年第90年代であれば公演は夜が多かったし、昼間は前乗りした土地でmcのネタを探しに温泉や街

特別寄稿 「大きなソロの木の下で」

随分前からパッキングを前倒しでやってたはずなのに 、出発はまたバタバタで飛び出してしまった。 エバンに「ニューヨークで、世界で、いや宇宙で、そして特に日本で一番クールな髪型」に仕上げてもらい(エバン曰く)、後ろの刈り上げには、 「いつものように2本、バリカンで線を入れとくね!」 とニコッと笑って送り出された。

プチDAYS 「エバンのところへ向かう。」

旅に出る前の冷蔵庫の整理が大変だ。 毎回、帰ってくると変形してる玉ねぎやカビの生えた漬物などの処理に追われるので、今度こそはスッキリ旅立つ前の晩までに使い切ってさっぱり冷蔵庫を空にしてから出ようと思う。 ただし気に留めておかねばならないのは帰宅後の夜。本当に何もないとブルックリンは夜9時を過ぎると開いてるコンビニが少なくなるのでカップ麺とかドリンクとかを非常用に備えることもやっておかねばならない。

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大江屋レシピ #216 「彩、にんにく、蒸し炒め!」

アメリカはインフレが進む君!な中、どこも赤ピーマン、ベルペッパーが1個4ドルとかで、日本円だと700円くらい? 1個700円って。それで腐ってたりもする場合も大いにあるもんだから、もう世の中がめちゃくちゃになってきてる感じがします。地下鉄はかなり多くの人がキセルして飛び越えて入っていくし見て見ぬ振りだし万引きは増えるし駅の物乞いは乱暴になるし。 今日はTrader Joeで赤ピーマンを1ドル99で見つけたので即買い。結構いいやつだったよ。買い物はこんな感じ。↓ それではず

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大江屋レシピ#215 「鯖ポモドーロパスタ、うまいやん!」

トマトで鯖ポモドーロ作りたい! ずっと鯖とパスタが頭の中で回っていました。ついに作ります。 一匹、鯖のいいのを魚屋でおろしてもらいました。「Fillet, Please!」(内臓をとって)。「Just Fillet?」(頭はつけといていいのね?」そんなやりとりがあり、おばちゃんが調理場のおっちゃんに大江屋の鯖を手渡すと、あっという間におじちゃんは綺麗に内蔵だけとって頭はそのままの鯖を2重の袋に入れて大江屋に手渡してくれました。 トマトで鯖ポモドーロへ一歩踏み出しました。

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プチDAYS 「6月が過ぎていく」

あ、そう言えばもういいんだ。 と気づき、あ、そうかと納得する日々がある。 あ、もうぴの夕食の用意しなくてもいいんだ。あ、薬をrefill(補充する)しなくてもいいんだ。あ、早めに帰宅しなくても、爪を切りにサロンへ連れて行かなくても、病院の予約をしなくてもいいんだ。 なにも焦ることがないのは寂しいものだ。 いいんだの一環で、あ、お香を焚いてもいいんだ、と言うのがある。ぴはゲホゲホするので、お香は辞めていたのだが、朝のコーヒーのお供に久しぶりに焚くお香は本当に気持ちがいい

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プチDAYS 「父かえる!」

父が少し帰ってきてたようだった。 毎朝壁の肖像画に挨拶するとき、今朝はほんの少し声が聞こえたのだ。 父は喉の機能を無くして何十年も生きていたので、手元の装置で鳴らす振動音が父の声だった。なのにその晩年の声とは違う父の喋っていた頃の声がしたのだ。今思うに、懐かしい友達に会ったようで、ちょっぴり照れ臭かった。

大江屋レシピ #214 「豚ニラ豆腐オイスタートロミ」

大江屋はいつも献立を考えてます。歩きながら眠りながらピアノを弾きながら口ずさみながら。 最近は材料を買い過ぎず、一旦買ったものをとことんまで使い切る、です。そんなわけでニラと豚バラが気になってました。本当に煮崩れしないFirm(硬い)豆腐の方がいいのでしょうけどたまたま家にあるSilk Tofuでとろみをつけてオイスター味にしてみます。「オイスタート」じゃないからね。笑。 用意するもの:ニラひと束、豚バラ適量、豆腐1丁、オイスターソース大さじ2、ごま油大さじ1、オリーブオ

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petit Senri courage 2024.6

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