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Senri Garden ブルックリンでジャズを耕す

グラスワイン1杯分のお楽しみをジャズと共にブルックリンからデリバリー。エッセイ「ブルックリン物語」、ラジオ「Sen Corouge」、日常を写真と文で綴った「Days」、レシピ「… もっと読む
大江千里の未発表のエッセイ、動画、詩、サウンドを発表していく実験ラボであり、みなさんと作り上げてい… もっと詳しく
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2016年10月の記事一覧

大江屋レシピ(15) 「お好みオムライス」の巻

今日はボリュームたっぷりのオムライスを作ろうと思います。でも同時にお好み焼きを食べたい場合はどうしましょう? さて、何が飛び出しますやら。 せっかくなので中身をライスではなくてキノアで作ろうと思います。正確には、お好みオムキノアですね。 キノアは、ふっくらさせるまで時間がかかりますねえ。僕は水を足し、焦付かぬよう丹念にかき混ぜ、何度も様子を見て、辛抱強く、辛抱強く、ふっくらとさせていきます。意外とこれも、疲れた時の気分転換になるのです。鼻歌歌いながら。 「キノアを待つ

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ブルックリン物語 #28 Smile「スマイル」

コンコンコン。 昨日と同じノックの仕方で不意にギョッとする。もしや又昼の2時まで寝てしまったのか。下着のままドアを開け「10分以内に出るんですみません」とだけ告げる。僕の部屋はいつもの東南アジアの男の子が掃除係だ。歯を磨き短パンにフード付きのトレーナーを着て部屋を飛び出す。 「ごめんなさい。掃除をよろしくお願いします」 「いてらっしゃいませえ!」 少しアクセントのある日本語だから逆に心が伝わる。東京での定宿のスタッフは、みな温かい。昨夜は日本に帰ってくる前から続いてい

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ブルックリン物語 #27 When You Wish Upon A Star 「星に願いを」 後編

カフェピンクハウスはサラトガの街の目抜き通りに位置する。閑静な住宅地に緑多い森。そこに必要最小限の店が上品に並ぶ。Aさんの車を降りてぴと街路樹の下を歩くと鳥の声が聞こえてきた。 店の前ではせっせと開店準備をする若い日本人の女の子がいる。Aさんが声をかける。 「久しぶり、○ちゃん。随分会ってなかったよね。元気?」 「あら。そちらこそ元気ですか。お店には裏からでないと入れないので案内しますね」 僕たちは脇の道を通って建物の裏に回る。モールのようにどの商業施設もつながってい

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ブルックリン物語 #26 When You Wish Upon A Star 「星に願いを」前編

一ヶ月に渡る日本滞在から戻って数本NYでライブをやった後、息つく暇もなくサンフランシスコに向かうため僕はJFK国際空港にいた。時差でいえばこれからまた日本の方向に向かって戻ることになる。果たしてどうなるのか。ただでさえきついのにこの先体内時計はいったいどうなるのか。今回の旅の目的はサンフランより南に位置するシリコンバレー、サラトガにあるジャズクラブで演奏するためである。ぴちゃんの飛行機予約も数週間前に済ませ(アメリカの飛行機会社は一機に何匹までと機内に持込める動物の数が決めら

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大江屋レシピ(14) 「紫キャベツのペペロンチーニ」の巻

鮮やかな紫色のキャベツをスーパーで見かけて、ふと強烈思う。 「よく春キャベツのアリオーリオ(ペペロンチーニ)ってあるよな。あのノリで紫キャベツのペペロンを作ってみよっかな」 包丁で丸い小ぶりの紫の君を真っ二つにしたら、紫の君のキュッとはにかんだ素顔が出現。ジューシーどす。 それでは早速急いで作ってみるね。どんな味になるのだろう。 テキストなーし。いつも思いつきだけど、ワクワクあーりオーリオ。(笑) 作り方 : 1)親指と人差し指で輪っかを作り、その中に入る本数の

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ブルックリン物語 #25 East of The Sun (And West of The Moon) 「太陽の東」(月の西)

そうだ、熊本へ行こう。あの太陽のような笑顔のみんなの居る。 地震の後にそう心で思うものの、現地の様子はなかなかNYには伝わらず、途方にくれた。「KUMAMOTO」という曲を書いてネットに載せてみたり、自分も心の平安を保っているようなところがあった。5月に一回プロモーションで帰国した時にオールナイトニッポンのスタッフの方が、この「KUMAMOTO」を聞いていてくれて、なんと番組のゲストに僕を呼んでくださった。発信することは一方通行ではない。熊本へ繋がったようで嬉しかった。太陽

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