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読書録①この国のかたち ニ

『この国のかたち ニ』司馬遼太郎

なんで2かというと、実家から持ってきたものだからです。この本はもともと祖父が持っていたもので、祖父が亡くなった時に父が祖父の本棚から貰ってきたものを、私がもらってきたものです。輔弼(ほひつ)とかいう難しいしい言葉にふりがな振ってあるところがかわいい。こんなエピソードもある本の感想です。

この国のかたちは歴史小説を数々描いてきた司馬遼太郎による、日本のことをつれづれなるままに綴ったエッセイ集です。

最初のエッセイは日本の家紋が主題です。
貴族以外が家紋を持っているのは世界でも珍しく日本くらいで、その文化は室町時代から形成されてきたという話ですが、例が面白いです。

江戸時代、長屋の大家さんが店子が町奉行に呼び出されたのについていくとき、「婆さん、羽織をお出し」おおぎょうにそういって、紋付羽織を着、出陣でもするように出かけていく所からこの章は始まります。紋付きの羽織は、今日の自分は公人ですよという証であり、それは建物の所有者ではなく、一介の管理人でしかない大家さんのような立場の人でも持っていた。このような文化を端的に表すシーンです。

情景がありありと思い浮かべられる描写なのが、物書きの人はすごいなと思うところであり、歴史オンチの自分でも楽しく読める理由です。

他にもお気に入りの章は、天領と藩領、職人があります。

全体としては、過去から変わった所や変わっていない所、自分たちのご先祖さまの素朴でかわいい様子、どのような要因・事象が重なり合って現在の文化に繋がっているのか?など、自分の身の回りの物語を聞いているような気にさせる所にこの本の魅力を感じました。また、日本史の知識がもっと深ければもっと楽しめるのに… と至るところで思いましたので、日本史少し勉強中です。

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