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ぶたのしっぽ

届いた!届いたよブタの尻尾が!!!

冷凍のものは置き配できないので、指定時間にして朝からブタの尻尾が届くのを待っていた。
商品名は生豚尾。配達員さんはこういう突飛なものも日々運んでいるのだろうなと思いながら小さい箱を開けてみると手のひらにのるくらいのブタの尻尾が5本。ええ。。5本もどうしよう。
尾椎の標本用に1本ないし2本あればいいなと思っているけれど、どうせならそのほかはおいしく食べられる方法を模索するか。もともと食用だし。

ところで、ブタの尻尾といえば思い出すのは「断尾」
読み方はそのまま「だんび」
音の響きはかわいい。
実は日々食卓に上がってくれているブタちゃんたちは、結構小さい時からいろんな試練を乗り越えてきた歴戦の猛者なのであるが、その試練の1つがこの「断尾」
読んで字のごとく、尻尾をちょん切られる。
私が昔実習させていただいた養豚場では、去勢とセットで、生後3日で去勢完了の印に行われていた。男の子に生まれたブタはWで痛いので大変だなと思った。メスも同じタイミングで行う。
なぜそんな仔豚のうちにやるのか聞いたところ、赤ちゃんのうちのほうが痛覚が鈍いらしいよ~とのことだった。痛みを与えてしまうのは大前提としてもそれなりに配慮しているのだ。
そもそもなんで尻尾を切るのかということだが、豚同士で尻尾をかじってしまうことがあるからだ。そこから感染症が広がったら、養豚農家にとってもブタにとってもよくないので、初めから切ってしまう。

断尾のやり方はシンプルで、ハサミで切る。もちろん麻酔なんてしない。
でも少々コツがいる。私たち人間はもうとっくの昔に尻尾をなくしてしまったからわかりにくいかもしれないけれど、尻尾も背骨の延長で椎骨(尾椎)が連なっている。生後たったの3日しか経っていない仔豚のそれを触ると指先でぼこぼことして、ちいちゃい骨を感じる。その、ぼことぼこの切れ目を探してそこに確実にハサミの刃をいれるのだ。うまく骨と骨の間に決められればほとんど出血せず、そこまで苦しめることはないけれど、間違って骨を切ってしまうと血がだくだくと出て止血が大変なのだ。だから尻尾を爪でしごくようにして確実に探る必要がある。嫌がる仔豚がぎゃーぎゃー叫ぶ音をシャットアウトしてとにかく慎重に。ここだという位置を決め込んで刃を入れる。
しゃきり。と案外簡単に切れる。血は、、、そんなにでない。うまくいったようでよかった!!!!

こんなふうにして1日に何十頭も落としていく。ブタも人も大変だ。

なんて、さきほど届いた大きい尻尾に、切り落とされたあの細くて小さい仔豚の尻尾を重ねてみていた。

この尻尾も昔断尾された残りの尻尾なのだろうか?たぶんそうだと思うけれど、私はそんなにブタの事を知らないので正直わからない。だから早く標本にしたい。。。。けれどまだしばらく落ち着かない日々なので、ぐっとこらえて尻尾を冷凍庫にしまったのだった。


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