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親と子の生活リテラシー<その7>「早く」について

 家庭生活での親から子へのセリフには「早くして」、「早くできないの?」、「早く来て」など、時間的な急かし用語「早く」が多発されます。もう、我が家では、朝の子供の送りや夜の風呂とかは定番セリフっすな。
 ええ、「早く」って、あまり言うのが好ましくない言葉だとは、重々承知しているんです。もっと自然体で〜とか、子供のリズムを大切に〜とかね。理想ですよね〜w かなり気を使ってても「早く」が口に出てしまうとは、やはり、日常の家庭の世知辛さは霧消しないようにできているのであった。

 しかし、一方で。不思議なことに、世間では「早く」が尊ばれております。タイパ(タイム・パフォーマンス)なる造語も流布してます。これだけネット社会が基盤になってくると、「早い」ということは、時間のリソースを有効に使えている証拠(エヴィデンス?)にまでなってきています。


娘「算数のテストって意味がわからないんですけど」

父「算数苦手だもんね」

娘「苦手じゃなくて、不愉快なの。なんで30分の間に10問の計算問題を解かなければいけないの?」

父「それってテストのことかな」

娘「そうも言うね。計算ができるようになればいいんでしょ? なら、変でしょ、30分じゃなきゃいけない、その間に10問できなきゃいけないってさ。どこの世界なのかしら」

父「うーん、確かに社会に出るとそんな場面はあまりないかもなあ。それに、答えのある問題なら正解も早さもAIで決まりだしな」



◼️「早く」を試考する見取り図

そもそも、この「早く」が取り上げられた理由から試考します。先にも書いたように、昨今よく聞く時間周りのフレーズに、「タイパ」があります。 時間対効果についての意味ですが、ベースは費用対効果のコスパから来ていますよね。つまり、時間がお金と同義に扱われてます。

 コスパが良い、というのは投下されたリソース(お金)に対して、産出された価値がどのくらい高いかって意味ですな。ですから、産出する価値が高いか、投下されたリソースが低いか、で「コスパが良い」と表現できます。分数で言うなら、分子(価値)が高いか、それとも、分母(費用)が低いかで、コスパがいいねって言えるわけです。

 なので、投下された時間(分母)に対して、産出された価値(分子)が高いことが、「タイパが良い」ってことになります。そして、もう一つ。同じ価値でも早く産出できているなら、やはり「タイパが良い」なのです。

 さて、問題は継続してコスパやタイパを世間様が求め続けることです。終わりなき「儲けましょうよ」や、終わりなき「早くして」が人を疲弊させてませんか?(いや、疲労させている!・・・笑いなし)。

 これを大きな視点で描くなら、コスパの先にあるのが経済成長神話で、タイパの先にあるのが時間高速神話(ここでの造語だよ)って言えそう。

図表148

 経済成長神話も終わりのない成長まで話がいくなら、結構、辛いものが待っています。どんなに経済成長しても、年度が終わったら「ごくろうさん」の一言もなく、また来年は・・・%成長しよう!、みたいなスローガンが目の前に現れる仕組みです。会社なんかはこれが決算単位できます。常に、期初には過去をリセットしてスタートしちゃう仕組みです。
 このノリで時間も「早く」で扱われるなら、やはり、見通しがなさそう。もう、どんなに早くしても、次は「もっと早く」が待っているのだった。おおー、無間地獄さながらっすな。

こんな背景で、タイパ化してしまう「早く」を試考します。

さて、始めます。

「早く」をお互いが求めてしまう環境は、すべての人々が加担しています。もちろん、ネガティブ・ケイパビリティ事実や理由を性急に求めず、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいられる能力)志向の人は「タイパ」は求めませんが、残念ながら人数的にはマイナーであることは否めません。あ、それと子供達ね。「ここ今」に生きていれば、そもそもタイパなんて言わないのだw

まずは、世間全般の「早く」を推奨してしまう理由を生成AIで確認し、その理由の範囲を目配せしてみましょう。

人々が生活の中で急ぐ理由は様々ですが、大きく分類すると以下のようなカテゴリーに分けられます。それぞれのカテゴリーについて、体系的な説明と具体的な事例を添えて解説します。

1. 職業上の要求
職業上の要求や期限は、人々が急ぐ大きな理由の一つです。仕事の締め切り、会議のスケジュール、プロジェクトの納期などがこれに該当します。

事例: あるIT企業のプロジェクトマネージャーは、新しいソフトウェアのリリース日が近づいているため、開発チームを急かしています。彼は、リリースの遅延が顧客の信頼を損ない、結果的に会社の収益に影響を与える可能性があることを理解しています。

2. 社会的・文化的圧力
社会的な期待や文化的な慣習も、人々が急ぐ理由となり得ます。例えば、一定の年齢までに結婚する、良い大学に入学するなどの社会的なマイルストーンがこれにあたります。

事例: 日本において、多くの若者は良い会社に就職するために、大学入試に向けて慌ただしく準備を進めます。この圧力は社会的な期待から来ており、学生たちは競争が激しいことを知っているため、勉強に追われる日々を送ります。

3. 個人的な目標や願望
自己実現や個人的な目標を達成するために、人々はしばしば急ぎます。キャリアアップ、趣味のスキル向上、健康やフィットネスの目標などが含まれます。

事例: 一人のマラソンランナーが、来る大会で自己ベストを更新することを目標としている場合、彼はトレーニングスケジュールを厳格に守り、毎日の練習に追われることになります。

4. 緊急事態や予期せぬ出来事
急な病気、家族の問題、自然災害など、予期せぬ出来事や緊急事態も人々を急がせる原因です。

事例: 家族の一員が突然の病気にかかった場合、その家族は急いで病院に連れて行き、必要な手配をする必要があります。このような状況では、迅速な行動が求められます。

5. 日常生活のルーチン
日常生活の中での時間管理も、人々が急ぐ一因です。通勤ラッシュ、子供の送り迎え、家事など、日々のルーチンが時間の制約を生み出します。

事例: 朝の時間帯に、子供を学校に送り、自分自身はオフィスに間に合うようにするため、多くの親は朝食の準備や身支度に追われます。時間内にすべてを終えるためには、効率的な時間管理とスピードが求められます。

これらのカテゴリーは、人々が日々の生活の中で急ぐ様々な理由を理解するのに役立ちます。各事例は、特定の状況下での急ぎの必要性を具体的に示しています。

生成AI

生成AIから提示のあった理由は大まかに5種類です。これを図表に落としてみましょう。

図表149

5個の理由カテゴリーのうち、No.4「緊急事態や予測せぬ出来事」が生命的な理由なので、特殊さが際立ってます。すると、それ以外の4つの理由を分解できれば良いので、二軸フォーマットで整理してみました。

X軸:社会的な理由ー個人的な理由の軸 

Y軸:実利的な理由ー習慣的な理由の軸

「緊急事態や予測せぬ出来事」は本能としての「早く」ですね。分類できない中央にプロットします。

で、この眺めから、「早く」がタイパ化してしまう理由を切り出すと・・・

No,1「職業表の要求」、No,2「社会的・文化的圧力」は外部環境からの理由なので、個人でコントロールできません。ここでの扱いをもてあまします。

<試考方向1>
まずは、No,5「日常生活のルーチン」に焦点を当てます。自分で作ってしまった生活習慣なら、かなり、自己を律することで対応できます。「早く」志向から日常生活を取り戻すための生活思創をしてみます。

<試考方向2>
次に、No,3「個人的な目標や願望」を扱います。この実利的な「早く」には、別の実利を提示する必要があります。急がないことで見えてくる実利とは何かを試考してみます。


図表150


◼️<試考方向1>「早く」志向から日常生活を取り戻す

図表148で時間の高速神話なるものを経済の成長神話とセットで図解しました。これって、時間が矢印となってましたね。つまり、線形(文字通り、線の形)の時間なのです。本来は、時間を図示するのは直線って決まってるわけでもないのです。線形はコスパ・タイパを考える時には有効なベースとなります。「昨日よりも今日の方が、今日よりも明日の方が」が可視化された感じがしちゃうんですな。だが、本当にそうか、疑ってみましょう。

やや閑話休題。

ここで線形時間について、触れます。クロノスとカイノスという対比できる時間概念があります。

カイノス(Kairos)クロノス(Chronos)は、古代ギリシャにおける二つの異なる時間概念です。これらは時間の性質や経験の仕方に関する異なる視点を提供します。

クロノス(Chronos)
定義: クロノスは、線形で均一な時間の流れを表します。これは、時計で計測可能な時間、つまり秒、分、時間、日、年などによって測定される客観的な時間です。

特徴: クロノスは定量的で、常に一定の速度で進行します。日常生活におけるスケジュールや期限、歴史的な年代測定などに関連しています。
: 会議が午後3時から始まる、プロジェクトの締め切りが1週間後であるなど、具体的な時刻や期間に基づく時間の管理や計画。


カイノス(Kairos)
定義: カイノスは、「適切な時」や「機会の時」を指し、特定の瞬間が持つ質的な価値や重要性を表します。カイノスは、正確な時刻ではなく、行動を起こすのに最適なタイミングや、特定の瞬間の重要性を強調します。

特徴: カイノスは質的で、特定の文脈や状況に依存します。適切な瞬間を捉える洞察力や、その機会を最大限に活用する能力と関連しています。
: ビジネスでの交渉を開始する最適な瞬間、感情的な支援を提供するのに適したタイミング、創造的なインスピレーションが湧いた瞬間に行動を起こすこと。


対比

時間の測定: クロノスは量的で客観的に測定可能な時間ですが、カイノスは特定の瞬間の質的な価値に焦点を当てています。
時間の経験: クロノスは日常生活のルーチンや計画に関連し、一方でカイノスは特定の機会や瞬間の特別な意味や機会を捉えることに関連します。
行動のタイミング: クロノスは予定やデッドラインを決めるのに用いられ、カイノスは行動を起こすのに「適切な時」を見極めるのに用いられます。

カイノスとクロノスのこの二つの時間概念は、時間と私たちの関わり方を理解するための補完的な枠組みを提供します。クロノスが日々の計画や管理に役立つ一方で、カイノスは人生の重要な瞬間を見極め、それらを最大限に活かすための洞察を提供します。

生成AI

まあ、ここまでは生成AIが紹介してくれる一般的な概念です。ここではクロノスではなく、だからといって、カイノスでもない非線形を試考します。

 線形時間での「早く」には「遅く」が対応します。これを線形に反する対称性を試考します。「早く」と「止まる」という、ちょっと極端な概念で対称性があるとしてみましょう。図表151参照

図表151

すると、「早く」と「止まる」の間に「ゆっくり」が設定できます。

走る→歩く→立ち止まる→また、歩く→走る、みたいな。

 これって循環している時間ですよね。「止まる」→「ゆっくり」→「早く」→「ゆっくり」→「止まる」がグルグル回る時間です。これを循環時間と呼びましょう。さて、この循環時間はあくまでも個人が扱えそうな時間の視点です。なんと言っても、世間は違います。世間様のほとんどの活動は線形時間で回ってます。
 ここでの循環時間は個人の時間の解釈です。私の時間を私に流し込む時間感覚です。時計で測るのではなく、個人の感覚(気分と言ってもいいぐらい)で回って行きます。

「今、何時?」→社会一般で私が流されていく線形時間→「7時です」

「今、何時?」→私の時間を私に流し込む循環時間→「ゆっくり時間だな」

図表152

集団の線形時間(マゼンタ)で、私たち個人は「早く」に晒されてます。世間を生きていくには、ここは抗い切れません。仕事の時間効率、学習時間内の勉強の習熟度、学校の時間割。
 でも、個人の循環時間(ターコイズブルー)を、集団活動(会社での仕事、親子での生活)での「早く」に対して、組み込むことは可能なのです。なぜなら、あなたが自分の感覚だけで循環時間を意識すればいいからです。

 ただし、「早く」生活は、どうしても疲労による休みを求めます。「休み」は、集団の行動に組み込まれ済みですけど、完全に「仕方なく」必要なものとして扱われます。「早く」→「休み」→「早く」→「休み」のようなガッチャンガッチャンと集団の線形時間が進む感じです。

 しかし、「止まる」は「休み」と異なります。私の私の時間の中の自発的な休止符なのです。「休み」は集団都合の概念です。どこにも属してない人が、日々ぼーっとしている時を「休み」とは言いません。

 小生もプー太郎時代が一年ほど(会社辞めて独立直前の頃ね)ありましたが、「休み」じゃなくて、人生の一旦「止まる」だったのだ。

 「休み」は循環時間に組み込めない、そして、「止まる」は線形時間に組み込むことが許されない。

ではまた、循環時間に戻りますね。

タイパ発言での「早く」は会社にとっての価値、家庭にとっての価値といった集団の価値が絡んでいます。この「早く」が出現した時に、個人の循環時間を回すようにします。もちろん、意識上ですよ。そして、意識を次のステップに移すのです。それが「ゆっくり」です。

「おっと、『早くして』って言っちゃったな。まずは、何か『ゆっくり』を入れなくちゃな」、みたいな線形時間から循環時間への乗り換えです。「早く」(それに準ずるような言葉)を口にしたら、それがセルフ・スターターになります。


図表152

仕事でタイパを意識したら、帰宅は歩きの距離を伸ばして「ゆっくり」を組み込む。子育てでタイパを意識したら、料理はやや仕込みを増やして「ゆっくり」を組み込む。

図表152のように、主要な「ゆっくり」を3対6種を挙げてみました。

集中と分散の意識、「ゆっくり本を読む(集中)」、「ゆっくり周囲の風景を見渡す(分散)」

理性と身体の意識、「ゆっくりと先の長い課題を考える(理性)」、「ゆっくりと長めに歩く(身体)」

内的感情と外的感覚の意識、「ゆっくりと穏やかさを感じる(内的感情)」、「ゆっくりと自然がある場所に立ち寄る(外部感覚)」

こうやって眺めると、多分誰もが何か近いことをしてるでしょう。気分転換とか言ってね。ええ、それです、それを循環時間の一部として習慣化することで、タイパ幻想に対峙していくことを、ここでは提唱しています。

図表153

 親子の話に振ってみましょう。「ゆっくり」に慣れてくると、親子の間にも、お互いの「ゆっくり」なタイミングでコミュニケーションを取れるようになります。もちろん、親の「早くして」がなくなることはありませんし、無くす必要もないのです。お互いが「ゆっくり」のタイミングに意識的なるだけです。

 小学一年生が宿題を親からせかされ、渋々終わってから、レゴで遊び始める。それに親が気づいたなら、近くでまったり眺めるだけでも十分なのです。余計な話はいらないのです。お互いの「ゆっくり」が共振します。

 たしかに、この「ゆっくり」には、集団の線形時間から抜け出ようとする覚悟が必要です。でも、集団的なコスパもタイパも先行きは厳しそうじゃないですか? 日常生活のルーティンに「見通しのなさ」を感じるなら、「見通しのある」生活に向かって個人の循環時間を組み込むのも一手でしょう。


◼️<試考方向2>循環時間を習慣にして「気づき」を価値化する


今度は、もっと娑婆っ気を出して循環時間を試考します。図表154にあるNo,3「個人的な目標や願望」を扱います。この実利的な「早く」には、別の実利を提示する必要があります。急がないことで見えてくる実利とは何かを試考してみましょう。


図表154

 実は、「早く」という要素をタイパに結びつけるには致命的な欠点があります。タイパは大きく改善される見込みが少ないのです。たしかに、生成AIのように、今までの資料作成時間が十分の一になった、なんていうのはイノベーションです。タイパ最高です。このブログもその生成AIがあっての作成になっております。ただ、これは異常値です。だからこそ、社会的なインパクトがあるわけだけど。

 通常の人々が求めているタイパは「早く」と言っても、そうそう早くはならなし、それは労働強化に繋がるのでブラッキーな手筋だったりしますから、「早く」に負荷をかけることは魅力的ではありません。ですので、ここはタイパの分子である価値が上がることで(タイパの分母が時間ですな)、タイパ向上を考えるのが得策だと試考します。

では、詳しく試考してみましょう。

まずは、この<試考方向2>は、タイパの分母ではなく、分子の価値の方に焦点を当てます。新しい価値には新しいアイデアが含まれてます。マーケティング的には、そこに受容する側の欲しいと言うニーズ(Needs)と提供側ならではのアイデアを実現させる独自の方法(Seeds)が3つセット(アイデア+ニーズ+シーズ)になって、やっと価値になります。その中でもアイデアは価値の中核です。

オーバーエンベデッドネス(Over embeddedness:過剰な埋没)という現象があります。状況に過剰に没入していると幸運な偶然(セレンディピティ)に気がつけない傾向がある、というものです。(「セレンデュピティ:点をつなぐ力」Christian Busch) ここでは「ゆっくり」した精神状況がセレンディピティに気が付く重要な要素だと語られてます。この「状況に過剰に没入している」は、「早く」が引き起こす状態に近そうです。

では、アイデアやセレンディピティなどを、広義のインスピレーションとして扱い、インスピレーションにはどのようなが類型あるのか?について、AIで出してもらいましょう。

インスピレーション、つまりひらめきや創造的なアイデアは、様々な形で私たちの心に訪れます。ここでは、インスピレーションの類型化と具体的な事例を通じてその違いを説明します。

1. 問題解決型インスピレーション
説明: このタイプのインスピレーションは、特定の問題や難題に直面しているときに突然訪れます。解決策が見つからず、一時的に他のことに注意を向けている間に、ふとした瞬間に答えが浮かぶことがあります。
事例: アルキメデスの「ヘウレーカ(発見した)」の逸話。アルキメデスは、王冠が純金で作られているかを判断する方法を見つけるよう命じられましたが、解決策が見つかりませんでした。しかし、入浴中に水の中で体が軽く感じられることから、物体が水を押しのけることで体積を測定できるというひらめきを得ました。

2. 創造的表現型インスピレーション
説明: 芸術家や作家、音楽家などが新しい作品やアイデアを思いつくタイプのインスピレーションです。自然の美しさ、人間関係、社会的な出来事など、外部の刺激からインスピレーションを受けて、新しい芸術作品や楽曲、物語を生み出します。
事例: ポール・マッカートニーが夢の中で「Yesterday」のメロディを思いついたこと。彼はある朝目覚めたときに、夢で聞いたメロディをピアノで弾いてみて、それが新しい曲「Yesterday」の原型となりました。

3. 直感型インスピレーション
説明:直感型のインスピレーションは、論理的な思考や明確な外部の刺激がなくても、内面から突然湧き上がる直感や感覚に基づくものです。このタイプのひらめきは、しばしば直感的な洞察や深い理解を伴います。
事例: 科学者ニールス・ボーアが原子モデルの構造を考える際、彼の直感が彼を導きました。彼は太陽系の構造にヒントを得て、電子が原子核の周りを回るというモデルを思いつきました。これは当時の科学界における大きな進歩であり、現代の量子力学の基礎となりました。

これらのインスピレーションの類型は、それぞれ異なる文脈やプロセスから生まれますが、共通しているのは新しいアイデアや解決策が突然、予期せずに心に浮かぶという点です。

生成AI

大きく3種類のタイプがでてきました。循環時間に当てはめてみましょう。

集団の線形時間と接している「早く」は、最もインスピレーションと縁がない場所と言えそうですね。

図表155

あっさりまとめると・・・

意義あるインスピレーションは個人の深いところで起きること。

・意味あるインスピレーションは価値の源泉であること。

・価値あるインスピレーションは過剰な課題への没入では起きないこと。

・・・つまり、個人の循環時間を推奨するのは、単にタイパ発想への皮肉ではないのです。この循環時間は意識の転換であり、自主的な生活のリフレーミングと言っても差し支えないでしょう。

 個人が自分の時間を、集団の時間の流れから切り離すと、価値創造のインスピレーションと出会える確率が高まるということです。「ゆっくり」や「止まる」は、実利に沿っているのです。もちろん、投資がかかってませんから、宝くじを買うよりもコスパ的にも魅力的な習慣ですかねw 

 循環時間とは、「ゆっくり」や「止まる」の周りに漂う「ふとした」に浸る習慣でもあるのです。価値創造の源泉だよ。


娘「循環時間って、面白そうだね」

父「大人にとっては、結構、切実だけど」

娘「私も、私の時間の流れを作りたーい」

父「やりなよ」

娘「私の気分で流れる時間」

父「やな予感がするけど、どんなの?」

娘「私が、家族の早くと止まれを指図するのよ」

父「共振しないな」



<おまけ>循環時間を縮小してみる

さて、この個人の循環時間を微細な方向に縮小してみました。

図表156

 この最も小さい「瞬間ごと」の循環円が、「ここ今」(Here and Now)に生きるってことかな? なんか、ちょっとした瞑想だね。まさに止観瞑想だ。

 追記:
サマタ瞑想で呼吸に集中して、ヴィパッサナー瞑想で思念を流す時間のサイクルとも解釈できそう。ん?、むしろ、止観瞑想を日常や人生にまで拡大したものが「循環時間」だったりして。それもありだな。
 

Go with the flow.


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