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正信偈講座4 「五劫思惟之摂受 重誓名声聞十方」

正信偈4
 
五劫思惟之摂受 重誓名声聞十方
 
極悪人を必ず助けると誓いを起こした法蔵菩薩は、非常に長い時間、考えごとをしました。必ず助けようと誓ったが、一体どのようにすれば極悪人を助けられるのか、簡単に答えが出なかったからです。この考えごとをした時間を五劫(ゴコウ)と言います。劫と言うのは時間の単位です。時とか分とか秒とかと同じ単位ですが、劫は私たちの考えが及ばないくらい長い時間です。
 
お経の中に例え話があります。この世界のどんな山よりも大きい岩山が1つあります。100年に1度、空から天女が降りてきて、着物の端でこの岩山を少し撫でます。摩擦するので、ごくごくわずかにだけ岩が削れることは想像できますね。これを繰り返していつか岩山が無くなるまでの時間が一劫です。
 
つまり、他の仏さまが見捨てる程の極悪人であった私たちを助けるためには、五劫という遥かに長い時間をかけないといけなかったのです。
 
五劫の後に、答えが出ました。その名前が、世界中に響き渡るような仏さまになれば、極悪人を助けられると分かりました。十方(ジッポウ)とは世界中です。四方八方の八方に上下の二方を足して、8+2で十方です。空間的にすべての場所を表します。
 
十方の世界中、どこにでも仏の名前があるのならば、極悪人のもとにも必ず届きます。仏になった自分の名前を聞かせることで極悪人を助けようというのが、法蔵菩薩の考えついた結論でした。
 
難しい哲学のようですが、これは概念の話ではありません。言葉の中で生きる人間のもとに届くには、仏の方も言葉にならなければいけなかったのです。この名前が「南無阿弥陀仏」です。仏となった法蔵菩薩の、真実の名前です。
 
極悪人を必ず助けようと誓ってから、その方法を五劫の間考え続け、四十八願(シジュウハチガン)と呼ばれる48個の約束で助け方を定め、その上でさらに、必ず助けると再度重ねて誓われた、このときのうたを「重誓偈」と言います。あなたを助けると、とことん誓われたのが法蔵菩薩です。「南無阿弥陀仏」の言葉でお助けします。

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