BPSD(周辺症状)をやわらげよう|アルツハイマー型認知症
認知症には、様々なタイプの認知症があることを知っていましたか?
認知症の種類はアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、脳血管認知症です。
今回は、その中でも認知症の約60%を占める、アルツハイマー型認知症についてお話いたします。
認知症で困ること
アルツハイマー型認知症になり、進行するにつれて必ず現れるのは、中核症状です。
中核症状とは
①記憶障害(約束を忘れる、ご飯を食べたことを忘れる)
②見当識障害(迷子になる、映画館でおしゃべりし始める)
③理解力・判断力障害(家事がうまくできなくなる、夏にコートを着る)
④実行機能障害(テレビやエアコンのリモコン操作ができなくなる、出かけるのに何から準備すればいいかわからない)
⑤失認・失行・失語(スプーンを見せても食べるための道具だとわからなくなる、服の着替えができなくなる、言葉の意味がわからなくなる)
このように認知症が進行しても、穏やかに暮らせるならば、たとえできなくなったことが増えても人の手を借りて生活していけばいいのです。
しかし、認知症になると、約80%に心理症状や行動障害と言われる周辺症状が現れます。これが、ご本人と介護者を悩ます厄介な問題なのです。
周辺症状=BPSDとは
BPSDの種類
①不安・焦燥
②心気・抑うつ
③介護抵抗
④幻覚・妄想
⑤睡眠障害
⑥多弁・多動
⑦依存
⑧異食
⑨過食・拒食
⑩歩き回る(徘徊)
⑪不潔行為(弄便)
⑫仮性作業
⑬怒りやすい(易怒性)
⑭暴言・暴力
こんなことが起こるようになります。介護者はとても困りますよね。
しかし、一番困っているのは、ご本人であることを理解してください。
幻覚や妄想は、勝手な思い込みではありません。ご本人にとっては恐ろしい目の前の出来事なのです。
例えば、
部屋の中で蛇が出たら、ビックリするでしょう?それで怖がっているのに、「嘘をいわないで!」なんて否定されたらどう思いますか?
あなたなら、どう思いますか?悲しくなりませんか?
コミュニケーションエラーが起こっていますね。
そして、このようなご本人にとっての「目の前の世界」を理解できないと、実はBPSDは悪化してしまうのです。
コミュニケーションエラーをなくそう
先程も申し上げたとおり、「部屋の中に蛇が出た!」のはご本人にとっては紛れもない事実です。
だったら、介護者も一旦事実であると受け止めてください。
そうしたら、なんという言葉をかけますか?
「ええ??蛇が出たんですか?大丈夫でしたか?」
「怖かったですね〜!」
「噛まれたりしてないですか?」
「大きな蛇でしたか?」
「1匹だけでしたか?」
わかってもらえたことで、その人に対する安心感が出来ます。
不安・焦燥といったBPSDをやわらげることもできています。
こんなBPSDにはどう対応する?
ご本人「ご飯はまだ?」
介護者「今、お昼ごはん食べたばかりですよ?」
ご本人「嘘よ!なんにも食べてないわ!お腹がすいてるの!」
介護者「そんなわけないでしょう?夕飯まで待っててよ!」
ご本人「私になんにも食べさせない気?ひどい!」
もちろん、どちらも嘘はついていません。コミュニケーションエラーですよね。
食べたことを忘れているので、下膳せずに置いておき、「良く召し上がられましたね!」と声をかけてみてください。
もし、それでも「私は食べてない」と言ったら?
「ああ!ごめんなさい、そうか、まだ食べてなかったんですね!これから作るから待っててくださいね!」
実は、こうやって気持ちを受け取るだけでも満足し、食べたことも忘れているけど、食べたい!と思った気持ちも忘れてしまうことがあります。
それでも訴えが続く場合には、「お茶にしませんか?」とお茶と小さなおやつを準備して、少しおしゃべりをして、気持ちをリラックスモードへ切り替える作戦も有効です。
一番良くないのは、「無視する」ことです。介護者の感情を敏感に察知しています。
「無視された」ということから、介護者のなんの悪意がない動作でも「あの人からひどい仕打ちをされた!」と感じ、BPSDが悪化していくのです。
まとめ
コミュニケーションエラーをなくすには、介護者が「コミュニケーションを取ろう」と常に念頭に置いておくことが肝要です。
それが、BPSDを悪化させず、やわらげ、お互いが生活しやすくなります。
どんなに認知症が進んでも、人との関わりの基本は「相手への理解する気持ち」が基本です。
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