高齢者の7割が直面する! 加齢性難聴
加齢性難聴は、年齢と共に耳の機能が自然に低下していく現象を指します。人の聴覚は、音が鼓膜や耳小骨を経由して、内耳の感覚細胞を振動させ、それが電気信号として脳に伝達する仕組みです。加齢性難聴は、この内耳の感覚細胞が年を重ねるごとに減少し、音の伝達がうまくいかなくなることで起こる病気とされています。
症状の特徴
加齢に伴い、特に高い音域が徐々に聞き取りづらくなります。初期段階では、体温計などの電子音(4~8kHz)のような高音が聞こえにくいだけですが、やがて日常会話の音域(約1kHz)も影響を受け、難聴を実感するようになります。このほか、耳鳴りのような音を感じることもあります。
症状が発生する年齢
50歳を境にそのリスクが高まり、65歳以降ではさらに増加の傾向にあるとされています。具体的には、60歳代前半で5~10人中1人、60歳代後半では3人中1人が難聴の症状を示すと言われており、75歳を過ぎると、なんと7割以上の人がこの問題に直面する可能性があるとのデータが出ています。
検査・診断の手順
この症状を確認するには、聴力検査が必要です。ヘッドホンを通じて音の高さ別の聞き取り能力を測定し、難聴の状態を評価します。
治療のアプローチ
現時点で、損傷した内耳の感覚細胞を再生する方法は存在しませんが、補聴器の利用により、日常の音を効果的に聞き取ることができます。補聴器の音に順応するための「聴覚リハビリ」も進展しており、医師の指導の下、補聴器を連続して使用することで、音への適応力を養う取り組みが進められています。