見出し画像

シドニーマラソン2024

シドニーが終わって1週間が経った。昨年の今頃はベルリンに向かっていた。あれから1年、昨年は右アキレス腱の故障がありベルリンマラソンを走れるだけで喜んでいたが、今年はそれなりの準備をしてタイムも狙った。結果は3時間15分。坂の多いタフなコースとしては、タイム以上によく走れたレースだと思う。できたこと、できなかったことを整理して、次に生かしたい。

標高差

シドニーへの準備

公開されたコースマップからアップダウンの多いコースである事は見て取れた。昨年のYouTubeなども参考にしたが、今年はコースを大幅に変更しているので、必ずしも参考にならない。夏の暑い頃からスピードを重視するよりも坂を多く取り入れたジョギングを増やしてきた。もともと今年の暑さが尋常じゃないこともあって、スピード練習は8月末になってもとてもじゃないができない。レース9日前に行った10キロテンポ走ではキロ4分18秒。4月の長野の時にはキロ4分5秒だったから相当遅い。しかし結果は3時間15分でほとんど一緒だった。レース途中にトイレ休憩2分を要したのも同じだ。

スタート準備

海外レースはこれで3度目だが、スタート時刻が朝6時と最も早い。日本のレースでは別大を除けば9時スタートなので5時前に起きて準備で良いのだが、6時となると2時半ぐらいには起きないと厳しい。前日の夕食はスーパーで買ってきた肉やパスタなどをホテルの部屋で食べ、夜7時には就寝。隣で寝ている家内には申し訳なかったが夜中の2時半からごそごそ起きて準備。現地で用意したフォーのカップ麺に持参のお餅を3個入れいつもと同じ感じのレース用朝食を摂る。問題はこの後のトイレだ。僕の場合は必ず2キロ程度、起床時にジョグすると腹具合が整うのだが、さすがに知らない街で朝の3時にジョギングに出る気がしない。ということで、これは諦めて早めに会場入りすることとした。足元はアルファフライ3。靴下はやや薄手の安いニューバランスにしたがこれはレース中に脱げそうな感覚でいまいちだった。次回は練習の時履いてる厚手にしよう。外気温は7度前後と低くウィンドブレーカーの下にはフリース。オーバーパンツは冬物を用意してよかった。エイジグループ・ランキングchampionship のカテゴリーのランナーは、日本と同じようにバッグドロップが当日できるのはありがたかった。通常ランナーだと前日までのバッグドロップなので、当日、スタートまで重ね着したものは全て現地処分せざるを得ない。エイジグループはウォーミングアップエリアも別に設定されており優遇されている。それでも戸外なので5時15分のタイムリミットでバッグドロップするとレインコート1枚になり、夜明け前の寒さが身に染みる。年齢カテゴリー別に整列すると近くに同年配の日本のランナーがいることに気がつく。ビブには「Suzuki」と書いてある。そうそうマラソンランキングで一歳上のクラスで一位にいた鈴木さんだ。この寒さの中でビニールも羽織らずにランニングに短パンで休まずストレッチを続けているのには脱帽した。完走後の表彰式で彼が65-69歳カテゴリー1位になったのはさもあらん。

レース開始  0-10k

スタートポイントへの移動と整列は15分前位で20,000人を超えるマラソンとしてはずいぶんゆるい。それでもトイレには直前では行けなかった。スタート時点で途中のトイレ休憩はやむなしと腹をくくった。シドニーマラソンの最初の2キロはハーバーブリッジへの急降下と橋の上り下り。そのまま高速道路を使って一気にダーリングハーバーを超える。ボストンマラソンで最初の下りを飛ばしすぎて、後半足が攣りそうになった経験から下りは抑えた。そうは言っても下りならキロ4分20秒位はでるだろうと思っていたが、実際には出だしでもあり4分30秒オーバー。橋の上りは4分30を考えていたが、4分40秒オーバー。予想より10秒ずつ遅い。しかし頭の中はそんなことよりトイレ休憩を5キロにするか、10キロにするか、それしか考えていなかった。メジャーマラソンでもトイレは5キロおきにしかない。せっかくの海外マラソンをトイレのことで頭を悩ませながら走りたくなかったので早々に5キロでピットインと決める。給水ポイントから約500メートル地点に発見したが、比較的先頭近くということもあり空いている。最近は歳のせいかトイレに入るとまったりしてしまい2分はロスする。組み立てトイレなのに中に手洗いまであるのにはびっくり。

ロックスからオックスフォードアベニューへ   10-17k

腹具合がすっきりして、体も温まってきたのでアームカバーは外す。ちょうど10キロ地点に家内がいたので、外したカバーを渡せて助かった。ここからはキロ4分20前後でまずまずの調子で走れる。やや風は強いものの15度前後の気温は走るには良いコンディションだ。ロックスからピットストリートに入るとオックスフォードアベニューまでいよいよ前半の上りが始まる。事前に歩き、Googleマップで何度も確認したのでイメージは出来ている。走っていると思ったほどの上りの負担は無い。ピットストリートの先端14キロ地点で再び家内を見つけ帽子をとって挨拶するとその辺りにいた応援の皆さんが大歓声を上げてくれてサイコー。これ以降は応援ポイントの前で帽子を取るようにした。

アンザックパレード折り返し  17-27k

アンザックパレードは折り返しまで基本的に下り基調だが、ムーアパークあたりで距離調整のために脇道への短い折り返しが組まれている。ここの上り下りが意外と足に来る。この辺はキロ4分30秒前後で淡々と走る。北海道マラソンの新川通に似てるとも言えるが、単調であっても両サイドにお店も多く、折り返しまで飽きる事は無い。ただし追い風・向かい風といったシドニーでは珍しい強い風にあおられる。ムーアパークに戻ってくると26キロ地点に予定通り家内がいてくれた。タウンホールからうまくライトレールに乗れて移動できたようだ。知らない街では、家内の応援がどれだけ力になることか。

センテニアルパーク  28-32k

今回のマラソンは、周りの景色や応援で飽きることがなく、センテニアルパークに入って30キロのマークを認めたのは意外と早い感じがあった。早々にトイレ休憩したこともあり、ここまで集団に抜かれることはなかったが、3時間10分のペーサー集団にここで捕まる。何とかついていこうと思ったのだが4分30秒を超えるペースで走っていたので、キロ5秒上げる事は難しかった。集団の中に50代?のビブをつけた日本の女性がいて追いつこうとしたが振り切られた。この辺から気持ちの支えにしたのはエイジグループだけがつけている背中のビブである。ageグループは40歳から5歳刻み。ランキング入りしているからそれなりに速いメンバーばかりなので、40代50代の男性ランナーはサブスリーが多いためか近くには見当たらない。しかし時折前方に60代以上のビブを見つけると、がんばって抜くことを目的にした。そうやって、1人また1人と抜いていくことで30キロからのペースダウンを防げた。

ロイヤル植物園からオペラハウスへ  37-42k

St. Mary大聖堂の前で再度トレインで戻った家内の応援に励まされる。37.5k.
ここからはロイヤル植物園の中の公園コースを往復。ここも意外と登り下りがあり、上りではついにキロ4分50秒まで落ちる。先端付近の短いが急な下りでは大腿の前面が引きつり、こけそうになった。ここで初めて65歳以上のビブをつけたランナーに一旦抜かれる。これで気持ちに火がついた。抜かれるもんか。すぐさま上りで抜き返し、そのままラストのマクアリーストリートに入る。思わず自分から声が出る。Go! Go! ゴール500メートル手前に予定した応援地点で家内を見つけられない。すぐ横にいて写真を撮ってくれていたらしい。ペースを上げる。センテニアル公園で抜かれた50代の日本女子を見つける。オペラハウス手前で追いつきそのままゴール。後で写真を見ると彼女が持ってた日の丸と一緒にゴールしていた。

シドニーのレッスン

今回のマラソンで自分なりに良かったと思う事は、やはりイーブンで走れたことだと思う。30キロを超えても4分30から35で走れており、大きく落ちなかった。もっともその理由は、前半からサブスリー狙いで4分15等とペースを上げなかったことが大きい。ひとつの理由は早めにトイレ休憩しロスタイムしたので無理なタイムを狙わなかったこともある。さらに30キロから先、1人また1人とレース中に抜きたいライバルができたことだ。そういう点でエイジグループのビブは大きかった。できなかった事はラップタイムの向上だ。キロ4分10秒台を刻めたのは3区間しかない。暑さと上りがこたえた5月の黒部でも、12キロまでは4分20を超える事はなかった。やはりスピードの底上げが必要なようだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?