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小澤メモ|Sb|スケートボードなこと。

4 湖畔のショップ。

スケートパークの隆盛。
現在、スケートパークがどんどんできている。パブリックとプライベート、どちらのパークも増えている。アメリカではずっと前からよく見た光景だけれど、この日本でもそんな日がやってきた。これは、まだまだ未開といえた90年代の国内シーンで、署名を集めたり、0から行政とやりとりして、スケートパーク運動をしてきたパイオニアたちのおかげもあった。それと、90年代といえば、国内の(ショップ併設の)プライベート・スケートパークの三重のB7(現在もバリバリ営業中)、福岡の2SKATES、埼玉のWICKED’Zなどを思い出す。オーナーがいて、ショップがあって、そのオーナーたちが海外のスケビを見て有名スポットをピックアップして、誰がどうやって攻略してくれるのかイメージ(スケート瞑想)しながら立体化したセクションたちがレイアウトされたスケートパークだった。

蜃気楼のストリートスポット。
パブリックにしろプライベートにしろスケートパークが素晴らしいのは、そこに行けば必ずノーストレスな路面とセクションがあるということ。すなわち、無料にしろ有料にしろヘルメットを着用するにしろ激混みしてるときがあるにしろ、キックアウトされることがない(営業時間などは守るのは当然)。それと、バックヤードや店内に、ミニランプやボウルがあったりカーブボックスが置いてある小粋なショップも増えている。そういった、いわば約束された良いスポットの対局にストリートスポットというのがある。これはイリーガルなものがほとんどだ。だから、誰が都内のどこで何(トリック)をメイクしたとかっていう都市伝説が生まれ、そのメイク動画や写真は、スケーターの功名心を焚きつけてくる。しかし、すぐにキックアウトされるし、それ相応のスキルや覚悟も求められる。さらに2週間前に見つけたスポットが、もう取り壊されてたりスケートできないようになっていたりする。それはまるで蜃気楼のような存在だ。90年代からずっと次なる蜃気楼を追い求めている生粋のストリートスケーターもいる。

水たまりが湖になったスポット。
スケートパークではなく、蜃気楼のようなワンショット・ワンキルのストリートスポットでもない、第3種のスポット。そういう存在もある。それらは完全なるリーガルともいえないけれど、町の一画でその町と人と共存している希少なスケートスポットのことだ。もちろん、そのための(ゴミ問題や騒音など)マナーは守るのが当たり前。そして、そのスポットが、パークのように安定供給された場所ではないという自覚も必要だ。パリのリパブリック、ポートランドのバーンサイド、東京の田町(その前は新宿ジャブ池や秋葉原もあった)、サンフランシスコのピア7やサード&アーミー(当時)などが、そんな第3種のスポットと言えるのはないだろうか。これらは、ローカルやパイオニアの尽力によって、いわばスケート的水たまりが湖沼のようになっていって、いつのまにかそれなりの湖になっていた。コンクリートでメタリックな町のスケートスポット湖。そして、そんなスケートスポット湖で最も有名なのものの1つが、ロサンゼルスにあるスケートスポットのコートハウス。90年代から続く、数々のスケビの名作の舞台にもなった場所だから、エリック・コストン、マイク・キャロルなどシーンのスーパースターのフッテージを思い出す人も多いはず。何が言いたかったかというと、このコートハウスのほとりにはスケートショップがあるということ。言い方は悪いが、知る人ぞ知るパワースポットにいつのまにかできた売店とか、観光地には必ず1軒はある土産屋みたいなノリで、このショップが存在しているのが面白い。富士五湖・西湖でへらぶな釣りの餌や竿を売ってるように、コートハウス湖畔のスケートショップでは、ウィールやデッキ、そしてここで遊ぶには必需品のまき餌(縁石用のワックス)などを売っている。調子にのって、スポット湖だけでなくショップの土産物屋まで!? そのズイズイ感が心地よい。4
(写真は湖畔のショップ、コートハウス・スケートショップ/2018年)

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