見出し画像

小澤メモ|HELLO PANDA|パンダのこと。

6 おとうさんパンダ 永明。

アドベンチャーワールドのザ・パンダ。
パンダ卿といえば、この方。個人的には、和歌山在住のイケメン・グレートファーザー(最近はイケメン以上の風格と貫禄が出ているのであまりその呼び方はしてない気がする)とか、ザ・パンダと呼んでいる。長男の雄浜(成都在住)を筆頭に今年2歳になる彩浜まで、実に15頭のパンダのおとうさん。この繁殖力はすごい。まさに(絶滅危機にあった)パンダにあって、その貢献度も随一なパンダということで、敬意と羨望をもってザ・パンダと呼ばせてもらっている。テレビなどで耳馴染みがあるからか、子だくさんのアイコンなのか、某番組のビッグ・ダディと、永明のことを悪気なく呼んでしまった友だちには、やんわりとたしなめてしまう。なぜかはわからない。だけど、永明はビッグ・ダディって感じではない。

来日して26年。
そんな永明は、1992年、中国で生まれた。そして、2歳の誕生日を迎える直前にアドベンチャーワールドへやってきてくれた。来日後、阪神淡路大震災や東日本大震災や台風など幾多の自然災害、さらにはこのコロナ禍など、今日にいたるまでいろいろと厳しいことがあったこの国で、永明は未来へと命を紡いでくれている。現在、27歳。人間でいうと、ゆうに70歳を超えている。こちらよりも全然パイセンなこのザ・パンダは、断然にコロコロしていてかわいいパンダの見え方に新しい価値観をつくりだしたと思う。それは、手足が長くてスマートで、かっこいいとかやさしいとかってものだ。「永明はかわいいけどかっこいい」とか「永明は気遣いができるパンダなので梅梅や良浜との相性がすごく良い」とかっていう、歴代の飼育スタッフのコメントなんかでも伝わってくる。

トレードマークは足を肘置きにするスタイル。
ハローパンダで撮影をした中田くん。彼は、永明と初対面したとき、「かっこよすぎる」と呟いていた。すかさず、心の声がもれてしまってるよ、と教えてあげた。(そうでしょう。ダンディでもあるよね🖤)という、こちらの心の中の反応はバレてなかった。付け加えておくと、これまで多くのメディアに何度も取り上げられて、かなり知られていることだけれど、永明は竹を非常に選り好みするグルメなパンダだ。そして、選び抜いた竹は足に肘をおいて静かに堪能する。その後ろ姿は、ロダン作『考える人』のような物憂げで惹きつけるものがある。中田くんは、ちょっとフリータイムができると、少し離れたブリーディング・センターの永明を撮りに行ってしまう。その間に、当時、2歳の双子の桜浜と桃浜が昼寝から起きて、わちゃわちゃとコントのようなセッションをはじめる。その度に、パンダラブの方へ呼び戻したのを思い出す。ちなみにザ・パンダの永明の写真は、必然的にトレードマークの足を肘置きにしているものが多い。確かに、拙著『HELLO PANDA』でも、そのカットを掲載している。かっこいいという方に寄せた写真をセレクトしがちになる。だから、これまで本には掲載してこなかったけれど、ゴロゴロしている写真を見返してみた。偉大なる永明もれっきとしたパンダだ。とてもかわいい。6
(写真は気持ちよさそうに日光浴?している永明/2016)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?