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小澤メモ|HELLO PANDA|パンダのこと。

8 成都のネタ的思い出 1。

偶然の旅行者がすれ違うターミナル。
自分の搭乗口を目指しチェックインする、ほとんどすべての人たちがなにかしらの旅行鞄を持っていて、なにかしらの靴を履いている。まあ、タンクトップのマクレーン刑事が活躍する映画『ダイ・ハード』シリーズみたいなタフガイだったら(パート2は空港が舞台)、裸足で駆けていくのかもしれないけれど。そして、成都空港行きだと思われる人たちを見ると、鞄にかわいいフォルムのキーホルダーがぶらさがっていないか。靴やアウターにパンダのワンポイントがないか。パンダにつながるモノや雰囲気が何かないかと、探してしまう。ターミナルにやって来る人は、旅をする目的がそれぞれあって、高揚していることが多い。ましてや、もうすぐパンダに会えるというパンダファンにとっては、機内誌にちょこっと載ってたパンダのキリヌキ写真ですらアメージング・エクスタシー。グッと、その旅が濃くなっていく。

成都のタクシーとか。
成田から成都までは直行便で6時間弱。そのはずだったけど、機材トラブルで出発が遅れたのと、その影響で上海に一度着陸したので、15時間以上かかった。到着したのは夜中だった。空港周辺にわんさかといるもぐりの呼び込みをやり過ごし、タクシーに乗り込んだ。トランクが閉まらなくてもおかまいなし。速度オーバーも気にしない。それもそのはず。中国では、時間ではなく距離で料金が決まるため、ガンガン走って、どんどん客を回転させたいらしい。「シートベルトの着用を」なんて親切なアナウンスはもちろんない。もちろんないが、すすんでしっかりとしめたくなる。これは、たまたまそうだっただけだと思うけど、最初のタクシーから、その後の10日間の成都撮影で乗ったタクシーのドライバーと英語でのやりとりはできなかった。もちろん日本語も。それでも、行き先とかだけでなんとかなるものだし、とくに問題はなかった(海外旅行での基本的ケアは必須)。

パンダ大通り事情。
それにここはパンダの母国、中国だ。本来ならば、こちらが中国語で敬意を示していかなきゃいけないところ。その姿勢だけでも示そうと、毎回助手席に乗り込んでは、前の車をガンガン煽るドライバーに「絶好調ですなー。急げ急げ、もっとだもっとだ、ありがとう!」と、大声でエールを送った。日本語で。どのドライバーも、一発目は(なんだ?こいつ)って顔をしたあと、笑っていた。こちらの気分は、映画『グランブルー』の序盤、ヒロインを乗せたNYCのキャブのドライバーが、のろのろしてる車たちを見て「ハリー、ハリー」と言ってた感じだ。パンダ基地の撮影は、毎朝6時にはスタートしていたのだけれど、早朝のタクシーはもちろんマッハだった。基地前の熊猫大道(通称・パンダ大通り)にはそんなタクシーやバス、乗用車だけでなく、タイのトゥクトゥクみたいなのとか、壊れかけのカブみたいなバイクとかが、速度が足りてないけども何か?って感じで我がもの顔で走っていた……。ちなみに街のいたるところ(とくに公共交通機関系)には、出発ターミナルでの高揚感をさらに煽り、旅の目的を決定づけるパンダのグラフィックやアイコンが溢れていた。8
(写真はパンダ基地へ向かう成都の道すがら/2018)


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