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小澤メモ|HELLO PANDA|パンダのこと。

2 海浜というパンダ。

アドベンチャーワールドへ向かう。
2014年の夏だったか。新宿発の夜行バスに乗ってアドベンチャーワールドへ向かった。ちなみに撮影で向かうときは、フォトグラファーの中田くんと車で行く。東京から和歌山の白浜まで、だいたい7時間強。撮影のときは、どんなシチュエーションにも対応できるようにと、いろいろ機材を余念なく積み込むスタイル。公共機関での移動では、猫の手も借りないと一度に運べない。それに、深夜に出発すれば、朝にアドベンチャーワールド入りして、フルで撮影した後、1泊すれば、さらにフルでもう1日撮影できる。この強行軍スタイルは、体力的にクリアできれば最も時間を有効に使えるのだった。おたがい、連載や他にも仕事を抱えているから、好都合だった。仕事の都合で、まとめ宿泊ができなかったから、月に数度、1泊ずつ白浜に行くこともあった。

撮影で行くとき。
実は、撮影的にはまとめて滞在して撮影して写真をストックするよりも、適度な間隔をあけて何度も足を運んで撮影する方が良かった。そうすれば、平均的な日常だと思われているパンダのいろいろなトピックスを撮ることができるからだった。先月より大きくなったというのはもちろん、昨日からついにあかちゃんが自力で歩き出した!とか、新しい遊具で遊ぶようになったとか、いきなりアクロバティックな木登りで遊びだしたとか、時には今日からラブツアーのトレーニングをはじめますとか、写真に収めたいトピックに出会うことができる。それをしっかりと写真に収めて、ページにして、多くの人に見てもらう、知ってもらう、共有してもらう。それはとても嬉しいし、よりパンダの魅力を自分で体感しに行くモチベーションとかきっかけになると思った。

あれ、海浜の話に辿り着けない。
この数々の撮影のおかげで、東京と白浜はとてもとても近いと中田くんとよく言い合えるようになったのだった。それで、2014年の夏、新宿発の夜行バスに乗ってアドベンチャーワールドへ向かった話。撮影じゃないときは、飛行機(当時は1日2便、羽田と白浜をJALが就航)で行くこともあれば、新幹線とJR特急くろしお号を乗り継いで行ったこともあった。ちなみに、ここ数年、話題のアドベンチャーワールドとJRがタイアップしたパンダくろしお号はまだ乗れていないけれど。それで、グレイハウンドでのアメリカ旅行の気分で夜行バスでアドベンチャーワールドを目指した。これが自分たちの車で行くのとは勝手が違い、なかなか目的に辿り着かない。安全運行はもちろん、停車スポットも幾つかあるし、トイレ休憩だって必要だ。それらには一切文句も疑問もなかった。ただ、なんていうのか、一刻早くパンダに会いたくて、自分の足がバスのタイヤになったつもりで、走っても走っても空回りしてしまい、一向に近づかない感じというか。焦がれが過ぎたのだった……。2
(写真はパンダラブ屋内運動場での海浜/2016)

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