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小澤メモ|NOSTALGIBLUE|思い出は青色くくり。

30 好きな映画は。

好きな映画。
パッと思い浮かべるままに好きな映画たち。『小説家を見つけたら』、『ニューシネマ・パラダイス』、『グラン・ブルー』、『ベティ・ブルー』、『パリ、ジュテーム』、『シコふんじゃった。』、『Shall we ダンス?』、『父、帰る』、『シャイン』、『リトル・ダンサー』、『マグノリア』、『ザ・コンサルタント』、『活きる』、『ライフ・イズ・ビューティフル』、『スナッチ』、『紅の豚』、『千と千尋の神隠し』、『菊次郎の夏』、『セブン』、『アメリ』、『インターステラー』、『クーリンチェ少年殺人事件』、『ナイト・オン・ザ・プラネット』、『あの頃、ペニーレインと』、『ボーダーライン』、『グッド・フェローズ』、『シー・オブ・ラブ』、『バグダッド・カフェ』、『スモーク』、『シン・レッド・ライン』、『オクトーバー・スカイ』、『蒲田行進曲』とかかな。思い出すのは、だいぶ前、『パリ、ジュテーム』のカルチェラタンの話とモンパルナスの話をしたとき、素敵だと思っていた人がそれを見たらしく、その後のメールのやりとりで、こちらの皮肉な文面に「ビッ◯」と切り返してきたこと。それを見て、ジーナ・ローランズとベン・ギャザラという、芸達者な2人のカルチェラタンでのとあるシーンのセリフ。そのシーンに相手がググッときたのがわかって、(そうなんだよなー)と思ったものだった。

映画の話。
誰かと知り合ったとき。もう少し相手のことを知りたいと思ったら、その人が好きな本や、どのような本を好んで読むのかを訊ねるようにしている(失礼のない範囲で)。あんまり本を読まないんだという人には、好きな映画だったら何が思い浮かびますか?と言う。好きな食べ物とかスポーツ、季節や色なんかは後回しでいいと思っている。まんべんなく、いろいろなジャンルの映画を見ている人でも、話題になったものや気になったものしか見てない人でも、その中から好きな映画のタイトルを1つか2つは頭に浮かべることはできるんじゃないだろうか。それを教えてもらい、しかもなぜ好きかを話してもらえるだけで、根拠はないけれど、さっきより少しだけ相手のことを知ることができたと思う。さっきよりも、(どんな人なんだろうか)という、空想力学を働かせることができるようになる。

アナライズというといやらしいけども。
空想(イメージ)して、(そうか、そうか)と、心の波打ち際みたいなところで、惹かれたり、引いたりしたり、何かしらが反応しはじめていく。例えば、好きな異性に一目惚れして、相手が好きな映画をリストにして全部見てみて、全部を好きになろうとしたり好きになってしまうような、そんなパッションに溢れたことができる人。そういう人が、ちょっと羨ましかったりする。こちらは、そういうタイプではないので、どうしても、好きな映画のことを考えたりしてしまう。散々と、公私ともに、いろいろな出会いを経た上で、今はそういうのんびりとしたスタンスで、数少ない出会いや出会い頭を過ごしている。それは楽しんでいると言ってもいいかもしれない。歳を重ねてきて、好きか嫌いかよりも、メリットかデメリットかよりも(これ嫌い。この時代の人間関係はほんとに残念ね)、合うか合わないかとか腑に落ちるか落ちないかが、相手との関係性のほとんどになってきたと思う。これがさらにゆくと、ゆるせるかゆるせないかの関係性、そして、感謝し感謝される関係性へとなるのだろうか……。

映画ってほんとにいいもんですねー。
とにかく、映画は、知らないけれど少し知りたい相手を、より自分の中で空想するのにちょうど良いものだと思う。写真が動くようになって、サイレンス映画から活動弁士がいた時代、そしてトーキー、特撮にCGと、時代がどんなに変わっても映画はなくならない。映画は、その時代を映し出しているものが多いし、それを見た頃の自分を思い出させてもくれるし、本質的なことや普遍的なことを作品の中に残してもくれている。今は亡き淀川長治さんや水野晴郎さん、高島忠男さんといった名物映画解説者の名セリフがすぐに頭に浮かぶように、いつでも好きな映画が心のすぐそこにある感じの人、良いなあと思ってしまう。今はほとんどの人が思い出さないだろう、そのコンセプトと見せ方で一瞬の打ち上げ花火のように話題になった1990年代の映画『ラン・ローラ・ラン』を見てきて、すごい好きだと言って、その後DVDも買っていた、かつてのルームメイトを思い出す。

さよなら、さよなら、さよならー。
流行りもの、しかも長続きしなそうな流行りものにかぎってハマる男だったけれど、自分にはない面白い部分で好きだったなあ。そういえば、彼は、アナ雪の主題歌でドドーンとなったり、それより全然前のドラマ『ラブ・ジェネレーション』で木村拓哉さん相手にヒロインを演じてドドーンとなった松たか子さんのデビュー・シングルで名曲の『明日、春が来たら』を、いち早く買って来た。しかも、原曲の方じゃなくて、ハウス・リミックスの12インチのレコード盤。自室のターンテーブルですぐさま流していたのを思い出す。それは、映画『ラン・ローラ・ラン』を好きと胸を張っていうところと共通している気がした。ちなみに、その『明日、春が来たら』のリミックス12インチの方は、今では簡単には手に入らない。それなのに、桜前線がやってくるたびに、こちらの頭の片隅に残っているその音が流れてきて止まらない。「あなたのハートには何が残りましたか」(古き良き名物映画解説者たちの中で、ただひとり現在もご活躍中の木村奈保子さんの名セリフ)。30

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