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花の都パリで暮らすってどうなの?

私がパリで生活していてとても良いと思う点は、ざっと見ても5つほどある。
よく言われるパリの美しい街並み、歴史や建築、美術館やアートなどの文化面は今回脇に置いておいて、もっぱら生活者として見てみる。
もちろん、今から話すことは私という一個人の感想なので他の意見も多いと思う。
また今回は物価の高さもとりあえずわきに置いて見ていく。

一つめは、医療だ。
生活習慣病予防系の医薬品なら医療保険でほぼ全額カバーされるのでお金を支払うことがないし、
医者に診てもらうのも比較的すぐ予約が取れ、診察当日の予約時間から30分以上待たされることはない。日本の大学病院などでの診察で1日つぶれるなどということはあり得ない。
またパリ市内の大きな総合病院での最先端医療機器による精密検査も、こちらが申し訳なく思うくらいほぼ無料だったのには驚いたし、小さな手術でも最初は実費を支払うがあとで医療保険でその多くが戻ってきたこともある。
眼科も歯科治療もかなり医療保険でカバーされるので毎回支払う金額はほんとうにびっくりするほど少額である。パリ市内にはありとあらゆる専門医がいて、予約はスマホのボタンクリックひとつで完結。
友人の話ではガンにり患してその化学療法代と病院への行き帰りの送迎代がほぼ無料だったということも聞いた。

二つめは、何といっても食の充実だ。
とにかくレストランの数が半端ない。上を見たらきりがないが、いつでも手頃な値段のレストランを選び好きな料理を食べることができる。フランスは地方の多様性が充実していて地方の郷土料理は格別だ。また、わざわざ日本に帰ってラーメンを食べたいなどと思うことなく、パリの中心街でたくさんの日本ラーメン店がしのぎを削っているし、中華系の移民も多いので中華・アジア系レストランも非常に充実し、その他各国のグルメも比較的手ごろな値段で堪能できるのがありがたい。
でも、はやく吉野家や大戸屋なども進出してほしいな(笑)。

3つめが学費の安さである。
政府の手厚いサポートで基本大学まで教育費は無料。公立であれば大学までもほぼ無料に近い。
もちろん民間の学校はそれなりにかなり高い月謝を払わなければならないが。
私が子供の幼稚園から中学、高校、さらに大学卒業までにかけた金額は、
いったいいくらくらいかかったか?と思う。
たぶんほとんどが給食代とかで年間500ユーロ(約7万2000円くらい)もかかっていなかったのではないかと思うくらい学費は極端に安かったのだ。フランスでは働きやすく子育てしやすい環境が整っている。

4つめは、長期休暇の取りやすさである。
年間5週間の休みが取れ、会社でも堂々と2~3週間の長期休暇が取れ、同僚への迷惑を考えることもなく堂々と土産話ができる点がうれしい。また週35時間制で年5週間の有給休暇制、基本サービス残業なし、終業5分前から帰宅準備、仕事の後の飲み会もなし、帰宅してプライベート生活が充実する。

5つめは、フランス語による明確なコミュニケーションである。
フランス語は難しい言語ではあるが、ひととおり1年くらいかけて文法を覚え2,3年も経つとかなり慣れてくる。フランス人彼氏や彼女とフランス語で愛をささやくなども夢ではなくなる。
だがこういう恋愛の次元ともなると感情がメインになってくるのでコミュニケーションもそれなりに複雑になってくる。フランスの伝統的な純文学恋愛小説などを読んでいるとその深さと機微に驚かされることがあると思う。
でも、もともとフランス語は言語が明確なのでわかりやすいと言える。
また日本語みたいに本音と建て前など言語の裏や、文化的に見ても我慢忍耐、世間体、同調圧力などがなく腹の底の探り合いなどの労力や気苦労などもない発想で、比較的シンプルにフラットなコミュニケーションができる。それから自他の関係性(肩書、地位、年齢、立場など)より、まずは個人尊重なので、とにかくヒューマンで生きるのが気楽だという点を指摘できると思う。

このように花の都パリは物価が高いなど生活しにくい都市という印象があるが、暮らしてみると意外とやりくりでき充実した生活が送れるのである。

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