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診察記録:9-5-2017

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この日は、都内病院での診察日でした。

新宿で乗り換え、自宅から1時間ちょっと。朝の都内の交通事情はいつどうなるか分かりませんから、最短で行けたとして1時間と少し、です。

2000年にこちらに越してきて以来、自分は都内への通勤ラッシュに耐えることが出来ないであろうと、ずっと自分が住んでいる地域での仕事を選んで生きてきたというのに…

何故に私は、癌という病に冒されて初めて、この通勤ラッシュを味わっているのだろうと、我が人生に矛盾を感じつつも、今は毎週、通わねばならぬ身の上。

そう。毎週なんです。抗がん剤治療をしながら(苦笑というか苦行?)

しかし臨床試験を受ける身の上のため、仕方がないのです。

治験や臨床試験でも、3相あたりになると、通常の抗がん剤治療のように外来化学療法といって通院が多く、検査も毎週ではない事が多いのではないかと思うのですが…私の受けている試験は、まだ人で利用し始めたばかりの治療なのです。それゆえに、毎週、体調をチェックされるのです。体調の指針となるのは採血。毎週、試験管5本分ほど採られます。

3週間に1回だけ化学療法の点滴で1クールとするので、初期治療に近いリズム感の治療ではあります。その間、毎週の採血と、投与日には採血と心電図。2クールおきに、心臓のエコーと造影CT。そして、数クール毎に眼科の検査も行います。

「薬物動態」というものを測定するために、初回投与から2回目の投与の間は3週間と少し、ずっと入院が義務付けられていますし、3回目の投与も3〜4日は入院となります。薬物動態を測定する回は、投与後数回の採血から2〜3日毎日採血が続きます。とにかく、せっせと血を採られるのです。どうやら新しいお薬や治療法というのは、吸血鬼のごとく患者から血を採るようです。

その3回目の投与の際に、ついでだったのでCVポートというものを身体に埋める手術(局所麻酔で意識のある手術)を受けてきました。それが先週、8月末のこと。今回の診察では、腫瘍内科医である都内主治医に抜糸をしてもらわなくてはなりません。ちなみに臨床試験のために通い始めたため、この病院で外科的な処置は、今回が初めてとなりました。

ポートを埋める手術はIVRといって放射線科の医師の手技となります。何故かというと、中心静脈カテーテルといって、血管造影(CT)を行いながら静脈にまずカテーテルをいれる手技であるからです。

とはいえ、いつもどおり、まず着いたら採血なのです。朝の採血室はたいてい2〜30分待ち。そして終わってから検査の結果が出るまでに1時間程度。とにかく結果が出てくるのを待つしかありません。その間に外来を移動し、体重と血圧などを測定。あとはスマホを見たり、音楽を聴いたり、ぼーっと待合所にあるテレビを眺めたり…(時間帯によってはゴハンを食べたり、知り合いのお見舞いに行ったりもします)

そうして、1時間少し経つと名前を呼ばれます。コンコンとノックをして、こんにちは〜、宜しくお願いします!と言いながら入るようにしています。入ったらまず、体重や血圧などをメモした紙をCRCさんに渡します。

*CRCとは、臨床試験のコーディネーターさんのこと。試験のスケジュール管理などの秘書的役割を担っている方で、この役割を出来る人がいなければ、治験や臨床試験は上手くいかないでしょう。お医者先生がお仕事(事務や雑務)増えすぎてパンクしちゃう、という感じでしょうか。
そのぐらい、治験や臨床試験というのは緻密なスケジュールをしっかりと保ってやらなければならない事なのです。お医者先生は、試験を患者に施し、試験の副作用が強ければそれをアノテコノテでなんとかする、のが臨床試験での大事な役割です。

こちらの診察では、必ず聴診器を使います。内科なんだなぁと思う瞬間がコレです。地元主治医(外科系)は、普段聴診器は使わないし、持っているのをあまり見かけません。ですが都内主治医はいわゆる「首に聴診器スタイル」ですし、こちらの病棟の内科系医師も、ほぼみなさん同様の内科医ルックです。

そして臨床試験に入ったいま、毎回の診察で呼吸をチェックされます。これはおそらく、治療中に起こりやすい間質性肺炎の副作用に早く気付くためではないかな?と思っています。また、私は春先に行ったリンパ節への放射線治療の影響でも肺炎が起こりやすい状態でもあります。

その聴診器をあてている時に「あ、抜糸しなきゃね!」…やっぱり、診るまで忘れてましたね、先生(苦笑)「そうです〜、先生、今日は抜糸してもらえなきゃ帰りませんよー(笑)」そんな受け答えをしていたら、奥から抜糸セットを看護師さんが持ってきてくれました。

普段は見ない内科の先生の外科っぽい処置で、CRCさんも「おお、なんか凄い(笑)」と、今日のハイライトとなりました。やってもらっている間に、「ポート使っても穿刺の時すこしチクっとするんですよね?」「でも、早く使ってみたいです…」と言ったら、なぜかウケて笑われました。なんでだろう?せっかく入れたんだし早く使ってみたいと思うのは普通じゃないんだろうか。

処置が終わって、次は採血結果の評価です。が、こちらも今回は、私は大興奮してしまいました。だいたい最初にWBC…ワールドベースボールではなく、白血球の総数を見るのですが、これがなんと!健康だった時の数値すら下回る2000という数が!

今まで診た事がない低値に、ようやく私も人並みになったかと…感激していたら、都内主治医いわく「これまでのECとか標準治療の抗がん剤でも、休薬期間の中頃に検査をしていたら、きっとそのぐらいは下がっていたと思いますよ〜」と…まぁ、そうかもしれませんが。それでも、この試験をやり始めてからは、ずっと毎週検査をしていて、その中でもこんなに低かった事はなかったのです。

治療を重ねるたびに、毎回、高くなっていく白血球の数値をみて怯えるのが常だった私。初期治療の際に、再増悪で腫瘍のサイズが元に戻って17cmを超えた際には1万オーバーも経験しています。

抗がん剤治療をやっている患者さんで、白血球が「減る」のは当たり前なんです。「増える」という患者は滅多にいないのです。確かに「減ってしまう」ことは、治療を困難にします。ですから喜んではいけないことでもあるのですが…2000はまだ、許容範囲。投与日にもう少し回復していれば問題はありません。しばし、人並みになれたことを少しだけ喜びたい、そんな気持ちになったのでした。

そして、投与2周目の具体的な不調を報告。やはり、2週目は体力が落ちて息も上がりやすく、風邪などもらいやすいような身体の感覚があること。少し軟便。味覚障害。1週目は何もしなければ嘔吐が激しいのですが、今回の3クール目はステロイド投与と5日間のデカドロン(これもステロイドの錠剤です)で上手くコントロールされ、食欲もあったので、今の難所はこの「2週目の不調」なのです。

ささいな副作用(吐き気や下痢、便秘)に関しては、頓服のお薬などで対処が可能なのですが、味覚障害だけは薬ではどうにもなりません。食べられるものを食べてくださいね…となるのです。なので、今週はしゃぶしゃぶ週間となっています、とご報告。ただで転んではいられませんし、味覚障害があったとしても、お腹は減ります。

最後に、次回の確認です。本来なら採血用のスピッツ(試験管)を渡してもらうのですが、CRCさんが今日は用意を忘れていて、次回採血前にCRCさんを呼び出して試験管をもらうという指令が下り。大きな病院では、やっぱり、ちょくちょくこういう事は起きます。

だからこそ、患者力を培わなければなりません。自分の症状と要望を的確に医師に伝える事、スケジュール管理能力、などなど。とくにバカに出来ないのがスケジュール管理。

人って時々、エッと思うド忘れとかするんです。アレ?と思った時に、先生、今回はこれしないんですか?とサッと言えるとか。自分がやりたい事を押し通す、そういう人の方がいざという時に強い。わたしも、しおらしく…などとは思わずに、ズケズケと言える度胸を少しずつ付けている次第です。

さて、次回は都内主治医が不在のため、代理医師の診察らしい。

どの先生に当たるのかな?こちらの病院では、主治医以外の先生にも、お世話になる事が多いので。ちょっとだけ楽しみです。



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