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人の物差しを考える視野の広さと柔軟性

私は自分の意見がはっきりしていてあまり迷うことがない。
好きなもの/そうでないもの、こうしたい/これはしたくない、そういったさまざまな感情が自分の中ではっきり決まっている。

思えば子供の頃からこうした性格の根っこは変わっていなくて、時と共に、そして年齢を重ねるごとに少しずつその周りの付随している何か…考え方や思考などが変化しているだけなのだろうと思う。

6、7年ほど前だろうか。
当時会社員だった私はチームでこなす仕事に遅れが出ないよう、マイペースよりも早いスピードで作業をこなすことを求められていた。ファッションデザイナーの仕事柄、クリエイティブを生み出し、考え、まとめ、進行し、打ち出していく。あれこれ決めながら周りと意見を交わす。慌ただしい日々の中で、私のはっきりした意見や考え方は仕事をこなすための役に立っていたと思っている。自分の中に迷いがあったらクリエイティブを形にできないし、すぐに決定して進めなければならないスムーズさを求められていたから。

いつでも意思決定は素早く的確に。

そんなある日、私が「きっと正しい」と決めたことが間違っていたと判明する出来事があった。仕事に直接支障が出る内容ではなかったから一安心しつつも、間違っていた事実にショックを受けた。

なんとも言えない気持ちを抱きつつ上司へ報告すると、上司は私に向かって優しい口調で「"こう"って決めつけちゃうところあるよね」と顔に笑みを浮かべながら言った。

確かにそうだ。
初めての指摘に妙に納得したのを覚えている。

「きっと正しい」と決めつけていた。それに関して私の考えが間違っているなんて微塵も思わなかった。

マイペースを崩してひたすら早さを追求し、"完璧"を造り上げる。スピード感とクリエイティブの完成度ばかりを重視していたけれど、その過程はどうだっただろう。選択肢は常にひとつだったのだろうか。自分の意見しか頭になかったのではないか。

そんな自問をし、上司との会話から自分の視野の狭さを痛感した。

私の中ではいつも意見がはっきり決まりすぎていて、気持ちが強くありすぎて、いつの間にか結論を決めつけてしまう傾向にあった。意思決定の強さや早さが仕事で役に立つこともあれば、「決めつけ」が悪い方向へ影響していたこともあったかもしれない。思えばその上司はいつもとても柔軟だった。「今目の前に起きていること」を見ている、そんな感じがした。スピード感はその時々でコントロールしながら適切な判断を見極めていたように思う。

人には自分の物差しがあって、みんながそれぞれ違う物差しを持っている。
そう認識した上で「人の物差し」を考えられるかどうか、そしてさらに「まだここにはない別の物差し」をイメージできるかが大事なのではないかと思うようになった。

こうだと決めつけてしまうとそれしか目に入らなくなる。思考のゆとりもなくなる。スピード感もクリエイティブも大事だけれど、私には視野の広さや柔軟性も必要だったのだ。

自分の気持ちが明確なことや意見がはっきりあることが悪いわけではない。譲れないポイントや必ず通したい意見などは押さえながら、それ以外は「人の物差し」をいつでも受け入れられるスタンスでありたい。
自分と異なるさまざまな意見を聞いて、受け入れて、客観視して、答えを一つに絞り切らない。年齢を重ねるにつれて凝り固まるのではなく、たくさんを見て吸収して柔軟になっていける自分でありたいと思う。


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パーソナルスタイリストChiharu
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