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ありそうでない

「ありそうでない」が良い。

名古屋時代、作家さんに教えてもらったことの1つです。
コントの設定やボケ1つ取っても、「ありそうでない」が一番気持ちいいんですね。
どこか既視感のある、しかし誰もやってないものを大衆は求めていて、「うわ、これ好きだなー。でもどこかで見たことあるような……いややっぱりないな。新しいな」と思わせるようなものこそヒットしやすいんです。
人は受け入れる準備が出来ているものを歓迎するように出来てるんでしょうね。
逆に言うと、あまりに飛んだ発想はウケません。それは簡単な話で需要がないから。

昔、漫画「BECK」の作者、ハロルド作石先生がおっしゃってた、、ような気がします。たぶんハロルド先生。
「オアシスのリアム・ギャラガーの歌い方は、ともすればイギリス演歌のようになるところをカッコよく仕上げている」と。
ごめんなさい、言い回しは僕が勝手に作ってます。こんな要旨の話だったと記憶してます。
聴き方によっては古くささの出る唄い方を、新しいバンドサウンドに違和感なくはめ込むリアムはすごいってことですね。演歌が悪いって話じゃありませんよ。

これらの話を統合すると、どんな物作りにおいても、
「ギリギリを攻めたやつが一番強ぇ」
ってことじゃないでしょうか。
受け手は新しいものを欲しているんだけど、新しすぎると拒否反応を示す。かと言って既存のものに寄りすぎると新鮮さに欠けて食いついてもらえない。
この塩梅です。
あと半歩進むとただのエゴ、あと半歩戻ればみんなが手を出してるもの、このギリギリに立ってる人だけがヒットメーカーになれるんじゃないかなと、そう思うんですね。

その難しい領域を狙うには、過去のデータが必要不可欠になります。
すでに存在するものを避ける意味でも、使えそうな文脈を踏襲する意味でも、その分野の歴史を知らないことには良質な物は生み出せません。
となると、ゼロベースから生まれるアイデアなんて存在しないし、「これはゼロから作り上げました」と豪語してるなら大した物が出来上がってない証拠と言えます。

「ありそうでない」を見つけることを念頭に置きながら、エンタメの端っこで日夜勉強の日々でございます。
ただ、なかなか見つからねーんだよなこれが。

本当にありがとうございます!! 先にお礼を言っときます!