きっとそれは当たるだろう
書こうとしていたエッセイが、終わりがけまで進んでいたのに書けなくなってしまった。
思っていた事がひっくり返されてしまったからだと思われる。
始めは、トランプ元大統領の暗殺未遂について書こうと思っていた。
SNSで話題になった写真の事も(ピューリッツァー賞の事は何となく書きたくない)、シークレットサービスの機敏な動きの事も、トランプ元大統領がほんの数センチ首を動かして一命を免れたことも、それらは凄い事(そんな軽い言葉で片づけていいのか?)だけど、ある本がそれら全てを宙に投げ飛ばすくらいの衝撃で、頭の中ではTHE YELLOW MONKEYの「JAM」のフレーズがループしている。
― 僕は何を思えばいいんだろう。
仕事との合間の移動時間に、吉井和哉さんの声が響いている…
そんな話はこれくらいにしておいて、何の本を読んでいるのかというと柴田哲孝さんの「暗殺」。
ご存じの方もいるかもしれないが、数年前、日本の元総理が凶弾に倒れた事件をモチーフにした「フィクション」のサスペンス小説である。
でも、とてもフィクションではなく、そこに書かれている全てが真実なのではないかと思えてくる。
序文とプロローグを読んで本編に入った時には、もう絶対作品として面白いという確信が胸の中に広がり、時間を作っては何かと読んでいる。
ちなみにこのエッセイにも書いたが、基本は伊集院静さんの本しか読まない。
なので自分としては久々のヒット作品である。
あの事件については、動画メディアで、いろんな考察動画を見ていた。
あの時の報道と後日のメディアの報道で違う点があった事、犯人のその後が報道されない事、いろいろ疑問に思うことがあった。
ただ、その不可解だった点がこの本では「フィクション」として克明に描写されている。
文章の中には実名が出てきたりするので、リアリティーを増す部分もあり、どんどん引き込まれていく。
もしこれが「フィクション」ではなく、真実なのではないかと思ってしまう…
また、この本を読んでいると、あの事件は人の立場によって様々な角度が存在するのだろうなと思ってしまう。
憎んでいた人もいれば、愛していた人も、しがらみの中にいる人も、利用していた人もいるだろうと思う。
関わっていた人のそれぞれの想いを考えると複雑としか言えない気分になってくる。
― 僕は何を思えばいいんだろう。
外ではアブラゼミとミンミンゼミが鳴いている。
梅雨明けの宣言より明確に感じさせてくれる。
空も青色が濃くて、雲の白さも際立って見える。
汗だくになりながら、撮影の現場間を移動している。
夏の暑さに少し疲れが出ているのかもしれない。
早めに寝ないといけないんだけど…
起きている間、あの本の事が気になってしまう。
読み終わった時に、何を思うのだろう。
その本を読むことは楽しみだけど、心に言い表せれない何かが残りそう気はしている。
きっとそれは当たるだろう…
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