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先代女将から受け継ぐ料理旅館栴檀の挑戦
いつもお読みいただきありがとうございます。本日も愛媛県松山市石手の料理旅館栴檀より、女将のブログを更新させていただきます。
タイトルにもさせていただきました。料理旅館である栴檀では、料理の追求への挑戦を続けています。
栴檀が大切にしている30年以上続く会。母が亡くなるまで気にかけていた料理の会があります。その会の名前は「耽味会」と言います。
1987年に発足し、瀬戸内海に面した山海の季節の味を「深く味わう」会です。決してグルメ志向の美食会ではなく、作る側と味わう側が、一堂に会して、料理と酒を楽しみながら月に一度食文化の向上を語り合う会です。
味わうメンバーは、地元の人だけではなく、県外から松山に赴任して来た方もいらっしゃいます。松山の味を知ってもらいたいと言う想いもあり地元以外の方も味わうメンバーへ迎えています。
作る側は、旅館やホテル、レストランの料理長やご主人、そしてお酒を提供してくださる銘酒梅錦の社長を名工のメンバーと呼びます。
名工のメンバーは、料理長が多く、男性がほとんどです。先代女将である母は唯一の女性でした。
松山百点へ掲載いただいた母の記事があります。その記事の中でも耽味会について記してありました。
地元の新鮮な食材で人の心に響くような料理を研究して行きたいと思う。
母の料理への姿勢を感じます。
『松山百点』記事の一部
唯一の耽味会のルール
"食事中はトイレ以外は席を離れてはいけない"というのがルールです。発足当時から今もこのルールは守られています。
周りの方と語らい、料理に真剣に向かい合う会。宴会ではなく、それぞれの料理に全員が集中し、五感をフルに使って味わう時間を過ごします。
また、味わうメンバーは一年毎に変わります。こちらも33年間続いていることです。同じメンバーではなく、味わうメンバーが変わりゆくことで好みも感じ方も幅広く、沢山の舌に料理を表現させていただいています。作る側としては毎度毎度が勝負であり、挑戦です。
耽味会への想い
2月になると名工のメンバーが集まり、どの月に耽味会があたるのを決めます。
決まったら何度も献立を書き直していきます。
プロの方達が、来られて評価をいただくのです。こちらも受けて立つと言う思いで料理に向かいます。これぞ栴檀の挑戦です。
どんな趣向でいくかを決め、料理長に何を出したいかを聞き、栴檀の皆で膝を突き合わせて献立を作り上げます。
食材選びや味はもちろんですが、盛り付け、出し方、魅せ方にもこだわります。
栴檀のテーマ"五つのき"それぞれを料理で表現します。
当日は、料理の説明から会が始まります。女将の私の仕事は、最後の言葉の味付け。
少しでも苦労した料理人の想いの代弁が出来るようにメモを片手に心を込めて料理の説明をさせていただきます。
ここで去年の献立を少し紹介させていただきます。
鮑のかりんとう
刺身に使える鮑をカリカリにして
本来の鮑の味を楽しんでいただきました。
曲水盛り
暑い夏に涼を呼ぶ盛り方です。
鮎の最中
季節の食材を五感で感じ、感動する料理に変えれるように励んでいます。
ただ材料の良い物を使うことよりも、手間をかけて料理旅館ならではの料理、季節感ある丁寧な料理と演出を考えます。
料理によっては新しく器を買ったり工作したりもします。料理の世界の醍醐味を味わさせてもらえる場所が耽味会なのです。
プロが集まり料理評価してくれる、そんな土俵に上がらせていただき幸せを感じています。真剣勝負、挑戦した事にプロの目が光る土俵。いつも気が引き締まり、栴檀の皆で挑戦できる環境。耽味会には感謝しております。
先代女将が大切にしていた耽味会。受け継いだ私も、母が亡くなり、一生懸命挑戦する中で自分自身にとっても大切な会となりました。いつまでもこの耽味会が続いて欲しいと思います。
今年はコロナの影響で9月のからの開始ですが発足以来初めて、耽味会はお休みでした。
来年こそは今年の分まで力を発揮出来るようにと思っております。気が早いですが、今から献立を思い描いています。
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朝晩冷え込む日々ですが、ご自愛くださいませ。
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