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ドラマ『海に眠るダイヤモンド』は、二つの時代を行き来する壮大な物語に胸が躍ります!

今クール、No.1に待ち望んでいたドラマ『海に眠るダイヤモンド』がスタートしました。

脚本・野木亜紀子、監督・塚原あゆ子、プロデューサー・新井順子のヒットメーカーたちの手で作られる日曜劇場が面白くないわけがない!

戦後の復興期から高度経済成長期の“何もないけれど夢があり活力に満ちあふれた時代”にあった家族の絆や人間模様、青春と愛の物語を紡いでいく。同時に、現代の“一見して何でもあるけれど若者が夢を持てない時代”を描き、過去から現代に通じる希望を見つけだす、時代を超えたヒューマンラブエンターテインメントである。

ドラマ『海に眠るダイヤモンド』ホームページより

初回からドラマというより映画を観ている感覚で、まずそのスケール感に圧倒されました。

舞台の一つとなる端島…″軍艦島″はその歴史的存在価値から「世界遺産」登録され、今もなお海上に浮かぶ”孤高の軍艦”として異彩を放っていますよね。

日本初の鉄筋コンクリート構造住宅が端島に建てられたというのも、1955年当時は「黒いダイヤ=石炭」がいかに日本の産業の中心だったかが分かるエピソードですね。

”軍艦島ツアー”などもあるしいつかは行ってみたいと思いながら、私自身はまだ訪れたことがありません。実際に降り立ったときには、異世界に迷い込んだような不思議な感覚になりそうな気がします。

これまでもさまざまなドラマにおいてロケ地として使われてきましたが、このドラマでは行き来する二つの時代の片方がどっぷりと端島なので、セットを組んで撮影しているようですね。

海の底よりずっと下の地下600mへ1時間かけて向かい、気温35度、湿度80%超えの地獄で、生きるためにひたすら働き続ける…。

炭鉱員たちが真っ黒になりながら命懸けで石炭を掘り続ける姿はリアルで、高度経済成長期の端島の熱気までが伝わってくるようでした。

主演の神木隆之介はドラマで初の一人二役に挑戦していて、正反対の役柄を見事に演じ分けていると感じました。ナレーションもさすがに上手い!

方や1950年代の端島に生きる、明るく真っ直ぐな性格の鉄平。方や現代の東京で夢も希望もやる気もなく、無気力で刹那的なホストの玲央。

いつもの神木くんのイメージは鉄平に近いですが、怜央役の神木くんもまた新鮮な感じがします。

鉄平は長崎大学を卒業して端島へ帰島しました。炭鉱員の父・一平が鉄平を大学まで行かせたのは、学歴をつけて「末は博士か大臣か」の自分とは違う生き方を期待してのことだったと思います。

ところが鉄平は島の炭鉱業を取り仕切る鷹羽鉱業の職員になり、就職が決まったと宣言して一平を激怒させてしまいます。

同じく大学を卒業した幼馴染の清水尋也演じる賢将と、土屋太鳳演じる百合子も帰島しました。二人は付き合っているようです。

端島出身であることをバカにされて悔しい想いをしたこともある鉄平たちですが、だからこそ故郷である端島をもっと盛り上げたいという気持ちが強かったんでしょう。「たかが端島、されど端島」

ドラマのラストの方で鉄平が一平に言った言葉こそ、鉄平の心の叫びだったと思います。

「俺は、端島で働く。ここから端島をもっと良くしたい。日本中に知れ渡るぐらいに。俺の大切な故郷なんだって胸張って言いたい。俺はそのために帰ってきた」

鉄平たちの帰島と同じ頃端島に降り立った謎の美女・池田エライザ演じるリナが、物語の大きなカギを握ることになりそうです。鉄平はすでにリナのことが気になっている様子ですね。

ドラマの冒頭、赤ん坊を抱いて小さな舟で端島を離れるリナと思われる女性の姿がありました。

いったい誰の子どもなのか?

島の食堂の看板娘・杉咲花演じる朝子は鉄平が好きな様子だし、登場人物たちの複雑な”恋模様”もドラマの重要な要素になっていきそうです。

現代の2018年の東京では、怜央に「私と、結婚しない?」と声をかけてきた謎の老女・宮本信子演じるいづみの存在が気になります。いづみの”忘れられない人”は鉄平…?怜央とそっくりらしく。

いづみから怜央へのプロポーズの意味は?

”ヅカ・ガール”(本当は進駐軍のクラブで歌っていた)と呼ばれるリナは、沢村一樹演じる賢将の父で鷹羽鉱業の幹部職員・辰雄が接待していた社長に水を浴びせかけて、職員クラブの従業員をクビになりそうに。

「いっつもそう。やっと見つけたって思っても、うまくいかなくて…。一人で根っこがちぎれた海草みたいに漂って、流されて…転々と。そういう人生」

そう言って端島を出ていこうとするリナに鉄平は、

「悔しくないか?俺は悔しい。悔しかった。この端島でリナさんがあんな風に踏みつけられて、俺は悔しかった。リナさん、人生変えたくないか?ここから、変えたくないか?」

こう鉄平から言われたリナは鉄平に頼まれていた『端島音頭』を端島からの見送りのために歌い、端島の人々に認めてもらえたようで、どうやら職員クラブで働き続けられそう。

「端島へ、ようこそ!」鉄平の言葉に、私たち視聴者も一緒に迎え入れられたような、そんな気がしました。

「怜央、人生変えたくないか?ここから、変えたくないか?」現代パートでは売掛金の回収のために飲み潰れた怜央に向かって、いづみがこう言いました。鉄平からリナへの言葉と重なります。

いづみはリナ!?

二つの時代と舞台を行き来するので、正直もっとバタバタするのかと思っていました。でもテンポもいいし、場面の切り替わりも無理なく進行するので自然に観ることができました。

”時代を超えたヒューマンラブエンターテインメント”の幕開けにふさわしい、非常に観ごたえのある第1話でした。

この秋はドラマが豊作です!ドラマ『海に眠るダイヤモンド』、壮大な物語に胸が躍ります!

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