2つのピアノコンサート
2020年の5月頃だったか、「緊急事態宣言」という未曾有の事態となり、ゴールデンウィークをステイホームで過ごし、ネット空間をウロウロしている間にYouTubeで出会ったのが「かてぃん・Cateen」こと角野隼人さんだった。
最近の若いアーティストさんたちは、自分でちゃっちゃとYouTubeに動画をアップできるので、活動の幅が広い。しかもトイピアノを合わせて弾いたり……。
ピアニカと合わせたり……。
普通に素晴らしい演奏するだけでなくて、いったい何者?と思ったら、東京大学工学研究科の大学院生だと知り、いろいろと合点がいった(つい最近の日経新聞に青柳いづみこさんが寄稿した「天から二物」というエッセイをご覧あれ)。
さらに、昨年はショパンコンクールに出てセミファイナリストまで残って、この方はどこを目指しているのだろう……と思っていたところに、お友だちから「角野さんのコンサートが開かれますよ」と教えて頂き、速攻で(コロナがどうなるかは見通せなかったが)仙台公演と東京公演の2つを押さえた。(サムネイル画像は公演についてのHPより拝借)
仙台公演は東京エレクトロンホール宮城(いわゆる県民会館)で、前から2列目の、ほぼ真ん中の席をゲットできたので、演奏しているときの表情などが良く見えた。曲目は以下のとおり。
前日は山形公演で、Twitterを見ていると、そちらと掛け持ちしているらしき方もあれば、仙台以外から追いかけて来ている方もあり。アンコールは、パデレフスキのノクターン 変ロ長調 作品16-4、子犬のワルツ(撮影可)と、最後は英雄ポロネーズを聴いて、幸せな気持ちで帰路についた。
ちなみに、新型コロナの感染症対策としては、マスク着用に加え、入り口での体温チェック、退場はグループ別に、入り口に近い奥の方から順にというルール。
こうしてコンサートの中でショパンとガーシュウィンを並べて聴いてみると、この2人は、なかなかに似ている作曲家だと改めて思ったが、さらにそこに角野さんは自分を重ねているのだと気付かされた。とくに、このコンサートのために作曲した「ティーン・ファンタジア」という曲には、随所にショパンとガーシュウィンへのオマージュが感じられた。
かたや東京のコンサートは、ツアーの締めくくりでもあり、会場は、かの東京国際フォーラムの5000人規模の大きなホール。幸い、東京の感染者数がピークを過ぎ、ワクチンブースターも済ませていたので、N95マスク着用の上、母も連れて行った。
さすがに大人数の箱が埋まるとあって、東京公演は演出のライティング、CG等工夫されていたり、大きな左右のモニタに手元が大写しになったり、YouTube配信されていたり、角野さんの自宅のアップライトピアノが持ち込まれたり、最後のガーシュウィンの協奏曲は藤岡幸夫率いる東京フィルハーモニー交響楽団との共演!だったり、しかも、ピアニカまで合わせて!というゴージャスさ!!! ガーシュウィンとピアニカは絶妙に合いますね……。
強いて言えば、東フィルがフルオーケストラでボリュームがあり、ときどきピアノの音が聞き取りにくかったので、もう少し編成少なめでも良かったのかもしれないけど……。
パンフレット2つ。左側が仙台公演。右側のファイナル東京公演は黒字にエンボス加工的に文字が浮き上がるようにしてあるのだけど、この撮影では見えませんね……。ともあれ、母にも喜んでもらえて良かった。戦争前に母が住んでいた兜町の家には、グランドピアノが置いてあったという話は、初めて聞いた。
さて、角野さんはまだ20代半ばで、これからどんなアーティストになっていくのか楽しみ。
仙台公演の際の曲の合間のトークで知ったのだが、2019年にも仙台でのコンサートに来られたようなので(下記の「O'sピアノ教室ブログ」の1/21付記事参照)、ぜひまた来仙してほしい。東北大学の萩ホールだったら嬉しいけど、2019年の100人ホールの頃とは違って、すっかりスターになっているのだから、ちょうど仙台国際センターに隣接して建築される予定のコンサートホールのこけら落としにでも……。