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個性ってなんだろう - 全国ツアー2022開催に寄せて

個性、自由、自分らしさ、よく使われる言葉ですが、僕はそのような言葉を安易に使うのがどうも嫌でした。本当の自分らしさや個性というものは、生半可な努力で得られるものではないはずだから...

僕は10月にショパン国際ピアノコンクール本大会に出場します。

再現芸術を競うコンクールなので、もちろん個性は大事だけど、我々は作曲家という偉大な存在の下で演奏しているだけに過ぎません。オンリーワンを追求してきた自分がクラシックの権威あるコンクールに出ている意味は何だろうと、日々考えていました。

8月にチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を演奏させてもらう機会があったのですが、曲が初めてだったというのもあり、とにもかくにも曲を弾ききることに必死でした。でも終わってみると結果的に色んな人に角野ワールド全開で面白かったと言ってもらえた。別に全開にしたつもりはないけどなあと思いながら、この時ふと、個性っていうのは「出す」ものじゃなくて「出る」ものなんじゃないかと思ったのです。そして自分はそれが「本気で楽しんでいる時」に出やすいということも。

ここ1-2年、自分は「自分にしか無い部分」を作り出そうと常に意識してきました。もちろん無理してるつもりはなく楽しくやってたけど、今はそんなに難しく考える必要もないんじゃないかと、少し肩の荷が降りた気がしました。

ショパンコンクールも、まあとやかく考える精神的余裕はないので目の前のステージに向かって全力を尽くすしかありませんが、全力を尽くした先に溢れてくる何らかの自分らしさがあって、それに興味を持ってくれる人がいたら嬉しいなと、思っています。ショパンが大好きだから。

そして来年2022年1月から2月にかけて、全国ツアーをさせていただきます。2021年、ブルーノートとショパンコンクールという2つの大きな舞台を経験した自分が今一番自然体で表現できるものは何かと考えたときに、ショパンとガーシュウィンという2人の作曲家を取り上げながら、自分の新しいオリジナル作品を混ぜて1つのコンサートとして届けたいと思ったのでした。

全部で9箇所を回ります。ツアー自体が2年以上ぶりなので、本当に楽しみです。そして最後の東京公演では、国際フォーラムホールAという自分でも信じられないくらい大きなところで、かねてから弾きたかったガーシュウィンのピアノ協奏曲を演奏します。僕自身が本気で楽しむので、きっと皆さんにも楽しんでもらえるコンサートになると思います。

「自分らしさ」という曖昧で軽薄な言葉に、自分の求めていたものがあったのかもしれません。そもそも自分のスタイルなんて考えてどうにかなるものでもないのかもしれない。でも一つ言えるのは、個性が出るには自分自身が進化し続けなければいけないということ。それに、進化し続けられた方が音楽の楽しみはずっと増えます。そのために新しいことにどんどん取り組んでいくし、それを少しでも面白いと思ってくれる人がいるなら僕は幸せです。

全国ツアー2022 "Chopin, Gershwin and..."

会場でお待ちしています!!!!

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予定演奏曲目
Some Chopin Pieces
Some Original Pieces
3 Preludes (Gershwin) ※東京以外
Rhapsody in Blue (Gershwin) ※東京以外
Piano Concerto in F major (Gershwin) ※東京公演

販売スケジュール
ファンクラブ有料会員受付(先着): 9/24 (金) 20:00 ~ 9/27 (月) 18:00
イープラス先行(先着): 10/1 (金) 20:00 ~ 10/7 (木) 18:00 
一般発売: 10/9 (土) 20:00~



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