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#271 青春時代の感情は、音楽と共に今も背中を押してくれる

最近、やる気が増している。

子育て以外の自分自身のことで、「ここはがんばりたい!」と思えるものが少しずつ見つかってきた。

この感覚、前にもどこかで味わったことがある気がする…と思い、なにげなく昔好きだったアーティストの歌をYoutubeで検索してみる。


そうだ、このやる気の感じは、受験勉強をしていた時の感覚に似ているんだ。

高校受験、大学受験、大学院受験、薬剤師国家試験。
この四度の試験勉強は、「人生かかってるから!」と結構がんばっていて、それぞれの時期に、士気を高めるためによく聴いていた特定の曲がある。(ちなみに今思えば、どの試験も人生なんてかかっていなくて、たとえ落ちても、あとで何とでもなったと思う。笑)

1日の勉強が終わったら、応援ソングと決めていた1曲を3回聴いて「よし!今日もよくやった!明日もがんばるぞ!!」と心を整えてから寝るのが、受験勉強のルーティーンだった。

試験を恐れる気持ちより、合格後の明るい未来にワクワクしながら取り組めたのは、音楽のおかげだったと思う。

久々にそれらの曲を口ずさみながら順に聴いていったら、あら不思議!みるみるうちにパワーがみなぎって、心身共にエネルギー満タン状態になった。


音楽の力はすごい。
20年経った今でも、当時の感情を、鮮明に呼び起こしてくれる。



そして、こんなことも思い出した。
大失恋した時によく聴いていた曲たちのことだ。
実はこれらも、悲しい思い出の曲どころか、私をエネルギッシュにしてくれる大切な応援歌となっている。

正確には、失恋してから聴いていたのではなく、失恋前からよく聴いていた。それは、当時の彼が好きだったギタリストの演奏曲で、発売されていたCDは全て貸してくれた。

付き合っていた時には、そのギタリストのコンサートに連れて行ってもらったこともある。

その後、徐々にギタリストの知名度が上がり、テレビ番組のあちこちで、彼と一緒に行ったコンサートで聴いた曲が流れる場面に遭遇した。



そして、失恋した夜、こんなことを思ったのを今でもはっきり覚えている。

「今後、このギタリストの曲を聴くと、毎回こんなに悲しい気持ちになって涙するんだろうか。それが嫌で、もう聴かなくなってしまうんだろうか。このギタリスト、すごく好きだし、曲も大好きなのに」

ついでに言うと、この別れは200%相手が悪かったので(!)こんなことも思った。

「今後テレビとかで、ふと、このギタリストの曲を耳にしてしまったら、その度に、私はこうして気持ちをかき乱されるのかな。辛い…。え、いや、ちょっと待って。なんでコイツにいつまでも振り回されなきゃならないの?!は?!ふざけるなよ!これ以上私の人生の邪魔はさせないからな!」みたいな。笑


そこで私は、このギタリストの曲をひたすら聴きまくるという行動に出る。彼の思い出と、このギタリストの曲への想いを完全分離したかったのだ。

このリハビリは、失恋直後から始まった。
「は?!ふざけるなよ?!」なんて思ったものの、やはりまだ純粋な少女だった…はず。最初は、イントロが流れただけでポロポロと涙が出た。


ひとりで部屋にこもって聴くと、感傷に浸ってしまいリハビリ効果が薄れると思ったので、あえて人目が気になる電車や街の中で何度も何度もアルバムを聴いた。

そうして、1日、また1日と時間が経つにつれ、このギタリストのどの曲を聴いても、全く動じなくなっていった。

「やっぱりどれもいい曲だな〜」と穏やかな気持ちを味わえるようになった頃には、「ふん!勝ったな!ザマーミロ!」といった感じになった。


あの時の私が、一体、何と闘って、何に勝ったのかは分からない(笑)

でも、アドレナリンが出ていたのは確かだ。失恋の悲しみなんかに屈しないぞ!私が気に入ったものを奪われてたまるもんか!絶対後悔させてやるからな!!という強いエネルギーに突き動かされていたと思う。

そんな気持ちで聴き続けたおかげで、このギタリストの曲は、たとえしっとりしたバラード調であっても、私にとってはメラメラと気持ちが燃えたぎるファイトソングなのである。


繰り返しになるが、音楽の力は本当にすごい。

一生懸命なにかに打ち込んでいた時の曲を聴くと、自分のことだけに集中できた10代、20代の時に持っていた純粋な前向きさと集中力を取り戻せる気がする。

家事、育児、仕事と、マルチタスクをこなす日々の中で、少しでもそんな自分のためのエネルギーを持てることは、とても嬉しい。


過去に私の背中を押してくれた曲たちは、当時の感情を呼び起こして、今の私の背中をも押してくれている。



あなたにも、きっとあるはず。
楽しさ、切なさ、色々な感情を呼び起こして、今の自分を突き動かしてくれる思い出の曲たちが。


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