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書店にて

えーと、ほら、何て言うか、少なくとも大した話ではないんだけれど、駅ビルに本屋さんがあるじゃないですか?
そう。そこで本を買った時に、いや、別に読書家というわけではないし、また積読を増やすのか、って言われるのは分かっているんだけれど、とにかく店員さんに「お願いします」って本を預けて、あ、渡す時はバーコードの側を差し出すっていうマイルールがあるんだけれど、いや、マイルールだから他の人にそうしろと言うつもりは無いんだけれど、その、自分なりにできるささやかな誠意というか、でもそれがマナーになったら息苦しいし、何て言えばいいんだろうね。
そうやって、バーコードの側を向けて渡したら、店員さんに「カバーをおかけしますか?」って聞かれて、また「お願いします」と答えて、まず、駅ビルのポイントカードを会計皿に、え、会計皿って言わない?でも、分かるでしょ?レジのお皿、そこにカードを置いて、店員さんに読み取ってもらうと、「ポイントは今回ご利用なさいますか?お貯めしたままにいたしますか?」って聞かれて、おや、って思ったんですよ。こういう時って、大抵は「ポイントはお貯めしたままでよろしいですか?」って聞かれることが多くて、多分マニュアルなのか、暗黙の了解ではそうなっているんだろうけれど、今日はすごく丁寧に聞いてもらえた!と思って、嬉しくなって。
だからこっちも、「今回は、貯めたままでお願いします」って、いつもよりゆっくり伝えて、そしたら「お支払い方法は、いかがなさいますか?」ってなるから、「PayPayで、お願いします」って、いや、だから最初からオチは無いんだけれど、そうすると「当店のポイントカードはお持ちですか?」ってなるでしょ?実は駅ビルのポイントカードと書店のカードは同時にポイントが貯まるのは分かっていたけれど、財布をパッと見た時に見つからなかったから、正直に「持ってはいるんですけど、見当たりませんでした」と伝えるしかなくて、え、「結構です」って言えば済む話って言われたら、そうなんだけれど、何かその時は、誠実でありたかったと言うか、そしたら店員さんも「PayPayでのお支払いですと、こちら(駅ビルのポイントカード)と当店のポイントカード、どちらにもお貯めすることができます。お作りしますか?」って、とても丁寧にしてくれて。でも、そこまでしてカードを増やすのもあれだから、そこは「いえ、結構です」、そうそう、ここでようやく「結構です」が出てきたんだけれど、すでにもう、流れができているから、あとはもう「それではお品物と、レシート、それにキャンペーンのご案内もよろしければご覧ください」となって、「ありがとうございます」って受け取って、「ありがとうございました。またお待ちしております」って。
何かこう、分かる?本を預けるところから受け取るところまで、一連の、何と言うかな、血の通った、と言ったら明らかに大袈裟だって言うのも分かるし、相手は全国チェーンの本屋さんで、まして駅ビルだから、何百人のうちの一人に何の感想も無いだろ?って言われたらそれまでなんだけど、いや、むしろそっちの方がいいと言うか、こっちが勝手に喜んでて、向こうは何とも思っていないくらいがちょうどいいみたいな、そういうこともあると言うか。あー、確かに、「親切の押し売り」だって見方をすると、こっちの気持ちはさて置き、店員さんにとっては迷惑だったかもしれないし、ある意味この社会の悪いところの縮図って、そうか。そういう考え方もあるけれど、今の気分としては、「何か分からないけど、いい」って思った事自体を大切にしたい、と言うか。何と言うか。

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