【千田琢哉の頭脳】Vol.0592(2010年9月18日発行のブログより)
世界の人口は増え続けていくのに、日本の人口は情けないことに減少傾向にあります。これは市場が縮小していくことであり、海外戦略以外にもはや生き残る道はないのでしょうか?自分の業界においては、既に国内市場は頭打ちでM&Aがあちこちで起こっています。海外戦略以外に何か方法はあるのでしょうか?社会保険制度や年金は大丈夫なのでしょうか?これからの日本の将来が不安です。
(東京都・会社経営・Mさん・男性・39歳)
人口減少は、このままいくと2050年頃には1億人を切り、
2100年頃には4080万人になるというデータがあります。
当然そのとおりになれば市場は縮小し、
今までのように拡大志向で企業戦略を練るのは無理です。
「だったら海外戦略を練るしかない!」
と声を荒げる人もいますが、
私はそれはあまり現実的ではないと思っています。
逆に、人口が減っても別に困らない世の中にすることが
大切だということです。
逆の発想で、人口がこのまま増え続けるということが、
人類にとって幸せかといえばそうではありません。
たとえば、現在の世界人口は約68億人ですが、
100億人、200億人・・・1000億人になることが
果たして幸せだと言えるでしょうか。
私はそうは思いません。
限られた資源の奪い合いになるのは目に見えています。
そもそも日本の人口密度は高すぎます。
ただでさえ狭い上に山だらけの日本で、
1億2700万人いること自体が不自然かもしれません。
いろんなデータを照合してみると、
日本の人口というのは、約6000万人くらいから8000万人くらいが
一番住みやすくて平和なのではないかと思えます。
韓国や香港に行くとわかりますが、
狭くて人口密度が高いとみんな殺気立って言葉が乱暴に聞こえます。
常に怒っている状態です。
あまり幸せだとは思えません。
人口密度が高くては、どんなにがんばってお金を稼いでも、
広い家に住むことができなくなりますし、環境にも悪いです。
ここから、資本主義の限界が見えてくるというわけです。
ちなみに第2次世界大戦前が
ちょうど人口が6000万人~8000万人くらいでした。
今より随分住みやすかったはずです。
経済力がなかったとしても、豊かな生活ができるということです。
「人口が減ったら年金がもらえなくなるから困るじゃないか!?」
という人は洗脳されています。
そもそも今の若者やこれからの若者は自分たちのためだけに
年金を払えばよいのであって、
今のお年寄りのために支払うわけではありません。
つまり、今のお年寄りたちがもらっている年金というのは、
お年寄りたちが若い頃に支払った分から国が運用して返しているだけ
というのが本来のベースになる考え方です。
それを、
「ちゃんと若者が年金を払わないと、困る!」
と発破をかけながら、今のお年寄りへ年金を支払っているとしたら、
おかしな話です。
自分たちが支払った分は、自分たちの分に対して支払われるのですから。
国の運用さえ失敗していなければ、
人口が減っても年金にはまったく影響がないわけです。
人口が減ってもほとんど困ることはないのです。
ベンツに乗ったり、大豪邸に住んだり、自家用ジェットに乗れなくなる人が減ったとして、それのいったい何が困るというのでしょうか?
何も困りません。
経済においては飢餓にならないレベルにまですでにいるわけですから。
少子化は正しい流れであって、
新しい社会構造が一変するイノベーションが起こっている証拠なのです。
拡大戦略というのは、実はダサいのです。
業界No.1の定義がすでに変わってきています。
...千田琢哉(2010年9月18日発行の次代創造館ブログより)
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