見出し画像

【千田琢哉の頭脳】Vol.0495(2010年6月13日発行のブログより)

今月から貸金業法が施行されるということで、かなりのダメージを受ける中小企業や個人が続出するのではないでしょうか。世の中にはニーズとシーズが必ずあって成り立っているのだから、私はあってしかるべきだと思うのですが。それとも何か裏の意味があるのでしょうか。どこかの誰かが得をするようなことがない限り、こんな法律を断行することはないかと・・・。何と言うか、今回のは特にしっくりこないんですよね。

(神奈川県・会社員・Kさん・男性・36歳)

昔、商工ファンドという会社がありました。

事業者金融の会社です。

当時、大島健伸(おおしま・けんしん)という人が社長をされており、
かなりの急成長中でした。

よくコンサルティング会社がクライアントを年商10億円にしたとか
20億円にしたとか自慢している人がいますが、
一代で年商4千億とか5千億円、グループ全体で兆単位、
というのは、もはや次元が違います。

大島さんは、間違いなく日本に例のないビジネスエリートで、
とてつもない才能の塊だったと今でも思っています。

組織を渡り歩くいわゆるMBAホルダーと違って、
自分で起業して上場させて財閥を築いていたわけです。

国会の答弁は凛々しかったです。

間違いなく、どの政治家よりも頭脳明晰でした。

実は私が就職活動で唯一、自分から関心を持ち率先して応募して
内定をいただいた会社がこの商工ファンドでした。

正確にいうと、商工ファンドに興味があったのではなく、
大島さんに興味があったのです。

結局辞退させていただきましたが、
私はこの会社を全面的に悪い会社だとは今も思っていません。

当時金融ビッグバンが騒がれており、
就職活動中にいろいろ本を読みました。

当時は今のメガバンクの前身であった都市銀行が悲鳴を上げており、
大蔵省に頭を下げて国民の血税をお裾分けしてもらいながら、
生き延びるのに必死でした。

商工ファンドと共に事業者金融業界をリードしてきた
当時の日栄もそうでしたが、金融業者としてのスタンスは
プロだったと思います。

もちろん、脅迫まがいの回収は倫理的に問題があります。

罰せられるべきです。

しかし、果たして当時の都市銀行が商工ファンドや日栄を批判できますか?

私はできないと思います。

金融の原点は、綺麗ごとを抜きにしてざっくり言ってしまうと、

お金を貸して、利子をつけて返してもらうこと

それだけです。

極めてシンプルです。

ATMの時間外手数料とか、振り込み手数料で有無を言わせずに
稼ぐことではありません。

これについてはいずれJALと同じようにしっぺ返しが来るでしょう。

貸すだけ貸して、返してもらえないからといって、
税金からスライドするとは言語道断も甚だしいのではないでしょうか。

少なくとも商工ファンドや日栄は回収を命がけでやっていたわけです。

都市銀行が半分の本業を放棄していた間に。

それが金融業の原点ですから。

その点を忘れてはいけないでしょう。

これについては、ライブドアや村上ファンドでも似たような匂いを
感じました。

それより昔だとリクルート事件もそうですね。

業種業界や種類は違っても、実はもっと責められるべき人は
他にいたはずなんです。

もちろん、非については償うべきですが、
これらの会社の経営をしてきたその非凡な才を
この国のために活かすべきではないでしょうか。

決して凡人の嫉妬によって葬ってはならないと思います。

少なくとも冒頭に出した大島健伸という人は、
当時の都市銀行の頭取が束になっても敵わないオーラがありました。

追伸.
どんなに違法な利息でも、自分がそれで契約したのであれば、
きちんと返さないといけないと思いますね。
苦し紛れに弁護士に頼んで裁判で闘うというのは、軽蔑の対象ですね。
借りたお金、約束したお金はいかなる理由があっても、返すべきでしょう。

...千田琢哉(2010年6月13日発行の次代創造館ブログより)

↓千田琢哉のコンテンツ↓

🔷千田琢哉レポート
文筆家・千田琢哉が書き下ろした言葉を毎月PDFファイルでお届けします。

🔷真夜中の雑談~千田琢哉に訊いてきました~
文筆家・千田琢哉があなたから頂いたお悩みに直接答える
音声ダウンロードサービスです。毎月1日と15日発売!
“毎月1回の飲み代を、毎月2回の勉強代に”

🔷千田琢哉公式チャンネル
「3分の囁き」千田琢哉の独り語りをYouTubeでお楽しみ下さい。