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【千田琢哉の頭脳】Vol.0194(2009年8月16日発行のブログより)

私は千田さんの影響もあって最近本を大量に読んだりオーディオブックを購入して自己研鑽しています。確かに人生が充実してきて毎日夢と生きがいを持って楽しくなりました。あえて1つ聞きたいことは、人によって違うのでしょうが「コレ!」といった運命の本やCDに出逢うコツのようなものはあるのでしょうか?

(福島県・会社員・Dさん・男性・35歳)

こればかりは量をこなすしかありませんが、
今回は特別に量のこなし方を伝授しましょう。

たいていのアドバイスは

「いい本は100冊に1冊だ」

「量は必ず質に転換する」

といった正論ばかりですが、
具体的な方法を教えてくれる人はあまりいません。

また仮に教えてくれたとしても難しくて時間もエネルギーもかかり、
たいてい途中で挫折してしまうので成果が出ません。

私が今からお伝えする方法は速読法や速聴の訓練といったものではなく、
今日からすぐできる方法です。

しかも速読法や速聴法をマスターした人に負けないくらい、
時間を節約できるうえに楽しい人生を歩むコツです。

それは、

つまらないと思ったら途中でもすぐにやめること

です。

もっともその本が楽しい瞬間は立ち読みして
買うか否かを迷っている最中です。

琴線に触れるようなひと言があれば買うし、
響くものがなければ買いません。

私は立ち読みして買った本を家に持って帰り、
結局数ページ読んでおしまいにする本が大量にあります。

つまり書店で立ち読みしたキーワードを購入しただけで、
それ以外は一切読まないこともあるというわけです。

しかしこれが実に効果的なのです。

全部読むのと響くものがなければ途中で「やめる」のとでは
時間の生み出し方がまったく違ってきます。

つまらない本や今はまだ出会うべきではなかった本を我慢して読むと
下手をすれば1日を無駄にすることになるのです。

もし書店で購入を決断した本の中に
たった数行のキーワードを見つけることができれば、
1,500円は安いものです。

なぜならその数行の言葉にたどり着くには
自力で1,500円程度かけたくらいでは絶対にたどり着けないからです。

十分元は取れています。

私は速読術を大学生の頃学びましたが、
今ここで述べている響くものがなければ途中で「やめる」技術のほうが
遥かに大切であると感じています。

私は大学生の頃も今も書店によく行きますが、
その度に人の観察をよくしていました。

書店に来た人はまずタイトルと帯を見て、
次に手に取った本の著者がどんな人なのかプロフィールを読みます。

要は自分がその人からものを教わりたいかいどうか、
の選別をするわけです。

まぁお金を払うのですからこれは当然かもしれませんね。

著者もその辺りはよくわかっているのでしょう、
少しでも偉く見せるように冴えない経歴はなるべくぼかしたり
省いたりするようにしますし、全然たいしたことでなくても
結構なことのように綴ったり、逆にあえて変化球を使ったりと
創意工夫を凝らしていますね。

次にプロローグとエピローグにザッと目を通します。

今述べてきた表紙、帯、プロフィール、プロローグ、エピローグ・・・
ここまでで面白くない本はたいてい中身も面白くありません。

これはほぼ間違いありません。

読者、消費者は利口ですから本文の上澄みのエキスを抽出して
少しでも売れるように表紙と帯に全エネルギーが注がれていることを
よく知っています。

つまり、表紙と帯がその本のピークなのであって
表紙や帯の魅力を本文が超えることはまずありません。

また著者は表紙と帯にはそれほど真剣に関わらないことが多いため、
どこに1番エネルギーを注ぐかというとプロローグとエピローグです。

本文に込めた想いをここで一生懸命に語っているからです。

そして目次に目を通して確認しておけばその本のお役立ち度はわかります。

表紙、帯⇒プロローグ、エピローグ⇒目次

にざっと目を通した後は最初の“掴み”である第1章の1ページ目を通読して「もっと読みたい」と感じたら買う価値がきっとあります。

確認しておきますが「もっと読みたい」と思っても
それ以上面白くなることはない可能性のほうが高いことは
知っておきましょう。

こうした基準をくぐり抜けて購入した本でさえも
面白くなかったということはよくあります。

その場合は迷わずパタリと表紙を閉じて
別の面白そうな本に浮気すればいいだけです。

パタリと閉じられた本は少なくとも数多くの本の中から
予選を勝ち抜いて購入されたわけですから、
いずれ読んでみていい本だったということに気付くこともあるでしょう。

CDやDVDなどのオーディオブックも同様です。

ジッとがまんして視聴してもその先から面白くなることはまずありません。

本もCD、DVDも最初の1分以内に面白いと感じなければ
それ以上関わって面白くなることはもうありません。

だから面白くない本は1分で終了しますから
どんな速読法よりも速く終了します。

速読法についての結論を簡単に述べておきますと、
確かに読むスピードは10倍、20倍になりますが、
理解度は元のままであるということです。

つまり速く読めたからといって理解力も一緒に高くなって
天才になるわけではなくて、普通の読書レベルで理解できないことは
速読法をマスターしても同じかそれ以下だということです。

物理学に無関係な人が速読で物理の専門書を読んでも、
速く目を通したことにはなりますが、頭の中には何も入っておらず、
理解もされていないのは当たり前の話です。

とにかく量をこなせ、というのは我慢して量をこなすのではなくて
常に一番楽しいものを妥協せずに味わうことなのです。

今読んでいる本は常に一番読みたい本でなければもったいないのです。

こうした姿勢を貫くと驚異的な時間の節約とともに
実力がメキメキついてきます。

常に一番好きなことをしているわけですから、
吸収率もケタ違いであることは当然ですよね。

追記.私の1番の幸せは、100回繰り返し読める本に出逢うことです。
しかしそのために100冊以上の本に出逢わなければなりません。

...千田琢哉(2009年8月16日発行の次代創造館ブログより)

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