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【千田琢哉の頭脳】Vol.0154(2009年7月7日発行のブログより)

「従業員99人以下の会社が国内の98%である」ことを知り、まさにうちの会社が次のステップに進めるか否かの分岐点であると感じています。周囲を見渡しても、数十人の会社と数百人の会社は明確に何かが違います。業種によってかなり違いはあるでしょうが、100人の分岐点で決定的に違うことって何でしょうか?

(栃木県・会社経営・Iさん・男性・40歳)

100人を超えることのみを目標にがんばっておられる場合は別として、
手段として通過点で100人を突破した企業の共通点は一つです。

社長がいなくても会社が回っている

シンプル極まりないですが、それだけです。

社長が午後から出社する“重役出勤”どころか
週に一度しか顔を出さないような、場合によっては、新しく入った社員が
社長の顔を知らずに“どこかのおじさん”と間違ってしまったような
エピソードがあるくらいの会社です。

社長がいなくても会社が回るというのは、
創業当初からいきなりできるわけではありません。

今日から真似をしたらすぐに倒産してしまう会社が続出するでしょう。

社長がいなくても会社が回るということは、
換言すればそれだけ幹部社員や管理職が育っているということなのです。

つまり、理念や行動指針において自分の分身を
どれだけ企業内にDNAとして残せるのか、ということがキーです。

これには、少しでも早く自分の持っている能力を出し惜しみせずに
後継者に浸透させていくことが大切であり、自分で抱え込まないことです。

創業者の方は一般にセールス力が優れていることが多いのですが、
そのセールス力も後継者に伝授するか、伝授するのが無理ならば、
仕組みを遺していくことです。

創業者にとって経営の後半の仕事は、いかに自分がいなくても
会社が回っていくのかに知恵を絞って、
会社そのものを自分の分身として育てていき、
気付いたら自分が一番お荷物になっていた、
というところに持って行くことが最高の形です。

会社を創業するということは、
子どもを産んで育ていることと酷似しており、
いずれ親離れをしなければならない点も同じです。

もちろん、子育て同様にマザコン・ファザコンにすることもできますが、
やはり、晩年は苦労します。

私の感覚では、経営者は一般に苦労が絶えないものですが、
中でも99人以下の会社になればなるほどその傾向が強まり、
100人以上で規模がある程度になってくればくるほど、
幹部社員や管理職が育成されているために、
社長の顔の艶がよくなっていました。

顔が土色で、常にイライラしており、余裕がなさそうな経営者は
決まって29人以下の会社に多く見られました。

実は、こうしたことに対する解決策は経営者自身にあって、
後継者育成できない理由の第一位は、

本気で育成する気がないから

ということも私はコンサルティング経験をするうちに教わりました。

つまり、自分の居場所を確保するために、
部下に伝授していくのを本能的に拒んでいた、自分がいないとまだ駄目だ、と言われたい、認められたい、という深層心理の結果であった、
ということです。

最初からそうした意識が薄い人はやはり、
組織化に成功している人が多かったものです。

俺なら売れる!から、凡人でも売れる

へ脱皮していくことが求められるのです。

会社の実態は、業績も含めて、
経営者の本音がむきだしになっているのですから。

...千田琢哉(2009年7月7日発行の次代創造館のブログより)

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