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【千田琢哉の頭脳】Vol.0585(2010年9月11日発行のブログより)
子会社出向の話がありました。まだ30代半ばなのにすでに絶望的になりました。同期の中では真ん中より上に位置していたつもりだったのが、甘かったです。『20代で伸びる人、沈む人』という本の中の「伸びる人」に該当していたのは45/70項目ほどでした。ちょっと出逢うのが遅かったようですが、転職したほうがいいでしょうか?これから行く子会社はすでに人生の墓場であって、過去に親会社に戻ってきた社員はほとんどいないようで憂鬱です。
(東京都・会社員・Iさん・男性・34歳)
今月末に、
という本がきこ書房から出ます。
その中にも書いたのですが、若いうちの子会社出向は絶好のチャンスです。
冗談抜きで、出向は買ってでもすべきです。
子会社になると、普通は会社の規模は2桁くらい小さくなります。
だからこそ、チャンスなのです。
出向先では役職が1ランクないし2ランク上がって、
部下を持たせてもらえる可能性も高いです。
親会社でコースに乗っかっている人と、
若くして子会社で経営のトレーニングをした人とでは、
将来の底力が大きく違ってきます。
まず、規模の小さな組織でいったい経営というものが
どのように行われているのかがよく見えるはずです。
どんなに財務・会計をいじったところで、
経営全体から見たらその重要性は10%もない。
だったら節税なんて専門家に任せておいて、
全エネルギーを本業で稼ぐことに注ぐのが第一だ、と気づかされます。
また、親会社では会社のブランド力が桁違いに大きいため、
営業力ではなく、マーケティング力によって商品が売れてしまいます。
子会社はブランド力がありませんから、営業力がとても重要になります。
素の力と向き合わざるを得なくなるのです。
経営コンサルティング会社というのは小規模の中小企業が大半です。
コンサルティング会社で100名を超えるところは、
業界内でかなり大手に含まれるといっていいでしょう。
綺麗事は抜きにして、
コンサルティング会社の入社には経歴が重んじられることが多いです。
その中で中途採用組は名だたる大企業出身者がメインとなります。
ところが、大企業出身者が小世帯のコンサルティング会社に入ってきても、からきし使い物にならないパターンも枚挙に暇がありません。
理由は、子会社出向とまったく同じです。
大企業では仕事のできなさが埋もれてしまいますから、
見えにくくなります。
そのくらい大企業はすばらしい仕組みが構築されているわけです。
子会社に出向するというのは、コンサルティング会社に転職して
キャリアアップするチャンスを得たようなものです。
仮に親会社に戻れなくてもそんなことは気にしなくてもいいのです。
独立するために勉強するチャンスをいただけたと解釈することもできます。
子会社を成長させて、
親会社を抜くという経営の醍醐味を味わうことも可能です。
富士通という世界的企業は、
富士電機の子会社だったことを思い出しましょう。
子会社の時価総額が親会社のそれを抜く例も珍しくありません。
時代は潮目です。
下剋上もどんでん返しも珍しくもなんともない時代が
今、まさに、到来しているのです。
...千田琢哉(2010年9月11日発行の次代創造館ブログより)
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